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ヒロインがスパイ! ~~女神様にリサイクルスキル貰いました~~  作者: かのね
第一章 学園編という名のプロローグ
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第十話 爆破



 あれからヒースが会いに来るたびにこっそりと薬を盛り続けて暗示をかけた。

 ヒースは頑張っているのに当たり前だなんて思う周りが悪いとか、私の方がヒースの事を分かっている私と結婚しようとか、ヒースの方が才能があるから早く王になった方がいいとか。


 パーティーで驚かせたいからそれまでいつも通りにねと言って別れる。最近は元気なヒロインちゃんを演じなくていいから楽だ。


 そうしてやってきましたパーティー当日。夏休みもあと少しという今日は、建国のパーティーの為方々から人が集まって来る。敵対している帝国からも数人来ることになっている、一応貿易は細々と行っているからだ。敵と言っても大々的に戦争をしているわけでは無いので、呼ばなければ呼ばないで火だねになる。なのでどれだけ嫌であろうと数人は呼ぶことになっているのだ。


「じゃあリリア、貴女は今すぐに逃げなさい、上手くやるのよ」

「はい……カーラ様ご武運を」


 出ていったリリアを見送ってから侍女の部屋に入り、忘れ物が無いかのチェックを行う。


 しっかりと全ての荷物を持っていったようだ。私のカバンもすべて持って行ってもらった。因みにゼラのところで使った巾着はあれ以降アイテムボックスから出していない。盗まれて今日のイベントが台無しになったらそれこそやってられない。


「よし、カーラ、これが終わったら浴びるように酒を飲みましょう」


 椅子に座り、机の上にある二つの物を見て気合を入れる。

 一つは小さな丸薬、もう一つは紙に文字が書いてある。

 この丸薬は自分に暗示をかける物。ある程度の暗示薬に抵抗はあるが、この本当にスペシャルな暗示薬は自分が暗示に掛かっていると見せかけるように使う物だ、普通なら調合できないような品物である。これの出どころはなんとリリアであった、これ使えませんかと出されたこの丸薬を見て流石に表情を無くしたのを覚えている。

 どうやってこんなもの手に入れたんだと聞いたら、今回の任務に当たって上司から貰ったという、私にも欲しかったわ畜生。


 丸薬をパクリと食べて飲み込む。それから目の前の紙に書かれている文章をゆっくり声に出して読んでいく。


「私カーラはヒースのお嫁さんに相応しい。光魔法という強力な武器を持った私は憎きヘンリエッタよりもヒースに相応しいのだ。そしてヒースの周囲からの評価もおかしい、あんなに頑張っているヒースが誰にも褒められないなんておかしい、今日はそれをちゃんと皆に分かってもらおう。一番偉いのはヒース、王様よりも偉いヒース、そしてその妻になる私も偉いだってヒロインなんだから」


 少し残る理性を総動員して紙をアイテムボックスに入れる。


 ……なんだかふわふわしてきた。


 これからどうするんだっけ、そうだヒースのところに行かなくちゃ。今日は大切なパーティーがあるんだし。お洋服もヒースに用意してもらった綺麗な黄色のドレス、本物のお姫様みたいだ。ううん違う、私は御姫様になるんだった。だって私がこの世界のヒロインなんだもん、そうならなきゃいけないんだ。


 外に出たらヒースの馬車が待っていて駆け寄る。


「ヒース!」

「カーラ!」


 ぎゅっとお互いを抱きしめてにこりと笑いあう。護衛の人たちはとっても険しい顔をしているけれどどうしたんだろぉ、お腹でも痛くなっちゃったのかな。それにしてもヒースは今日ぴしりと決まっていてかっこいいなぁ、落ち着いた黄色の洋服は私と色がお揃いだ!


「俺のカーラ、一緒にパーティーに行くぞ」


 お空を見上げればもうお日様は真上に来ていた。確かパーティーはお昼から始まるんだよね、遅刻しちゃいけないし急がないと。

 

 馬車に乗り込んだ私達はきっと誰から見ても理想のカップル、ヘンリエッタなんて目じゃないわ。


「カーラが無事でよかったよ」

「?」

「実は今朝カーラに暗殺者が送られていた、俺の護衛がいなければ大変な事になっていた」

「……怖いよヒース」

「大丈夫だ、俺がいる、全部任せればいい、俺に付いて来ればいい」

「うん! ヒースかっこいい!」

「だろ?」


 馬車が停まるとヒースが先に降りてエスコートしてくれた、幸せ。お城に入るといきなり壮年の執事さんが此方に走って来てびっくりしちゃった。


「何処に行っておられたのですかヒース様!」

「俺のパートナーを迎えに行っていただけだ、今から行くから騒ぐな」

「ヘンリエッタ譲でしたら」

「あんな女の事じゃない、俺のカーラの事だ」

「初めましてカーラ・ルクレンです!」

「行くぞカーラ」

「うんヒース」


 なんでかあっけにとられた執事さんはその場でフリーズしちゃった。でもびっくりさせようって二人で考えてたから先ずは成功ってところなのかな? この後も楽しみ!


「ヒース様! 既に残すところはヒース様と陛下御夫妻のみです」

「丁度良かったか」


 すっごい豪華な通路を通って、綺麗な個室に入ると直ぐに大きな扉が目に入った。このメイドさんの言っていることが正しいならこの先はダンスホールで私達以外は此処に居るって事なんだよね。


「どうしたカーラ」

「ちょっと緊張してきちゃった」

「大丈夫だ、俺に任せろ」

「うん」


 扉が開かれる。

 その先には色とりどりの洋服を纏った貴族の人たち、それから大きなシャンデリアとテーブルに置かれたお料理と飲み物! すっごくキラキラしていてテンションが爆上がり!


 そして私とヒースを見る皆の顔が驚いてる驚いてる、これは作戦大成功だね!


「ヒース様!」


 折角気分が良かったのにこの声でテンションが下がる。現れたのは神の色と同じ色のドレスを纏った悪役令嬢。


「どういう事なのですかヒース様! その女をこの場に共に連れてくるなんて」

「どうもこうも無い、カーラと共にいて何が悪い」

「なっ! ご自身のお立場を分かってらっしゃいますの!」

「だからこそだ」


 ヒース達の声に周りがざわめき始めたけれども、次第に誰も声を発さなくなった。そして皆私達ではなくある一点を見ているので私もそこを見る。

 

 そこにはヒースを大人っぽくしたカッコいい男の人と、アランをとっても可愛くしたような女性が此方に向って来ている所だった。


 それに気が付いたヘンリエッタは膝をつこうとして、ヒースに似ているイケメンさんに止められた。


「折角の建国記念だというのになんの騒ぎだこれは」

「父上」

「説明しろヒース、此処には我が国だけでなく周辺国家の方々もいるのだぞ」

「父上、折角ですので皆様がいらっしゃるこの場でこのヘンリエッタ・ホナーとの婚約を破棄させていただきたい」

「それがどういう事か分かって行っているのか」

「どうもこうも、この女はカーラを暗殺しようとしたのです、そのような女と婚約者などありえない!」

「暗殺だと?」

「そうです、元々この女がカーラに何かしようとしていたことは知っていたのでホナー家を張らせていたらこの女付きの侍女が暗殺者を雇ったところを発見、その後カーラのいる学園の女子寮に入ろうとしたので捕縛している」

「その暗殺者はどうした」

「……」

「成る程、自害したか……という事だがヘンリエッタ譲」

「全く身に覚えがございませんわ」

「白々しい!」

「落ち着け、そしてその女がカーラか」


 王様に目を向けられて礼をする。


「カーラ・ルクレンと申します」

「彼女は俺の婚約者になるのです」

「何を勝手な」

「彼女こそ次期王の私の妻に相応しい方です!」


 ヒースは王様を睨みながら答える。王様もヒースを睨みつけている。


「……ヘンリエッタ譲の事は後で調べる、先ずは皆様に謝罪をするのが先だヒース」

「父上!」

「お前は今どれだけの事をしているか分からんというのか!」

「……そうやって父上はこの国をダメにする」

「なんだと」

「父上は王に相応しくないとそう言ったのです!」

「……」

「周辺国家にばかり気を取られ媚び諂い国内を危機にさらしている! 教国に何をしてもらったというのですか! 毎回高い金をお布施と称して渡し奴らが我々に何を返しているのですか! その金でどれだけ国を豊かに出来ると思っているのですか! その金を使えば帝国とでも対等に渡り合える! まして帝国との国交が貧弱なせいで足元を見て高い税を取る商業都市など今後は我々が支配すべきなのです! それをいつまでも不確かな神などという存在を信じて金を無心する者たちに取られるなど言語道断! 国を思うのならばこそ父上は即刻私に王の座を譲るべきなのです」


 言い切ったヒースは未だ王様を睨みつけており、王様は驚いて口をパクパクさせている。


「き、貴様はなんという……」

「良いでしょうか」


 しんと静まり返っていた周囲の中から、ヒースと王様のお話に入って来たのはとても綺麗な女性の声だった。

 人垣が割れて出てきたのは私と同じ身長くらいの女の子、銀髪がとっても綺麗で顔もそれに似合った美人さんだった。私とは反対のタイプだ、彼女は綺麗な女の子。


「巫女様、この度は申し訳ございません、このような場で」

「それよりも先ずはやらなければならないことがあります」


 後ろの三人の護衛の方たちがヒースを睨んでいる、今にも飛び掛かってきそうだ。それを巫女様と呼ばれた方は手で制してから口を開く。


「其の快方を願い精神の回復を『リジェネレイト』」

「うっ」


 巫女が私達に魔法を放った瞬間、頭に激痛が走った。


「いやあああああああああああああああああああああああ!」

「なっ! 私の『リジェネレイト』ですら一回で快方させられないなんて! 其の快方を願い精神の回復を『リジェネレイト』」


 更に私に魔法がかかり、頭の中のもやもやが無くなってとても爽やかな気分になる。今まで何も考えられなかった頭が回り出し、私を取り戻す。


「こ、こは」


 辺りを見渡すと多くの人が此方を見ている。色とりどりの正装やドレスは品が良くそれでいて派手だ。見ただけで質の良い生地を使っていると分かる。そして隣にはヒース、更に国王陛下と王妃様までいらっしゃる。問題は目の前の女性、今は綺麗な顔をほっと安堵の表情を浮かべている。だがその後ろの護衛の三人は此方にとびかからんばかりの目線を私達に向けている。


 だが此処は早急に演技に戻らなければならない。

 私は勢いよく膝をつき陛下に首を垂れる。


「一体どういうことだ……」


 上から陛下の声が聞こえる。


「ヒース様と彼女、カーラさんでしたか? お二人は暗示薬をどなたかに盛られたのでしょう、私は人よりも幾分も体調の異常という物が分かるのです、ですから最初からお二人が何かしら異常であることは分かったのですがその解析に手間取ってしまいました」

「は、発言をお許しいただけますか」


 声を裏返らせながら私が問う。


「許そう」

「構いませんよ」

「私はカーラ・ルクレンと申します、本来であればこのようは場に足を踏み入れられる者では無いのですが、自分が今どうして此処に居るのか分かららず、ですが巫女様に何かしら異常を直していただいたようでございますので、お礼を申し上げます」

「ヒース様の方は小さな暗示でしたが、貴女の方はかなり深い暗示でした、折角のパーティーに水をさされるのも嫌ですしケリをつけてしまいましょう、一体どなたに薬を盛られたのか分かりますか?」

「はい……国王陛下、名を口にすることをお許しいただけますか?」

「よい」

「ゼラ・イェフです」

「……知りませんね」

「……学園の教員か」

「はい、夏休み期間に先生の家に呼ばれたのです、恥ずかしながら私は貴族と平民の子、しかも12になるまで自分が貴族の血を引いていると知りませんでした。きっとそのことで何かしらあったのだろうと呼び出しを受けて見たのですが……いきなり押し倒され言うことを聞かなければと脅され……紅茶を飲んだのです……それが薬だったと思います」

「偽りはありませんね」

「はい」

「あっいいのです今のは貴女への確認ではありません」


 思わず顔を上げてしまうという演技をする。その言葉の意味を知りたかったからだ。

 巫女が見る方向には一人の護衛、その手には小さな水晶が握られていた。


 まさかあれって国宝の真偽の水晶じゃ……。この国にもあるから最悪それを使われる前提で行動はして来たけどまさかこんな物をほいほい持ち出すとは、流石巫女様おっかないわぁ。


「はい巫女様、彼女の言に偽りはございません」

「そうですか、怖い思いをしたのでしょうね」

「……」


 俯きながら両手を顔に押し付ける。そして頑張って涙を流して肩を震わせた。こんなところでハイなんて言ってしまったら嘘ついたという事で水晶が黒く染まるだろう、嘘をつくと中の白い靄が黒くなるのだ。


「貴方は先生になんと言われたのですか」

「私と、ヒース様が、相思相愛で、ヒース様に、如何にヒース様が素晴らしいかを、説けと……そして薬をのみ続けろとっ」


 手を大きく顔から外してくたびれた女性の演技をする。王様が目線で直ぐに確保に行けと命令をして、騎士達がにわかに動き始める。だけど残念でした、彼は既に記憶なんて残っていない、今どこにいるのかさえ知らないし。


「陛下、私はとんでもない事を致しました。例え操られていたとしてヒース様に、私は……」

「カーラのせいではないだろう! すべてはゼラが悪い」


 今まで固まっていたヒースが私の肩を掴む。


「陛下、私は貴族の席を降り平民となります、暗示とはいえ私は……お許しいただけますでしょうか」

「仕方無いでしょう、アディラ王此処は私に免じて彼女の言うとおりにして差し上げるの如何でしょう」

「……そうだな、此度の事は学園の教員が起こした事だ、罰無しとはいかないがカーラ譲の望む通り罰は貴族席を排し平民に下る事とする」

「待ってください父上」

「いいのですヒース様、それと申し訳ございませんでした」

「だが俺はお前が好きだ、暗示なんてなくとも」

「ありがとうございます、しかし私は殿下のお力になろうと思ったことは数知れませんが色恋として殿下の事を思ったことは一度もございません」


 私がきっぱりとそう言うとヒースは私を見つめたまま固まってしまった。


「……ではアディラ国王」

「巫女様、そしていらっしゃった各国の皆さま、そして我が国の貴族の皆にも此度の事は謝罪を」


 王が謝罪を口にしたか、本来ならばありえない光景だけれども、こうまで騒がれてはこうせざるを得ないだろう。息子のやったことなど知らないと自分のせいではないと言い放ったら、さらに状況が悪くなることは必然だからね。


 はぁそれにしても思い通りに運んでよかった。リリアにまた会ったら薬の御礼しておかないと、巫女様は随分私の症状が重いと思っているみたいだし、そのおかげですんなりとこの国から脱走できそうでもあるのだから。


「アディラ国王、この場で言う事でもありませんがヒース様は我が教国を酷く侮辱なされたのは聞いての通りです、いくら暗示がかかっていたとしても許される事ではありません、特に神を愚弄した事は」

「我が国はそのような事は一切思っておりません、我が息子に関しては処罰の上……」

「気が付かなかったのですか?」

「……」

「このご様子では何日も暗示がかかっていたでしょう、カーラ譲についてはあまり人との接触が無かったならば納得は出来ますが、第二王子殿下がこのような状態で王であるアディラ国王はお気づきになられなかったのですか? 本来であれば次期国王であるヒース様のご様子は常に把握し国内外共に権威と敬意を払えるように準備をするべきではないのですか?」


 うわー、実は巫女様切れてた? ヒースが神なんて曖昧なとか言った時点で結構切れていらっしゃったのだろうか。

 実際巫女様の言っていることはだいたいあっている。本来であれば王自らないしは側近がしっかりとヒースの様子を見て王に伝えないといけないのだけど……実は私に凄く会いに来るようになってから、同年代の友人であるゲイルとは衝突しゲイルは陰ながらの護衛にシフトしたため気が付いていない。王城の大人に関しては多分帝国の手の者が囲んで外に王子の異常を悟られないようにしていたと見て間違いないだろう。


 そうしてやって来た大事なパーチーで見事ドカンと爆弾が爆発して巫女様が切れたと。

 でも意外だったのは巫女様の態度だ。いくら切れていたとしてもこの場で王にこのように言うのは流石に不味いと思うんだけど、護衛さん達はうんうんと頷いているだけだし。

 

 これが正常であるのだとしたら、この国にとっては王様でも逆らえないのが巫女様……それはこの国と教国では当たり前の事だという事……。この国、教国にいいように使われ過ぎじゃない? ヒースがあれだけ言ったのもある意味頷ける。確かに財政はかなり悲惨な状態らしいしね。


「このことは国に報告させていただきますので、誠意を見せてくださいね」


 最後ににっこりと笑って聖女様は去っていった。

 登場の時よりも明らかに老けた国王と、その隣に寄り添う王妃。私はそそくさとその場から立ち去ろうとして騎士の一人に捕まった。


「失礼、一応ゼラが捕まるまで待機していただけるか?」


 全身甲冑で顔が見えないのでどういう表情をしているのか読めない。私は一つ頷き大人しくドナドナされて客室へと案内された。一応監視の執事さんに紅茶を出されたけれども手を付けなかった。毒が入ってたらたまったものでは無いしね。


 ダンスホールの賑やかさとは真逆、全く話さない私達。ぼんやりと帝国から移動してから今日までの事を振り返る。

 うん私超がんばった、誰が見てもバッチぐーだ。あれなら王様も退位するかしないにしても第三王子を次期王子に名指しして学園を卒業したら直ぐにでも戴冠するだろう。帝国としては万々歳な結果だと思う。

 もし私の部屋に入ったとしても証拠は無いし、ゼラだってなんだかんだとこの国でずっとスパイ活動をして来た男だ、早々証拠は残さないだろう。もし残したとしても仲間とは数日に一度は連絡を取っているだろうから、ゼラが失踪したもしくは記憶を失ったと分かれば家に入って証拠を消すだろうし。そんなことも出来ないようなスパイ達なら正直怖くないからさっさと帝国から離れて変身して暮らすのも有りだ。役目も終わったしね。


 実際特に帝国に恩を感じていることなんてない、ただ面倒臭いのと自分の命を天秤にかけて自由を諦めて帝国の密偵に成っただけなのだから。


 そんな事を考えていたら騎士さんがやって来て釈放された。因みにお願いして平民っぽい格好の服を一着持ってきて貰ってそれに着替えた、勿論男は追い出して。


「ゼラ・イェフに関してだが……最近近くの森で魔物に襲われて亡くなったそうだ」


 消されたか。


「……そう、なのですね」

「確認を取ることが出来なかったのは残念だが陛下にも了承を頂いた、行って良いぞ」

「はい、お世話になりました、それから宜しければヒース様に再度謝罪と御礼、学園楽しかったですとさようならとお伝えください」


 流石に貴方の性格のお陰でスムーズに行きましたとは言えない、だが感謝はしているので彼が言われて嬉しそうな事を言っておいた。


 一人城門から出てとぼとぼ歩く。既に夕暮れの街は未だ喧噪に満ちていた。

 

 振り返ればお城と学園が悠々とそこに在る。半年も無かったが色々と苦労させられたものだ。終わってみればいい思い出……という訳でもないけれども、やり切ったという思いが込み上げて来た。


「なんだかんだ楽しかったって事なのかなぁ」


 ぽつりとつぶやいた言葉を置いて、私は行く。












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