第13話「ストレイ・アストレア」 Part1
【悲報】エピソードのストックこれ投稿時点で現在14話までしかない
今けっこう詰まってるとはいえおっっっっっそ
無駄に2パートずつやってたの減らすか
6日目 晴れ
あの騒ぎの余韻もまだ覚めない印象のこの頃。
でも、街のみんなもこの状況に慣れてきたのかな。「普段」を取り戻してきたような気がします。
騒ぎ以来たしかに組合の、ラウンジの空気が少し変わって、ほんの少し明るくなってきました。ただお給料はまだ不満、早く調整を済ませてほしいものです。
一つ気になるのが、鼻周りにそばかすのある小柄な男の子(この子もバスターなのかな?)がおどおどしながら居座るようになったこと。
少し放っておけないようにも思えるけど、相談に乗ってあげようかな…?
29日目 晴れ
以前気になっていた男の子が他の人達に絡まれていました。
でも、いじわるをされているとかではなくて、頼りにされているような感じでした。
たぶん、彼は腕のいいバスターなのでしょう。見かけだけでは実力は測れません。
でも本人は迷惑そうで、いしゅくしきっていました。まるで少し前のバスター達のように。
誰も邪険には扱ってないから……大丈夫かな?
40日目 曇り のち雨
今日も皆さん良い仕事っぷりで、いち受付係ながら誇らしいです。
特段変わったことのない日でしたが、組合の空気はどんどんよくなっている気がします。
そういえば、あれからあの男の子は一度も見かけません。少し心配になって、他の方々に聞いてみたのですが……
あの男の子、アストレアさんは上手くやっているのでしょうか……
――バスターズ連合組合セレマ支部受付係 クリケ・ライリの日記、一部抜粋
世界を変える人って、どんな人だろう。そんなことをたまに考えてる。
他の人に追われながらも大陸を覆うバリアを壊し、人々の心持ちまで変えたという人がいる。そう聞いてから、たまに。
その人はきっと恐ろしく強くて、とてもやさしくて……大きな自信も持ってるんだろうな。
僕なんかと違って、素晴らしい人なんだろうな。
「そう言ってるうちはとても追いつけないぞ、そこのえっと……」
「え、えっっ、声に出てたぁ!?」
「まぁ、うん…安心しろ、俺以外には聞こえてないから…!多分…!」
「た、多分って……」
よく見るとその人は全身鎧で覆われて、腰には剣を提げている。この形は確か……?
そうだ、シアーズさんだ!こんな僕に、凄腕のバスターの一人が声を!?こんな街中で……凄い偶然だ。
相変わらず仕事中でもなさそうなのに強そうな鎧で全部隠しているけど、不便は無いんだろうか?そう思っていると、その人を急かすような甘えた声と、氷に触れたみたいに凍て刺す唸りを飛ばす大きな何かが蠢いた。
「おっと、悪いな…すぐ行くよ」
「そ、その2匹は…」
「ああ、俺の従者、“いいいい”と“うううう”…それぞれイーフォとウアトロと呼んでる」
どうやらこの狼のような動物の散歩中だったみたい。従者システムで作られたらしいその2匹の……ペット?の姿、特にご主人様の胸辺りまで届く大きさに気付けば周りは釘付けになっていた。
イーフォと呼ばれた方は純白の綺麗な毛並み、ウアトロの方は真っ黒。どっちもこの世の者とは思えないオーラを感じさせた。
まるで魔獣を飼い慣らしているみたい。
「アストレア、だったか?噂は聞いている……主達の世界に伝わる天使の名前を取ったそうだな」
「は、はい……名前負け、ですよね」
「いいや分からん。なにせ実力をまだ見てないからな」
実力。実力なんて僕には無い。僕は何にもできない。
これ以上絡まれるとシアーズさんとはいえあまり……。だから、ここで切り上げることにした。
「そんな……じゃ、じゃあ僕はこれで」
「そうか。また縁があったら逢おう」
お互いに別れを告げてどこへ行くでもなく移動する。
するとその結果少し人気が無い気のするスペースに僕は辿り着いたけど、ここはいい所ではなかったみたいだ。
「おやぁ?迷子かいボウヤ」
「えっ、そんな、迷、子、じゃ……」
ガラの悪い大人。そうとしか言えない人たち。
その中には何人かかっこいい顔の人も混ざってたけど、「ガラが悪い」しか浮かばない。
「コイツ知ってるぞ?プレイヤーの腕だけで戦ってるって有名だ」
「プレイヤーの腕ねぇ。じゃあ本人は雑魚じゃね?」
言い返せない。僕の悩みを言い当てられた……何も考えずに馬鹿にしているのは分かるけど、それで言い返せるわけではなくむしろ僕の中の影が濃くなってしまう。
「分かんないぞ?例えばッ!」
一人がいきなり蹴ってきた。突然のことで避けられずに飛ばされてしまう。
「よっわ!プレイヤーがいるってことはこいつバスターなんだろ?これぐらいも当たっちゃうぐらい弱いのか!」
「はっ、プレイヤーに頼りきりの奴なんて所詮はこんなモンだろ。オラ立てよッ!」
強引に腕を掴まれて、元の位置に投げられた。
「いいじゃん俺たちが鍛えなおしてやるよ、ほら、ほら!」
ガシ、ガシ、と踏まれ続ける。
さすがにここから脱出するぐらいはできる……でも、僕は弱いんだと思うとどうしても動けない。
自分の弱さに納得しているようで、まるでこの人たちと一緒になって僕自身を踏み続けているようとも思えた。
〔バォン!!〕
「どうしたんだ……あっ!?」
突然、さっきの大きな黒い獣がやってきた。ご主人である、シアーズさんを連れて。
「やべっ」
「おい逃げろ逃げろ!」
「イーファ、追って懲らしめろ!」
〔アォン!!〕
「おい無事か」
「……まぁ、はい」
自分から攻撃を受けていた。激しい攻撃を。
そう思っていたけどバスターの体質は、その攻撃によるダメージを大きく減少させていた。
「バスターの力はネガティブな感情でも強化されるということか……一旦組合に行こう。そこで休むんだ」
「シアーズさん」
「どうした」
「僕って、弱いんですよ」
「弱いからなんだ。行くぞ」
いつになくナーバスな僕を連れて、シアーズさんは組合に直行した。
独白形式だっけか、書くの苦手な形式をでもこの方がこの回には合うよな?って理由でやっていくスタイル




