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Unlimited World ~生産職の戦いは9割が準備です~  作者: あきさけ
第6章 帰ってきた男、新たなる国
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182.帰ってきた男

第6章スタートです。

プロット上だと今回も長くなりそう……


 今日は夏休み最初の日曜日である。

 とは言っても、特に用事があるわけでもない。

 夜には『白夜』のメンバーにフェアリーブレス装備を作る作業が待っているが、日中は暇である。


 特にやることもないので午前中は夏休みの宿題を進める。

 とりあえず、進捗としてはかなりいいペースのはずだ。


 そして遥華と昼食を食べたら、ゲームにログインすることになった。

 何でも錬金アクセサリーを作ってほしいらしい。

 俺が大量に錬金アクセサリー作りをしたせいで、★7宝石の相場は最初の倍程度に跳ね上がっているが、事前に買いそろえてあったそうだ。

 それなら早めに言ってくれればいいものを、今まで黙っていたのは借金の負い目があったからだと。

 ともかく、そう言う訳らしいのでこれからログインしてゲーム内で待ち合わせることになった。


 ゲームにログインするといつものクランホームの自分の部屋。

 同居人が増えたことで色々とモノが増えた自室。

 そこには先客――というか同じ部屋のもう1人の所有者がいた。


「こんにちは、ユキ」

「あ、こんにちは、トワくん。今日はどうしたの?」

「んー、特に用事もないし、少しゲームをしようと思って。あとハルが錬金アクセサリーを作ってほしいらしい」

「そうなんだ。私は在庫補充かな? 今はシャイナちゃんやエアリルちゃんと遊んでたけど」

「……こんにちは、トワ」

「やっほー、トワ、元気?」

「ああ、元気だぞ」


 約1ヶ月前に再会した元サポートAI、現俺の眷属の雷鳴の精霊エアリル。

 それから、ユキの眷属の神聖の精霊シャイナ。

 普段からよく一緒にいる2人ではあるが、今日はユキと一緒のためいつも以上にご機嫌なようだ。


「さて、それじゃあ俺は下に行くけどユキはどうする?」

「うん、私も行くよ。シャイナちゃん達は?」

「……一緒に行く」

「じゃあボクも行こうかなー。1人でいても暇だし」

「わかった。……余り邪魔はするなよ?」

「わかってるって。ボクはTPOを弁える精霊だよ?」

「その言葉が信用できないから聞いてるんだがな……」


 ともかくこんなところで言いあってても始まらない。

 とりあえず俺達は部屋を出て階段を降りていく。

 1階まで降りたところでばったりと柚月に遭遇した。


「ああ、トワ、ちょうどいいところに。ログインしてなかったらメッセージを送って来てもらおうと思ってたところよ」

「うん? 何か急ぎの用事か? 少なくとも納期が迫っているような仕事はなかったはずだが」

「仕事じゃないわ。とりあえず談話室に来て。そうすればわかってもらえるはずだから」


 それだけ言い残すと柚月は廊下の奥、つまり談話室へと走り去っていった。


「柚月さんがあんなに慌ててるなんて、何があったんだろう?」

「さあなあ。ともかく行ってみよう」


 ユキじゃないが柚月が戦闘関連以外で慌てるなんて事は非常に珍しい。

 一体何があったと言うのか。

 俺達も柚月の後を追うように談話室へと向かう。

 するとそこには1人の中年男性の姿があった。

 中肉中背、絵に描いたような30代半ばから40代前半ぐらいの中年男性。

 そう評価するしかないアバターを持ったプレイヤーがそこにはいた。

 ……おいおい、まさか……


「やあ、トワ君も来たのか。久しぶりだね」

「……おっさんか!? 復帰したのか!?」

「うーん、復帰というか、なんというか……まあ、微妙なところなんだけど、この(Unlimited)世界(World)には復帰だね」

「そうか、おっさん、戻ってきたのか」

「ああ、戻ってきたよ。……それにしても『ライブラリ』もだいぶ変わったね。人数が減ったのは仕方が無いとして、クランホームがさっぱりしすぎやしないかね」

「……その辺は曼珠沙華の管轄だったからね。私らじゃあ、クランホームの装飾まで気にしないのよ」

「ふむ、それじゃあおじさんが少し手を加えさせてもらうとしようかね」

「えっと、トワくん、柚月さん、そちらの方は?」

「ああ、ユキは初めてよね。この人は……」

「初めまして、ユキさん、でいいのかな? 私の名前はオリエントジーン三世。長ったらしいアバター名だから『おじさん』でも『おっさん』でも好きな方で呼んでもらえると幸いかなぁ」

「えっと、オリエントジーン三世さんですか?」

「うん、まあ、長いから『おじさん』で構わないよ。むしろ、そう呼んでもらうためにつけた名前だしね」

「ええと……?」

「『オ』リエント『ジ』ーン『さん』せい。略して『おじさん』だね。中身はおっさんなので『おっさん』でも構わないよ?」

「えーと、それじゃあおじさんで……」

「うん、それで構わないよ。よろしく、ユキさん」

「よろしくお願いします、おじさん」

「うんうん、よろしくね」

「それで、おっさん。このゲームに復帰って事は……」

「うん、できれば『ライブラリ(古巣)』に入れてもらいたいところだね。まだ始めて1週間ぐらいしか経ってないから、こんな物しか作れないけどね」


 そう言いながら差し出してきたのはブロンズ製の指輪。

 鑑定してみると★5の指輪だった。


「何が1週間しか経ってないだ。普通に『初級の壁』まで作れてるじゃないか」

「いやぁ。さすがにその程度を作れないと、生産廃人『ライブラリ』は名乗れないからね。この1週間頑張ったんだよ」

「ともかく、復帰したなら加入手続きをしないとね。トワ、加入手続きをお願い」

「ん、わかった」


 とは言っても、おっさんのフレンド登録はしてあるからそこからクラン加入のための申請をするだけだ。

 後は、おっさん側で参加承諾を……うん、ちゃんとしてくれたようだな。


「うん、これでようやく、『この世界に帰ってきた』という感じだね。……ところで、トワ君とユキさんの肩の上に乗っているのが噂の妖精かい?」

「んー、ボクはもう妖精じゃなくて精霊かな? 似たようなものだけどね」

「私も精霊」

「おや、それは失礼。教授が拡散した情報では『妖精』としか言ってなかったから、てっきり妖精のままだと思ったよ」

「こう見えても、既に現在のレベルキャップにまで到達してるんだぞ、この精霊」

「へぇ、それはすごいね。……それで、その妖精とか精霊とかを手に入れるレイドって難しいのかい?」

「んー、最初は難しかったけど、いまはスキルも揃ってしまったし簡単かな。おっさんも妖精欲しいのか?」

「あー、欲しいというか。ゲームを開始したときに『水精霊の加護』って言うのをもらったんだけどね。関係があるのかなと思ってね」

「……さすがおっさん。これまで10万人の中、60人程度しかとれてない称号を取るか」

「いやぁ、チュートリアルのAIが聞き上手だったもので色々話し込んじゃってね。そうしたら別れ際に加護をくれたんだよね。それで精霊ってなんなのか調べたら、眷属とか言うシステムの名前だそうじゃないか。それで、どうしたものかと思っていたところに、教授の情報だ。いやぁ、驚いたね」

「……そう言えば、教授ってもうレイドの情報流してたのか?」

「日曜に日付が変わってすぐに流したらしいわよ? 速攻でプロゲーマークランが飛びついたとか。あとは、眷属関係でそっちの方でもレイドクエストに挑もうとしてるらしいわ」

「へえ、そんなにすぐに動き出したのか」

「まあ、初クリアからもう4週経ってる訳だしね。レイドクエストをクリアしたいところや、眷属が欲しい人達なら飛びつく情報って事でしょ?」

「まあ、その通りだと思うけどね。トワ君は売り出した話を聞いてないのかい? 初発見者は『ライブラリ』だって噂なんだけどね」

「日曜日から売り出すとは聞いてた。でも、まさか日付変わってすぐとは思わなかった」

「なるほどね。でも、オンラインゲームの花形時間帯は夕食後から深夜にかけてだからね。今日の朝とかに売り出すより、日付が変わってすぐの方がインパクトは高いよね」

「……まあ、そうなのかも知れないな。普段、俺とかは寝てる時間なんだけど」

「相変わらず、オンラインゲームをやってるにしては規則正しい生活をしてるよね。……さて、それじゃあ、挨拶は済んだし、私は一度失礼するよ」

「ああ、それならクランホーム(ここ)をログインポイントに指定した方がいいぞ? クランメンバーなら誰でも指定出来るから」

「それじゃあそうさせてもらおうかね。ドワン君にイリスちゃんもいるんだろう? おじさんの状況とかβの時に接続できなかった説明とかしたいから、夜にでも集まってもらえると嬉しいんだけどね」

「ええ、わかったわ。ドワン達には私から伝えておくわ」

「それじゃあ、よろしく頼むよ。またね、皆」


 おっさんの姿が光の粒子になって消えていった。

 ログアウトしたと言うことだ。


「あの、それで、今の方って……」

「ああ、ユキには詳しく話してないわよね。昔、ライブラリにアクセサリー担当の細工師がいたって話はしたような気がするんだけど覚えてる?」

「はい、それは何となくですが聞いた記憶はあります」

「それが今さっきまでここにいた、おじさん、オリエントジーン三世の事よ。ああ見えて凄腕の細工士なのよ。アクセサリーに関しては私以上のデザインセンスをしてるしね。キャラは濃いけど、いい人よ?」

「そうなんですね。でも、自分からおじさんって呼び名をつけるって変わってますよね」

「そうなのよね……『リアルじゃ出来ない事をやれるのがゲームだからね』とは言うんだけど、それがどうして『おじさん』とか『おっさん』になるのかまったく理解できないのよね……」

「まあ、ともかく、夜には事情を説明してくれるらしいし、その時にでも詳しい話を聞いてみよう」

「それもそうね。……ところで2人は何でこの時間にログインしてきたの?」

「俺は妹が錬金アクセサリーを欲しいって言うから、それを作りに」

「私はお店の在庫がきれてないか確認とシャイナちゃん達とお話をしに」

「料理の在庫は切れてないから大丈夫よ。どちらかと言えばポーションの在庫の方が危ないわね」

「……それじゃ、俺も在庫作りをするか」

「そうして頂戴。……それにしてもおじさんに一体何があったのかしらね?」

「さあな。その辺は夜にでも説明してくれるだろ」


 とりあえずこの話は一旦ここで打ち止めとなった。

 なお、この後、ハルが訪ねてきたが、俺が★11の錬金アクセサリーを作れることを見越して★8宝石で揃えてきた。

 結果としては問題なく★11のアクセサリーができたが失敗したらどうするつもりだったんだか……

 あと、ハルもおっさんの知り合いなのでおっさんが復帰してきたことを説明した。

 ハルもかなり驚いていたが……まあ、そりゃ驚くよな。

いつもお読みいただきありがとうございます。

「面白かった」「これからも頑張れ」など思っていただけましたらブクマや評価をお願いします。

作者のモチベーションアップにつながります。

誤字・脱字の指摘、感想等ありましたらよろしくお願いします。



~あとがきのあとがき~



本章はまったり進行で行きたいところ。

本来はまったり系小説で始めたはずなのに、3章終わりとか5章とかまったくまったりしてなかった(


テーマが武闘大会にレイドクエストだから仕方が無いとはいえタグ詐欺もいいところ(


そして、最近、この程度の文書量だと短いと感じてしまう不思議。

昔はこれぐらいが普通だったんだけどなぁ……

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