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第165話 SS 勇者様が求める②

我らはいくつもの街や村で魔獣討伐を討伐し、国境の荒野を超え聖国へ入った。ここまで来れば聖都はもはや目の前ではある。

「思ったより時間かかりましたね。そろそろ柔らかいベッドで寝たいです」

魔術師でありパーティーの中で一番体力の低いアスセナは馬車での移動でも辛かったようだ。

「まあ下々の力ではどうにもならんのだろう。ノーブレスオブリージュというものだよ。それに聖都ではそれなりの宿もあるだろう、そこで少しばかり休養を取って、それから教会で神託を得てもよかろう」


聖都では特に問題はなく、スムーズに宿をとることができた。「夜の羊亭」勇者たる我が泊まるにふさわしい上級の宿であった。


宿の者に金貨をわたし教会への先触れをさせ、2日後にパーティーメンバーと共に教会を訪れることを決める。

「で、明朝、教会に行くわけだが、皆大丈夫だろうな」

勇者で子爵家嫡男たる我がおるいじょう、そう面倒な事はないはずではあるが、流石に聖都の教会ではそれなりに気を使わなくてはならない。面倒な事だ。

我の問いにパーティーメンバーの3人が頷くのを見て

「では、明日の朝食堂に集合だ」


我らは今聖教会大司教チェイニー・モルダー・ミラー猊下に謁見している。聖教最上位の大司教相手では我らとて膝を折らざるを得ない。片膝を着き首を垂れ大司教の言葉を待つ。

「勇者ギーゼルヘーア・フォン・ヘンゲンおよびそのパーティーメンバーの3人。面をあげよ」

国こそ違え相手は上位者。我らは言われた通り顔をあげる。

「大司教猊下におかれましてはご機嫌麗しゅう。ご尊顔を拝し光栄にございます」

我は型どおりに挨拶の言葉を紡ぐ。ここから何を言われるのか……。

「卿らは勇者の試練の旅に出ると聞いた。間違いないか」

「は、間違いございません。その上でご神託をいただきたく訪問させていただきました」

お互いに分かり切ったことではあるけれど、これは様式美というもの。無下にして無駄に事を荒立てることも無い。

「では身を清めたのち神託の間へおいでいただこう」

予想はしていたがやはり色々と面倒だ。今からでもこのまま抜け出して……そうはいかぬか。我は勇者であり、そして同時にヘンゲン子爵家の嫡男。家名に泥を塗るわけにもいかん。

それぞれ聖なる沐浴として聖水による沐浴をし聖衣に着替える。


「神託の間は、こちらになります」

下位の司祭に案内された神託の間は、驚くほどに飾り気がなかった。唯一聖印がそれらしさをかもしだしている。

「では、こちらで神託へのお祈りを」

大司教の後ろに続き我らも膝を折り祈りをささげる。

どれほど経ったか、ふいに光を感じ目を開けると、聖印を背後にし半透明の聖なる気配がそこにあった。

『勇者よ、魔を破るものよよく聞きなさい。まずはアースガルズを目指すのです。そこで聖なる守りと共に旅立つことができるでしょう』

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