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crown taker  作者: 九JACK
謎が謎を呼ぶ謎の人物登場したけど一番謎なのは結局隣にいたりする
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第63話「お久しぶり~♪」

 [空の街]について考えた。

 超能力者の住む街。おそらく、超能力者が迫害を受けないために作られた街なのだろう。どこにあるかは誰も知らない。ただ、表の世界で生きられない者たちが活動拠点にしている街とも言われているらしい。

 知実さんが言うには、超能力者しか入れない街らしいけれど……

「咲原、どうした?」

 昼休み。半田は美星さんの件があってから、突撃してくることはなくなった。二重能力者(ダブルテイカー)というのが明らかになって、[WHAT]内での扱いが変わってきているのだろう。しかも、人工的に作られた二重能力者(ダブルテイカー)である。学会も興味を示すんじゃないだろうか。

 というわけで、平和な昼休みを送れている。良いことだ。

「五十嵐……あのさ、[葬儀屋]について、どう思う?」

 [葬儀屋]の名を出すと、五十嵐はあからさまにむっとした表情になった。美星さんの一件で五十嵐の[葬儀屋]に対する印象は地の底だ。

 わからなくはない。人でないものを殺す殺し屋。その[人でないもの]の中には[人でなし]も含まれる、とは[葬儀屋]自身が言っていたことだ。ずっと人でなしのDV親父に悩まされてきた五十嵐はきっと、生きていればそいつを殺してほしいと頼んだかもしれない。

 俺も、自分の能力がなきゃ、親のことをどうしていただろうか。親を蔑ろにしたいわけじゃないのに、自分を蔑ろにされるととても腹立たしくなってしまう。どこからが人でなしで、どこまでが人なのだろう。

「いや、あの[葬儀屋]って人さ、超能力者じゃないっぽいんだよ」

「何?」

 よく思い返してみよう。

「五十嵐、[葬儀屋]が能力を使ったところを見たか?」

「え……いや。田辺美星を殺したのは拳銃だったな。能力と思われるのは、花を残して消えたところだが……」

「あれは超能力じゃない。というか、[葬儀屋]は超能力者じゃないんだ。同調もできたし、たぶん俺が[傀儡王(パペットマスター)]を使っても抵抗しなかったと思う。何より、カロンが反応しなかった」

 五十嵐は俺の肩に留まるカロンを見た。小バエ型探知機という謎のロボット。いやロボットって言っていいのかはわからないけど。

 超能力者が現れるたび、カロンが警告音を出してくれたことは五十嵐も知っている。どういう仕組みかはわからないが、カロンは超能力者に反応するようにできているのだ。

「[葬儀屋]が超能力者でないとして、何か引っ掛かるようなことはあるか?」

「[空の街]だよ」

 俺は五十嵐に知実さんから聞いた[空の街]の話をした。

「[空の街]は超能力者が住むところで、超能力者しか出入りできないらしいって」

「それだと、話がおかしいな」

 そう、[葬儀屋]は超能力者じゃないにも拘らず、[空の街]に住んでいることになる。

「といっても、まず[空の街]自体が都市伝説のようなものなのだろう? 佐倉氏も知らない事実があるやもしれぬ」

「まあ、それはそうなんだけどね」

 どうにも引っ掛かる。五十嵐の言う通りなのだが。

 例えば、[空の街]には入るのに別な条件があるとか。それであれば、超能力者でなくとも街に出入りはできる。

「[葬儀屋]の動向が気になるのもあるけど、一度しっかり調べた方がいいとは思うんだ」

 [空の街]が実在し、超能力者の拠点となっているとしたら、[空の街]の動向を掴むだけで、俺は身の危険を遠ざけるなり、察知するなりができる。

 まあ、そう簡単にわかったら、都市伝説だなんて呼ばれたりしないだろうが。

「わかった。私もでき得る限り調べてみよう。……癪だが、伏見氏に意見をもらう必要もありそうだ」

「健一朗さんも今、半田のことで大変なんじゃない?」

「しかし、超能力者保護機関の幹部が都市伝説とはいえ、超能力者が住むという場所を放置しているとは思えない」

 それは確かに。知実さんが知っていたくらいだから、組織的に活動している健一朗さんの方が詳しいかもしれない。[葬儀屋]については追っていることだろうし。

 ただ、こういうときに限って図書館にいるのは違う人だったりする。

 健一朗さんも半田のことで忙しいのだ。仕事とボランティアの両立って大変だね、と思う。

 ダメ元で図書室に行ったが、健一朗さんは休み。ただ、意外な人物だった。

 ただまあ、噂をすれば影、なのだろうか。

「あれ? 咲原って、もしかして唯人くん? お久しぶり~♪」

 クラスメイトくらいの軽いノリで声をかけてきた人物は、あまりにも変わらなすぎていて一瞬目を疑うほどだった。というか、俺の方が背が高くなっている事実に驚愕した。

 五十嵐が訝しげに俺を見る。まあ、見た目美少女、一歩間違えば幼女っぽくも見える御仁にフルネームを把握されていたら、二度見くらいはするだろう。俺もびっくりした。

 来客の札を首から提げたその人は見間違えようがない。ちゃんとあれから七年経ったか? とカレンダーを確認したくなる。

(かなえ)先生、どうしてここに?」

「えへへ」

 子どもみたいに無邪気に笑う美少女、もとい女性教員は今朝佐竹と話した新乃(かなえ)先生その人だった。

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