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第166話 SS 勇者様が求める③

『勇者よ、魔を破るものよよく聞きなさい。まずはアースガルズを目指すのです。そこで聖なる守りと共に旅立つことができるでしょう』

それだけ伝えると聖なる気配はすぅっと何かに溶け込むように消えていった。”聖なる守り”なんのことだ。何か我が使えるようなアーティファクトでもあるのであろうか。

周りを見回すと誰も頭を上げず祈り続けている。ひょっとすると神託を受けたのは我のみなのであろうか。

「神託を受けたぞ」

我が声を掛けると周囲があわただしく動き出した。

「勇者様、本当に神託が降りたのですか」

大司教さえ驚きに声を震わせている様子を見るに、本当に我にのみ神託がくだったようだな。

「うむ、アースガルズへ迎えとおっしゃられた。そこで聖なる守りと共に旅立つことになるとな」

我の言葉に大司教が少しばかり難しい顔をしおった。しかしさすがは大司教、すぐに表情を戻す。

「アースガルズか」

大司教の言葉に引っ掛かりを覚えたものの神託を受けた以上、我はアースガルズに行かざるを得ない。我としては自らの意思と異なるものには抵抗を覚えるが、教会関係者にアースガルズの場所を聞き翌日には出立することになった。


「聖なる守りとは何と考えるか」

我が口にするとパーティーメンバーはそれぞれに口にしはじめた。

「優秀な癒しの手とかですかね。女性ばかりで、しかも多くが見眼麗しいそうじゃないですか」

ライアンらしい下世話な予測であるな。しかし、我が勇者である以上それはない。

「ないな。それだけは無い」

我が言下に否定するとライアンは正に不機嫌そうな顔に変わる。それにこいつはパーティーメンバーに女性がいることをわすれておるわ。

「ライアン」

やはりな、アスセナが汚物を見るような目で見ておる。

「アーティファクト、ですかね」

堅物のレミジオらしい予測ではあるが、我もその可能性が高いと思っておる。

「我もその可能性が高いのではないかと考えるがな。アスセナはどう思うか」

我からの直接の問いにアスセナは少しばかり黙考し

「優秀な補助魔法を使える神官でしょうか。しかし、聞いているような小さな村にいるとは考えにくいですが」

補助魔法か、我以外には有効であろうが、少しばかり


「あいつの方が足が速いからね。逃げるのは無理だよ。それに村にまで追われたらみんなが危ない。もし僕が負けたら僕をあいつが食べている間に逃げられるから大丈夫だよ」

幼げな声が聞こえた。見やれば身の丈の数倍はあろう巨大な熊の魔獣グレートベアに襲われながら小柄な女子を背後に庇い一歩も引かず立ち向かう男子がいた。女子は脅えているが男子は言うている言葉のわりに落ち着いている。覚悟を決めているのだろう。ここで見殺しにするのは惜しい。ひょっとすればこの男子こそ神託の聖なる守りか。そう思った我は思わず動いていた。

「素晴らしい。君のような気概をもった若者をあたら死なせるわけにはいかない。助力する」


「ありがとうございます。助かりました」

深く頭を下げる2人。ふむ、2人ともこんな村に住むにしては美しい見た目をしておるな。そんなことを考えておったところに女子が進言してきた。

「あ、あのお礼というのではないですが、少しだけ回復をさせてください」

どうやらこの女子は回復魔法の使い手か、この年頃にしては優秀かもしれんな。しかし、

「いや、それは不要で……」

我がそこまで言ったところで女子の魔法が我らを包んだ。

「無詠唱か」

パーティーメンバーは、そちらに驚いていたが、我は別のことに驚いている。我を回復しただと、勇者たる我を。これは間違いない。

「我は勇者ギーゼルヘーア・フォン・ヘンゲン。試練の旅の途中である。そのほうら名前は」

「ゆ、勇者様。俺はフェイウェルと言います。村で狩人をしています」

「あ、あたしはアーセル”聖女”の祝福をいただいております」

やはりそうであったか。なればこのアーセルこそ神託の……。

「アーセルとやら、我らの試練の旅に同行してはもらえぬか」




「ふふふ」

「あら、ギーゼ何思い出し笑いしてるの」

「ああ、アーセルか。アーセルやフェイウェル殿と出会った頃の事を思い出していたよ。それと同時にひょっとしたらあの神託はアーセルだけの事では無かったのではないかとも思ってな」

確かにあの出会いによって我は生涯の伴侶を得、そして真の勇者と出会っていた。しかしそう、あの時アーセルだけでなくフェイウェル殿やミーア殿を共に誘っていたなら……


-fin-

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