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15日目 朝逃げ、内通者を添えて。


  現在の所持品

 冒険者カード 1枚

 パジャマ 1セット

 銀貨6枚 銅貨2枚

 水の入った水筒 1つ

 癒しの神の杖 1本


 オオキナ大国に来てはや幾日、人が多いところに住んでいたら三日で死ぬと思ってたけど、別に全員が私に話しかけてくるわけじゃないし、なんとか生きている。勇者君の家も、もう我が家と呼べるくらいには慣れてきたなぁ。まぁそもそも主である勇者君がほとんどいないからかもしれないけど。今となってはここで過ごした日々も良い思い出。


 「いや、何淡々と出ていく準備してるのさ。」

 「・・・分かるでしょ?」


 祭りが始まる前に逃げる。これは絶対だ。


 「別に祭りに参加しろなんて無茶言わないからさ、この家に籠ってればいいじゃない?」

 「・・・賑やかになっていく空気がもう嫌だ。」

 「祭りの準備してるのに気づかなかったくせに・・・。」


 知らなければ幸せだったかもしれないけど、気づいたらもうダメだよね。


 「まぁもうこの家にいなきゃいけない理由もないし、別にいいんだけどね?」


 その言い方だと前はあったみたいじゃないか。・・・え?あったの?


 「旅のお供に可愛いウサギはいかが?」


 ついてきてくれるの・・・?そんな可愛いことを言ってくれるなら、自分で可愛いと言ったことには目をつむろうじゃないか。


 「・・・勇者君はいいの?」

 「まぁ必要になったら飛んできてもらえばいいから、別に大丈夫だよ。」


 ならいっか。ユンと一緒に馬車乗り場に向かった。



―――――――――――――――――――――――


 馬車乗り場は早朝にもかかわらず、かなりの混雑を見せていた。


 「護衛の人が気に入る人だと良いねぇ。」


 ・・・そういえばそんな話あったね。前オオキナ王国行きの馬車は護衛の人が暑苦しい感じで、諦めて勇者君に頼んだんだっけ。


 トナリノ町行きの馬車乗り場を覗いてみる。


 「おはようございます!!」


 筋肉ムキムキの濃い顔をした男の人に、全力であいさつをされたので、全力で踵を返した。


 「ダメみたいだね。」


 前回は顔は見てないけど、あの大声はきっと前の時と同じ人だろう。


 「勇者君にお願いする?」


 いやぁ、チームを組んで早々に逃げ出そうとしてるのに、そんなことで便利なタクシー代わりに利用するのもなぁ・・・。そんなことを考えていたら、少女が私に話しかけてきた。


 「あら?エヴァじゃない。」


 背は私より小さいくらいで、短めの赤い髪をツインテールにしている。髪を結ぶゴムには十字の飾りが付いている。・・・はて?


 「ちょっと!?なにその反応!!」


 いや、そんな急に怒られても・・・。


 「ほら、トナリノ町の教会で勝負を挑んできた子だよ。名前はクレハじゃなかった?」


 ・・・あぁ。いたいた、そんな子。


 「師匠の顔を忘れてんじゃないわよ!!」


 そういえば師匠だったね。よしよし。


 「撫でて懐柔しようったって、そうはいかないんだからね!!」


 そう言いながらも嫌がるそぶりもない。気の済むまで撫でてやろうと思っていたら、空からシーラが降ってきた。


 「師匠!お久しぶりです!」

 「あ、あんたもこっちに来てたのね!?せっかく二人も弟子が出来たのに、すぐにいなくなっちゃうんだから・・・。」


 そう言ってしょんぼりした顔になってしまった。うん・・・。全力で撫でておこう・・・。


 「ごめんなさいです、師匠。今度からは顔出すようにしますね!」

 「うん・・・。まぁいいわ。弟子が旅立つことは良いことだもの!」

 「それで、師匠は何しにここへ?」

 「最近、なぜか王国内で、普通は食べようともしない物を口にするバカが、後を絶たないらしいのよ。それで食中毒なんかの治療で、ヒーラーの手が足りないから救援要請が来たわけ。」


 ・・・へ、へぇ。不思議だなぁ・・・。


 「まったく。なんでそんなことするのかしらね?回復するこっちの身にもなってほしいわ!」

 「本当ですね、まったくもって意味不明です!」

 「そ、そうだね。変わったことが流行ってるんだね・・・。ちなみに、「倒したモンスターを食べると、強くなれる。」なんて噂が流れているけど、僕たちとは何の関係もないからね?」


 ・・・完璧に私たちのせいだよね?変な物ばかり食べてるのを、やたら強い勇者君がギルドで言っちゃったからだよね?


 でも私は何も言わない。ほら、私コミュ症だし・・・。


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