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5日目 天使の覚醒。


 現在の所持品

 How to healer 1冊

 祈りの言葉の小冊子 1冊

 冒険者カード 1枚

 パジャマ 1セット

 銀貨16枚 銅貨8枚

 紅茶の半分入った水筒 1つ

 ロボットサンドイッチ下 1つ


 おはようございます。


 部屋に置いてある置時計を確認する。いつもより1時間ほど遅い・・・。あれ?やばい?


 今日は水の日だから、お祈りがあるはずだ。タフティ相手に遅れたら・・・・・・・。考えたくもない。

 急いで起き上がり、身支度を始める。慣れない冒険に出て、疲れが溜まってたのかもしれない。私が着替え始めたところで、部屋のドアをたたく音がする。


 「起きているか?開けるぞ?」


 なかなか渋くてダンディーないい声だ。いや、誰?


 「あー・・・。もし開けたらまずい状況なら、床でもなんでも叩いて音を立てろよ?」


 絶賛着替え中は、開けられたらまずいと言えるだろう。慌てて、物音を立てようとする。脱ぎかけのパジャマに足をとられ、盛大に転んだ。


 ドシン。


 「・・・少し早めに迎えに来たから、そこまで慌てなくていい。」


 なんか、こう。痛いのと、恥ずかしいのが同時に来て、このまま床の一部になりたい気分だ。でもお祈りに間に合わなかったら、タフティにどんな目にあわされるか分かったものじゃない。床になった程度では許されないだろう。ヒールを自分にかけて、着替えを再開する。


 身支度を終えると、恐る恐る扉を開ける。扉の前にいたのは、いつもお祈りに来て、投げキッスを飛ばしてくる、ダンディーなおじ様だ。筋肉質な体に茶色い短髪。お髭が良く似合っている。何でここにいるの?


 私の不思議そうな顔を見て、おじ様は少し考えるような仕草をとると。私の耳に顔を近づけてこう言った。


 「美しい妖精ポフィーは、夜だけの秘密の姿なのっ。」


 私は思考を放棄した。



―――――――――――――――――――――――


 ポフィーちゃん人間モードと一緒に急いで教会に向かう。教会にはすでにたくさんの人が集まっていた。入り口にはいつもどおり猫を被った笑顔のタフティ。私を見つけると、いつも通り笑顔が深まる・・・のではなく、目が細まった。・・・怒ってる?


 私たちで最後のようだ。教会に集まった人は、前回までに比べるとだいぶ増えている。7,8割が埋まっていているが、私のいつも座る右後ろの長椅子には誰も座っていない。ほとんど指定席と化しているのかもしれない。


 タフティが扉を閉め。お祈りが始まる。私はいつも通り聖なるルクーセおばちゃんを召喚するだけだ。いや、お祈りが終わるまでに、タフティの機嫌を取っておくべきじゃなかろうか?タフティの喜びそうなこと・・・。そういえば若い女性やイケメンな天使出してほしいって言ってたなぁ。


 でもルクーセおばちゃん以外の天使は認められません。きっとタフティはお祈りする人が増えてほしくて、そんなことを言ったんだと思うんだ。つまり、聖なるルクーセおばちゃんをもっと神々しい感じにすればいいのでは?


 聖なるルクーセおばちゃんの表情をもっと豊かに。天使の翼を羽ばたかせるたびに、白く輝く羽を周りに散らすように。周囲の人間をゆっくりと見渡すように。あ、翼ももっと付けちゃおう。あとは光がほしいけど、これ以上光ると変だから、後ろになんか幾何学模様のついた円盤設置して、後光が照らす感じにしよう。


 よし、良い感じ。後光って仏教だっけ?天使に着けるものじゃない気がするけど・・・。まぁいいか。この世界の宗教についてよく知らないし。


 神々しいルクーセおばちゃんを前に、人々はざわめき始める。ある者は地面に額を擦りつけ、またある者はあまりの神々しさを前に、ただ、涙を流すのみ。中には自分の罪を懺悔しだすものもあらわれた。普通に犯罪の自白をしてるから捕まえた方がいいと思う。


 「皆さん、落ち着いてください。大丈夫です、頭が高いと怒られる類の物ではありません。懺悔も後で私が聞きますから。あなたはあとで私が連行します。」


 タフティが落ち着けようとしているが、ざわめきは収まらない。タフティのためにやったのに、タフティを困らせては本末転倒だ。ルクーセおばちゃんの腕を動かして口元に持っていき、しーっのジェスチャーをする。


 効果は絶大で、教会内はすぐに静まり返る。


 「・・・・・・。我らが天使様に祈りを捧げましょう。」


 タフティがすべてを諦めた、死んだ魚のような目で、そう言った。


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