序章
はじめまして。
垂氷です。
今まで私にとっての小説は書くものではなく読むものでした。
しかし、自分が好きな要素を詰めて拙いながらも書くことに踏み切りました。
どうぞよろしくお願いします。
真冬だというのに薄い敷布団に、くたびれた枕、使い古したせいで中の綿が偏っている掛け布団。それらに包まれてボロを着た少女はまだ眠っている。
寒さで夜中に目が覚めてもいいはずなのに、彼女はぐっすり眠っている。疲れ果てているからだ。
少女の名前は琴葉。もう齢14というのに背丈は小さく、身体はか細い。おまけに顔は青白く、手足は霜焼けで真っ赤だ。もう少し健康的に太り、愛情を存分に受け、歳相応の絹を身に付ければ大層な美人になれるに違いない。
そんな琴葉が住むのは大貴族、北家の屋敷。なんと、彼女はこの屋敷の主人檜の子の一人。
だが、琴葉の亡き母は檜の愛人。夫の愛人の子に継母が憎々しく思わないわけがなかった。
継母はそんな彼女を『郭公の子』と呼んだ。琴葉の母が琴葉を産んですぐに亡くなってしまったからである。
継母が琴葉を冷遇すると、次第に長男を除いて他の兄弟も継母の真似をするようになった。父親はほとんど無関心。屋敷の使用人は琴葉を気の毒に思うが、継母の目があるのでおおっぴらには助けることができない。
それでも屋敷の使用人たちの陰ながらの支えと、そして長男の楓の手で今日までの辛い道のりを歩んできた。
ーこれは、郭公の子と呼ばれた少女の物語ー




