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仲間がふえたのです

まだ描き足りないエピソードが・・・ごめんなさいです。

 「それではフェリさま~皆様、適当なお席にお座り下さ~い。お茶のご用意を致しますので」


 「不要です、マリエラさん。お嬢様」


 「はい、リリ。どうぞ、これで準備をお願いしますわ」


 「フェリ様、お茶の道具類を何処からともなく出さない。リリシア様、当然の様にお嬢様相手に勧めない。魔法は人前では使わないのでは」


 「その方は、認めたくはありませんが、一応幼馴染ですので、見慣れていらっしゃいます。なのであらゆる事で遠慮は無用です、エミリア様」


 「リリの言うとおり、マリエラさんは一応信用出来る?方です。エミリア様」


 「フェリさま~、あんまりです~。一番信用できる相手だと思うのです~」


 「兎に角、お話が進みませんので、お二人との関係を最初から詳しくご説明して頂けますか、マリエラ様」


 「私は商人の娘ですので、様は不要ですエミリア様。では王国の歴史から・・・」


 「マリエラさん、とお呼びします。で、お話を遮らせてしまい申し訳ありませんが、何故其処からになるのです?」


 「フェリ様の御父君は辺境伯様の異母弟様。なので、辺境伯様があの領地にいらっしゃることを語るには、まず、王国が三つの国だったところからと・・・」


 「最初から詳しくとは申しましたが、其処まで詳しくとは、申してませんわ。フェリ様とお知り合いになられた処からで構いません」


 「では、知り合う事になる少し前の段階から、お話しさせて頂きます。初めは関係なさそうに聞こえるかもしれませんが、ご清聴を。

 始まりは辺境伯様が、先代より今の地位をお継ぎになった処からです。王国が出来て以来、辺境伯家を代々続けてこられた家柄なのですが、王より依頼されし、王国南部に広がる嘆きの森からの守りと開拓が進展していませんでした。なので家督を継がれた時、その事に対して色々な政策をたてられました。

 森と王都の中心に作った辺境伯領に対して、手の薄くなる左右に歴代家臣を男爵に据えて、王都に被害が及ばぬ様、開拓と守りを前代までは尽力されて来られたのですが、有史以来ある森の木々は大きく育ち過ぎていたのです。開拓村を作り総出で伐採させても、日に二本、三本倒せればましという巨木に、全てを注ぎ込むと、村を維持する為の開拓が進まないのです。開拓も順調ではありません、村の近くの木々を何とかしなければ森からの獣と魔獣がすぐ其処から襲い掛かって来るのです。なので業を煮やした今代は次の事を成されました。

 一つ目は王都に有る冒険者組合と提携を結び、長期契約で森の内部を調査してもらう事。その際注意事項として嘆きの森の魔物は奥に行くほど異常に強くなると言われている為、その強さに対応できる者をという事、有用そうなものが有れば持ち帰る事。

 二つ目が、ここでフェリさま~が関係してくるのですが、辺境伯家が自由に出来る爵位で、異母弟君を新たな男爵として任命して辺境伯領の真下、森の中心の真上に当たる部分に、冒険者が寝泊まりできる宿を含めた新たな開拓村を作らせた事。

 三つ目が今までは辺境伯領の兵士が必要物資を左右の開拓村へと運んでいたのを、その分の兵までも新たな開拓に回す為、辺境伯領にある、商家に配送を委託する事。

 他にも色々ありますが大きくこの三つを、直ぐ実施されました」


 「かなり長くなっておりますが、本当に必要ですか、マリエラさん」


 「あります。二番目の策が有るからこそ、フェリさま~が開拓村にお出でになるようになるのですし、三番目の策が有るからこそ、我が商家の今が有るのです」


 「そうなのですね。申し訳ありません。お続けください」


 「戻ります。で、その政策を実行されるのですが、やはり、王国始まって以来続けてこられても無理だったものがそう簡単に良くなるはずはありませんでした。

 冒険者の方は先ずは広範囲を調査せず、強さを測る為と最奥を目指されたそうですが、余りの強さと多さに一進一退を繰り返し、それだけでも何年も掛けたそうです。最終的には辿り着き、広大な湿地帯とその先に広がる大河を確認したそうですが、大河の先には進めないと断念したそうです。なにせ一瞬海かと思う程の川幅があり、遠目の魔法を使える索敵の冒険者が、向こうの対岸の木々が生い茂る陸地を何とか確認できる位の距離だったそうです。その時持ち帰られたのが、麦に似た自生していた植物で食料に有用ではないかと期待されたそうですが、その当時は内陸では育ちが悪く味も悪いという事で、家畜のえさとして育てるに至るもので、成果としてはあまり扱われなかったそうです。

 開拓村の方も女性陣が冒険者が入れ替わり宿泊する宿の方に手を取られ、常駐になった兵士が森からの魔獣の討伐に当たり、男性陣が開拓に当たったのですが維持を続けるのが精一杯で、木々を倒し開墾までには至らなかったそうです。

 当時うちのは名ばかりの商会で、食料を扱う店舗だけでは食べていけず、母が丁稚とお店を見つつ生れたばかりの私の面倒をみ、父が王都近くの村々へと行商をしていたそうです。時期が良かったのでしょう、領内で行商をしている者がいると聞きつけた辺境伯様が、開拓村の方への必要物資の配達と行商をしてくれないかとお願いされたそうで、売れなくても確実に貰える金額を提示され、快く引き受けたのが商会が大きくなるのの始まりでした」


 「マリエラさん、前置きが長すぎです。お嬢様の食材選びの時間が無くなるのです」


 「うるさいです、リリさん。これからがいところなのです」


 「続きをお願いしますわ、マリエラさん」


 「すいません、エミリア様。ここからが私の話になりますが、父が辺境への行商をしながら過ごし、段々荷物が増え商隊といえる様になった時、向こうへと向かう護衛を格安で冒険者に頼めるようになり、道中が安全と思えた頃、お店を手伝う様になっていた私に言ってきたのです。向こうに面白いお方がいらっしゃるんだが、行商に一緒に同行してみないか、と。

 まだまだ小さな商会で、王都の学園に行けるような家ではありませんでしたが、商人にはなりたいと思っておりましたので、一も二もなく了承し同行することになりました。

 荷馬車での道中もいろいろ勉強と、皆さんの話を聞いていると、父だけでなく、護衛の冒険者も一人の方の話を楽しそうになさるのです。しかも話の内容が荒唐無稽で、私より幼い貴族の娘が開拓民と畑を耕し、樹を切り倒し、森に入り獣を狩り草を集めている、と。皆さん私を退屈させぬ様、そんな話をして下さっているのかな、と思いながら目的地へと向かいました。

 目的地の村に着くと最初に目に飛び込んできたのは一人の異様な少女でした。肩までの長さで前髪は眉の上で横にばっさりと切りそろえられた様な髪型の子なのですが、真っ黒なのです、それに瞳も。

 父が村の皆と話しておいで、と私を解放してくれて、他の子供達とはすぐに仲良くなり遊ぶようになったのですが、その子には何故か近寄れませんでした。村長の娘としてリリシアという子を紹介して頂いたのですが、普段は子供達の代表の様な感じで遊びまわっているのですが、あの黒い子が居るとそちらに行って戻ってきません。その当人は空いてる時間は子供達と遊ぶのですが、大体の時間は冗談ではなく聞いた通り、大人に混じり畑仕事や森に出向くのです。尚更怖い存在の様でなかなか仲良く出来ませんでした。

 そんな商隊に何度も同行して村になじんだ頃でした。その日も村の人達はうちが運んできた商品を集まって楽しそうに見てくれて、子供達も集まって邪魔にならないとこで遊んでいたのです。

 突然でした。森の方から狼の様な魔物が数十匹も飛び出して来たのです。

 大人たちは慌てて対処に向かいましたが、相手を出来たのは冒険者位。女、子供も多い村です。戦える大人が沢山いる訳でもないと聞いています。今までは多くても数匹といった魔物との戦いしか、一度にはしたことがないとの事なのに、さらに武器や防具も準備していない、この状況は最悪でした。

 子供を守るために盾になってる大人たちの叫び声がきこえ、血を流す人も見受けられました。そしてとうとう、大人たちの間を抜けた魔物が此方に襲い掛かって来たのです。皆と一緒に居た私は余りの出来事に動けなくなって座り込んでいました。そんな動けない私に向かい大きな口を開けた魔物が飛び掛かって来たのを見た時、もう駄目だと思った目に、信じられない光景が写ったのです。

 信じられないスピードで駆け寄り、自分の腕を魔物の口に押し込み、そこから血を流しながらも、もう大丈夫と私に笑いかけてくれて、空いてた方の細い腕でその魔物を殴り飛ばしたのです。

 それからは圧巻でした。流れる様に踊る様に拳で脚で魔物をバタバタと倒していくのです。その後も何と怪我した人たちを魔法で治療までしていくのです。自分は村の人達を治した後こっそりと治療してたのを私は見ていました。リリからは何で魔法を使わなかったのです、と言われて、皆を巻き込むからと答えてらっしゃいました。

 それからです。私はその時からフェリさま~一筋なのです~」

 

 「凄い体験をされたのですねマリエラさん。それで一緒に居る時間を多くしたいと?」


 「その時は強い方だと思うばかりでしたが、その後も・・・」


 「長くなりそうなので、またの時にお伺いします。ご両親は寮に入る事は?」


 「勧められています。是非お役に立てるようになれと」


 「フェリ様。隠し事などせずともよい信頼できる方なら、入寮されてもと思うのですが、どうでしょう?」


 「私だけでも、ご迷惑になると思うのですが、エミリア様がそれでも宜しければ」


 「寮を運営されている国としても、オークランド商会様とは懇意ですし、拒否はされないと思いますので、良いのではないのでしょうか。では、マリエラさん許可という事で」


 「でしたら~フェリさま~、私のお部屋にお願いします~」


 「何故です、許しませんよマリエラさん」


 「あなたから許されなくてもいいんです。フェリさま~お荷物を~お願いします~いつもの様に、ちょいっと~」


 「判りました。お店の方で食料を見てきますので、その間に纏めておいてください」


 「は~い、了解です~フェリさま~」


 「大丈夫なのでしょうか?心配になってきました」


 「もう遅いです、エミリア様」

楽しく読んでいただけたら幸いです。

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