一話、それは唐突に起きることで・・・
「おい、勇志よ、いい加減にしてくれよ。せっかく今度の修学旅行で暴力を振るわない約束の代わりに荷物持ちをしているだからさ」
そう言われて何人分もある荷物を持って空港を歩いていた。僕の名前は武田勇志、どこにでもいる普通の学生でありどちらかと言うと一人で過ごしたいと思っているがそんな僕の想い通りにさせないようにしてくる男がいるのである。
この男は石田蓮と言っていつも僕を暴言を吐いたり時には暴力も振るってくる男であるが見た目はとてもイケメンでクラスの女子はもちろんほかのクラスでも人気がある男でありそのために周りにいる女子たちに男子たちにも冷たい目で見られている。
ただ僕は静かに暮らしたいだけなのにどうしてそんな邪魔をするのか、もちろん親や先生などにも相談をしたがすべて無視されて改善などされなかった。もう途中から諦めて過ごしていた、それに後一年と半年を過ぎれば終わるのだ、それからは社会人として生きるからもうこんな目には遭わないはずだ。
ただ早く時が過ぎてくれたら嬉しいと思いながらみんなの荷物を持って歩いて何とか終えたと思うとまた石田蓮にからかわれていた。もう僕を一人にしておいてくれよ。どうしてそこまで構ってくるだよと嫌になりながらも言葉と表情には出さずに苦笑いをしていた。
そして飛行機が空に飛び立ってどれぐらい時間が経過したのであろう、急に今までに感じたこともない揺れを感じたのである。
僕はもちろんほかのクラスメイト達も慌てていた、誰一人冷静にしている人物はいなかった。とにかく僕は怖いから目を開けないようにして前にある椅子をしがみついていた。ただ飛行機の状態が良くなるように祈りながらしがみついていた。
しかし、ここで最悪のお知らせが流れたのである、それは海の上で不時着をすると言うのであった。それは非常に危険であるのも承知だったが僕にどうすることもできずにただ助かるように祈りながら目を瞑っているのだった。
そして不時着の瞬間に大きな衝撃が来てそのまま意識が遠くなって深い深い海の底に行くように眠りについたのであった。
その後に意識が回復した時にはなぜか海辺にいた、最初はどうして海辺にいるのかと疑問を起こしていたがすぐに状況を思い出して辺りを見渡してみるとそこにはクラスメイト、すべてはいないけど僕を入れて七名ほど確認出来てすぐに生きているか確認してみると全員生きており良かったと思う反面、実はこの中に石田蓮も入っており少し嫌な気持ちになっていた。
でもいくら嫌な奴でもそれで見殺しなんてしていい理由にはならないはずだ。そう思いみんなを起こしとりあえず話し合いをすることにしたのだが
「どうしてよりにもよって一番要らないこいつがいるだよ。もう少しましな奴がいてくれたならば」
「そんなことを言わないで石田さん、それと少し辺りを見てけど家らしいものどころか人工物らしい物が見つからなかっただよ」
「はあ、それじゃ俺たちは無人島に流れ着いたと言うのかよ。ふざけるな、どうやって生きていけばいいだよ。水もない食料もない、待っているのは死亡だけではないか」
そうして僕に対して八つ当たりをするように殴ってきたが僕は石田蓮が怖いから何も仕返しはせずにただ見ていた。石田蓮もそれで気が収まったのか少し冷静に考え始めていた。まずはどうしたら良いのかと思っているととりあえず生き残ったメンバーの確認から始めていた。
まず僕である武田勇志、性格は嫌であるがイケメンである石田蓮、クラスのアイドルで委員長を務めている細川霊歌、良く石田蓮と一緒にいて僕をからかってくる男子である松田準、そして石田蓮の彼女である前田真野、大人しい女子である佐々春香、最後は誰とも関りを持とうとしない謎が多い美人と言われている安部恵美。
何かいろいろと個性があるなと思いながら何かと思っていると水に濡れて壊れているだろうスマホから一斉になりだして何だと思いで僕たちは見てみるとこのようなことが書かれてあった。
選ばれた者たちへ
これを読んでいるということは君たちは無事に選ばれた者たちである。何に選ばれたと言うとそれは神々の行事に参加して無事にこの場所についたということだ。君たちにはこれからこの無人島で生活をしてもらう、もちろんこの状態では面白みがないから少し神々からのプレゼントをやろうではないか。
君たちの世界でガチャと言うものがあるだろう。それを君たちにさせてあげようではないか、物はもちろんのこと能力も当たれば使えるようになる。つまりはガチャには無限の可能性が秘めてあると言えるかもな。
それをうまく使い好きなように生活をしておくがいい、せいぜい楽しむようなことが起きるように祈っている。
何だよこれはつまり、この世界は元々いた世界とは違い、しかもガチャでいろんなアイテムはもちろんのこと能力も使えるようになるのかよと思いながら何か石田蓮はやる気を出していた。まあ、見た目だけならばなろう系主人公に負けないぐらいにイケメンだからな。
そうしてすぐにスマホの画面にガチャをしますかとボタンが出てきたのでみんなは一斉に押してみることにした。
そうすると光りだして何かいろいろと物が出てきた。そうして僕が出てきたのはこのような物であった。
バケツ
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ごく一般的に存在するプラスチックのバケツ。
うん、確かに出てきたけど何か悲しいかな、バケツって元の世界ではその気になれば手に入る物じゃんと思っていると石田蓮がよっしゃーと言いながら叫んでいた。一体何が当たったのかと思っているとそれは魔法が使えるようになったみたいで早速自慢をしていた。
どうやら雷属性の魔法が使えるようになったらしい、それは良かったなと思いながら僕はこのバケツを持って思うことはただ一つであった。
神様、どうやってこのバケツで無人島を過ごせと言うのですかと空を見ながらそう思うのだった。