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五十年前のJKに転生?しちゃった・・・  作者: 変形P
昭和四十二年度(高校二年生)
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九十二話 プールサイドのプリンセス

待ちに待った体育のプール授業の日になった。


プール横の脱衣所で、みんなで水着に着替える。大き目のタオルで胸を隠しながら上半身裸になり、体にタオルを巻いて下半身も脱ぐ。そして足から水着をはき、肩ひもを肩にかける直前に体に巻いたタオルを取る。


総じて、家に風呂がある生徒は裸を極端に恥ずかしがり、銭湯に通っている子は多少見られても気にしないようだ。


淑子は去年と同じように、隠さずに脱衣所の片隅でぱっと全裸になり、すぐに水着を着た。白いお尻が目にまぶしかった。


俺も銭湯組だが、胸を見られるわけにはいかない。お尻が見えても気にしないが、胸だけは死守し、胸パッド入りの水着を何とか着終えた。


「あら、委員長って着やせするタイプ?」斉藤さんが俺の胸を見て目を見張った。


俺はほくそ笑んだ。この胸が偽物だと誰も思うまい。


脱衣所を出ると、みんなできゃあきゃあと騒ぎながらシャワーを浴びた。


シャワーを浴びたらプール際に集合だ。プールの周囲は相変わらず丈の高い灌木で囲まれ、学校内外からプールが見えにくくなっている。


俺は上機嫌で、前を歩く淑子のお尻を触った。


「ひっ!」と驚く淑子。そして振り返って俺が触ったことに気づいた。


「どうしたの、美知子?何か機嫌がいいね」


「まあね」


そのとき、淑子が俺の胸を見て驚いた。


「あれ?美知子の胸が前より大きくなってる」


「ま、まあね。成長期だからね」心なしか胸が重くなったように感じる。これが胸の重みか・・・。


まもなく体育の先生が現れた。四十過ぎのおばちゃん先生で、私たちと同じような紺色のワンピースの水着の上にTシャツを羽織っていた。


「はい、準備体操をします」


先生の指示に従って屈伸したり、手首や足首を回したりする。そして、今年初めてなので、足からゆっくりと水に入るよう指示があった。


「ひっ、冷たい!」


七月のプールはまだ冷たく感じられた。しかしプールに肩まで浸かると、徐々に水の冷たさが感じられなくなっていった。


先生の指示で、泳げる人はプールの半分を使って、順番に二十五メートルをクロールまたは平泳ぎで泳ぎ始めた。


俺は去年と同じく、顔を水面の上に出したまま平泳ぎをした。そしてすぐに違和感に気づく。去年より、水の抵抗を強く感じるのだ。


そうか。胸の大きな人は水の抵抗が大きいのか。


そのとき、プールサイドにいた生徒が「きゃーっ」と悲鳴を上げた。俺たちは何ごとかと思って泳ぐのをやめた。


「どうしたんです?」先生がすぐに近寄って行った。


「木の陰から男性がのぞいていたんです!」


すぐにきゃあきゃあと騒ぎ出す生徒たち。


先生がプールサイドからプールの外側を眺めたが、誰も見えないようだった。


「誰もいませんから、練習を再開して!」


先生の言葉を聞いても生徒たちのざわめきはおさまらなかった。


「出刃亀かしら?」


「でも、女子高の敷地内まで入ってくる?」


「静かに!練習を再開して!」


俺も痴漢がいないか心配だったが、先生の指示もあり、再び泳ぎ出した。


泳ぎきるとプールの端からプールサイドに上がった。まだ胸が重く感じられる。


俺より先に上がった斉藤さんが、俺に話しかけようとして振り返った。そのとたん、ぎょっとしたような顔をした。


「どうかした?」


「い、委員長、胸が!」


「え?」


俺が胸元を見下ろすと、胸パッド内のスポンジが水を吸って重くなり、垂れ下がっていた。


あわてて両手で両胸をつかみ、ぎゅっとしぼる。とたんに水着の胸の位置から白い泡があふれ出てきた。


「きゃあっ!?」


両手を離すと泡まみれになっていた。元が台所用スポンジだから、洗剤が残っていたのか?


あわててプール際からプールに飛び込む。


「こらっ、藤野さん!危険だからそんなところから飛び込んでは行けません!」


先生に怒られて再びプールから上がる。今や生徒全員に注目されていた。


胸パッドのスポンジはまたも水を吸って垂れ下がっている。


そっと胸に両手を当て、今度は静かに水をしぼった。しかしやはり胸から泡が吹き出てきた・・・。


「い、委員長!」


その日、俺のあだ名は泡胸姫となり、やがて省略されて泡姫と呼ばれるようになった。ソープ嬢じゃないんだけど。


「そんなに胸を大きくしたいの、委員長」事情を聞き出した斉藤さんが俺に尋ねた。


「はい・・・」


「なら今度、蕗子をつれて行こうか?蕗子におっぱいを吸わせていれば、大きくなるかもよ」


俺はくやしくて言い返した。「蕗子ちゃんに片方だけ吸われて、片方だけ大きくなったらどうするのよ!?」


「じゃあ、月子もつれて行くけど」




台所用スポンジは失敗だった。少なくとも防水加工をしなければならなかった。もちろんそんな技術はない。


スポンジのように柔らかくて、水を吸わないもの。そんな夢の素材はないだろうか?


こんにゃくはどうだろう?最初から水気があるのが難点だが、あれ以上水は吸わないだろう。ただし、ちょっと臭いかもしれない。・・・いや、食べ物を粗末にするのは良くない。


結局、古い下着パンティーを丸めたものを二枚の布にはさみ縫い合わせることにした。下着一枚まるまるだと若干厚くなりすぎることがわかった。偽乳とばれているから、無用な見栄は張れない。結局下着は一枚を半分に切って、両胸に使った。


今度は不測の事態に備えて、取り外せるように水着の胸の内側には縫い付けない。水着と胸の間の圧力が頼りだ。


胸につけて上から触った感触はスポンジよりも頼りないが、誰かに触らせるわけではないから問題ないだろう。


自作胸パッド二号をつけたスクール水着を持って、二日目のプール授業に臨んだ。


斉藤さんが水着姿の俺の姿を見て叫んだ。


「また盛ってる!懲りないわね」


それを聞いて淑子が俺の胸に触った。


「ふにゃふにゃだ」


それを聞いて藤娘たちも触ってきた。


「見かけだけね。何を詰めているのよ?」と斉藤さん。


「お古の下着パンティーです」


「ちゃんとしたパッドを買えばいいのに」


「・・・そんなものにかけるお金がありません」


「今日のあだ名は乳盛姫ね」


「勘弁してください」


そのままプールサイドを歩く。同級生にはばれているので、みんなが俺を指さしてくすくすと笑っていた。


俺はとうとう観念して、胸から自作パッドを抜き取った。


そのとき、プールの外に黒い人影が見えた。


「きゃーっ、のぞきーっ!」


俺が叫ぶと斉藤さんたちが駆けつけた。


「あっ」と一方向を指さす。そこにはあわてふためいている校長先生がいた。


「こ、校長先生?」


「ご、誤解だ」校長先生はそう言って逃げて行った。


厳密に言えば、水着姿を見られただけではのぞきとは言えないだろう。市中のプールや海水浴場で女性の水着姿が男性に見られても、問題にはならない。


しかし、女子高内で、木々で隠されたプールの様子を、そして若い乙女たちの肢体を、あろうことか校長先生がわざわざ見にいったということはちょっとした問題となった。


職員室で校長先生は先生方に、


「未来の嫁の体つきを確認したくて、つい見に行ってしまった。いやらしい目的があったわけではない」と弁明して謝罪したらしい。


「未来の嫁がいるか知りませんが、今は他人で、しかも教え子です」


中村先生がそう指摘して、被害者本人にも謝ることになったらしい。


「そういうことなの、藤野さん」と中村先生が俺に言った。


「え?被害者って私ですか?」


「校長先生のいい分だと、あなただけを見に行ったということなの」


「でも、水着姿を見られただけですから、被害があったわけでは・・・」


そう言えば胸パッドを抜くところを見られたかもしれない。そのこと自体は恥ずかしいが、見た本人に会うのはもっと恥ずかしい。


「私は校長先生を糾弾したりしませんから、会わないですむようにしてください」


「そうね、性犯罪の被害者を加害者に会わせるわけにはいかないわね」


「いえ、ですから、性犯罪ではないし、私は被害者ではありません。そんな風に言われると、逆にお嫁に行けなくなってしまいます!」・・・行く気はないけどね。


「わかったわ。内々ですませるよう教頭先生に伝えておくわ」


「教頭先生?」


「ええ、今回の問題解決の責任者が教頭先生なの。なにせ犯人が、いえ、当事者が校長先生だから」


「あ、どうせなら、校長先生が私に接近するのを控える方向でまとめてください」


「わかった。言っておくわ」




それからしばらくして、校長先生の息子さんが書いた小説が文芸誌に載り、作家デビューを果たしたという噂を聞いた。さらに、長年つきあっていた女編集者と結婚したらしい。


これで校長先生につきまとわれることはないだろうと、改めてない胸をなで下ろした。


その文芸誌には校長先生の息子の写真が載っていたらしく、それを書店で見たという斉藤さんが、


「けっこうハンサムだったわよ。惜しいことをしたわね、委員長」


と、よくわからない感想を述べた。


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