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流され系魔女の無人島ライフ  作者: 白月らび
本編
51/373

ムニエルの冒険 帰還

『おはようございます!』


早朝から元気な者達だ。


これで島に向かうのは全員のようだな。


我、イルーナ、アイラ、ケリー、シーラ、ミカゲ、ミカゲの母、村の男が3人、街の男が5人、船の主


船員という者達が必要だとかで、男達が乗っているようだ。


「なんだか筋骨隆々で妙なオーラが立ち昇っているような幻が見えますよ……」


うむ……あれは一体何だ。


街の男4人よ、なぜポーズをとる。


なんだ『ウミノオトコ』というのは……。


『神獣様! この航海よろしくお願いいたしやす!!』


 ザッパーン


なぜ背後に突然波しぶきが……。


はぁ、分かったから大声で叫ぶな。


イルーナとケリーが怯えておるではないか。


ん? ミカゲ?


なぜ男達の方へ……


「おねあいいたちやしゅ! むん!」


そいつらに混ざってポーズとってどうする。


あーほらみろ、くしゃくしゃに撫でられておるではないか。


そっちはミカゲの母に任せるが……。


ドロシア村から乗るのはこの男3人だな?


「イルーナもアイラもまだ若いんでさぁ、俺達が保護者兼手伝いとして選ばれたんすよ」


保護者なら仕方ないな。


街よりは遠いからな。


アイラよ面倒臭そうな顔をするな。


そして間違いなくこの人間達の中で一番強いこの男はなんだ?


船の主らしいが。


「俺ァ、フランツって言われてますモンであります。まさか神獣様といっ共に航海できるますなんたぁ夢にも思われやせんでました」


なんて言った?


……よく見ると小刻みに震えてないか?


「船長、慣れない言葉遣いと緊張でグチャグチャですよ」


こっちの者は普通のようだな。


「私は副船長やらせてもらっております、リーベルトと申します。船での相談や質問などは遠慮なくお申し付け下さい」


船版のシーラみたいな男だな。


「あっそのっ……よろしくお願いします!!」


ぬおっ!?


なんだアイラ、突然大声で……。


顔が赤いが大丈夫か?


『おい、アイラの様子がおかしい気がするが?』


「あー……なるほど。あーゆー感じ……」


イルーナは納得したようだ。


我は全く分からんぞ。


……まぁいい、あとは船に乗れば良いのだな?




「いってらっしゃーい!」


「お土産期待してるぞー!」


……無人島に何の土産を期待しているのだ?


魚や土でいいなら次回届けるが。


しかし、海を泳がず移動するというのは不思議な気分だ。


イルーナもそうなのか。


ウミノオトコ達が慌ただしく動いておるな。


帆が開いたが……何か模様が描いてあるぞ?


「なんで帆に筋肉を描いたんですかね……」


………………。


シーラはなぜこの船を選んだのか……。


「私の弟であるリーベルトの趣味でございます」


あー……うむ、いろいろと聞きたい事があるような気がするが納得した。


アイラが形容し難い複雑な顔をしておるが……。


おっとミカゲよ、船の端では我に乗せる訳にはいかん。


海には落とせぬからな。


むぅ、仕方ない、内側に移動してやろう。


我によじ登るのが上手くなってないか?


「リヴァイアサン様、これより風魔法を使い、速度を上げます。方角はこの向きで宜しいでしょうか」


ああ、シーラは風魔法を使えたのだな。


それで帆船とやらを選んだのか。


ミカゲよ、飛ばされぬよう、船内に入るぞ。


……どうしたケリーよ。


気持ち悪い?


フナヨイとはなんだ?


イルーナにもわからぬか。


「船酔いってのは、船に乗っていると気持ち悪くなる事さ。陸に住む人に時々なる人がいるんだよ。水棲族は船に乗らないから知らなくても無理ないかもね」


ミカゲの母は物知りだな。


この場は任せておいた方が良いだろう。


どうしたミカゲ。


どうやら揺れて眠くなったようだな。


ではここに寝かせてやろう。


アイラは水を操る練習をしている。


なんか考え事をしないようにムキになってる気がするが……一体どうしたというのだ。


まあ、ミカゲも降ろしたし、我は一旦外へと戻るか。


「いかがなさいました? リヴァイアサン様、イルーナ様」


「船は初めてなので外を見ているのもいいなと思って」


『シーラはずっと船を動かしておるのか?』(訳:イルーナ)


「いえ、時々風で操作しますが、見張りも兼ねております」


海にも魔物は居るからな。


何かあっても我が出ればよかろう。


何? 魔物だけではない?


海賊?


ああ、海上で人間が少々暴れてるのはそれだったか。


気にする程でも無いな。


攻撃されたら沈めておけばいいだろう。




……何だ、夜の海だというのに騒々しい。


ミカゲが起きるではないか。


む? 幽霊船に追われている?


そんな事か、驚かせおって。


奇声と軋み音が五月蝿いから沈め直しておくぞ。


まったく、幼子が寝ておるのだ、静かにせい。




……今度は何だ?


海上に人が立ってる?


ふむ……なんだスキュラか。


『何か用か? スキュラの子よ』


「えっ!? は? ちょっ……えっ!?」


しっかり喋らぬか。


「あのスキュラさん、びっくりしてますね」


「無理もないよねー、船をみつけたら小さい神獣のリヴァイアサン様が乗船中だもん」


むぅ、驚かせたか。


『迷子にでもなったか?』


「ひっ!? いえその、幽霊船…………」


む? 夜が更ける前に沈めた幽霊船のことを言っておるのか?


ふーむ……よく分からんが。


『スキュラの子よ、乗れ』


おぉ、スキュラが跳んできた。


「もーしわけございませんでしたーっ!!」


何故だ。


「海面から船に向かってのジャンピング土下座なんて見たことねぇよ……」


「しかも地上には滅多に姿を現さないスキュラとは……」


フランツとリーベルトがいつのまにか後ろにいるが、まぁそれはいい。


スキュラはあまり地上には行かぬのだな。


「ねぇ、こんな早朝に何してるの? ヒッチハイク?」


ヒッチハイクが何か分からぬが、一旦イルーナに任せるか。


「あのっ……じつは、わちしの中で沈没船を幽霊船にする遊びが流行ってて……試しに通りがかった船と競争してみたら、沈められちゃって……」


あの幽霊船の持ち主だったか。


まだ子供のスキュラだからな、悪い事をした。


「それでっ……仕返ししてやろーと思って出てきたんだけど……すっごい怖いヘビが乗ってて……」


我はそんなに怖いのか。


「分かるもんなのか? 俺ァ神獣様の怖さとか見ただけじゃ分からんぞ」


「水棲族は地上の種族よりも力の強弱に敏感だと聞いたことがあります」


……通りで地上だと怖がられにくい訳だ。


『イルーナは我がリヴァイアサンだと一目で分かったが、この娘は蛇だとしか分からないのだな』


「私は小さい頃にリヴァイアサン様とクラーケン様を遠目で見たことがありましたから」


なるほどな……。


…………喧嘩を見られてたのか……。


「ねぇアナタ、お名前は?」


「……わちし? ルティエだよ」


「ルティエちゃんね。幽霊船は大人と一緒じゃないと作っちゃ駄目って教わらなかったの?」


「う………」


「それに、作っても海上で人に見られちゃいけないの。知ってたでしょ。それに───」


「……わ~~~~ん!!ごべんなさ~~~い!!」


……このスキュラ(ルティエ)はイルーナにこのまま任せておけば大丈夫だろう。


どうやらルティエは誰も居ないところで遊ぶのが習慣になっていたようだ。


水棲族は8歳で親元を離れ、自由に生きるからな。


特に珍しい訳ではない。


水中に集落や家を作る特殊な水棲族もいるがな。


「……なぁリーベルト、幽霊船が玩具扱いって、水棲族の幼少の教育ってどうなってんだ?」


「私に聞かれましても……」




「島が見えたぞぉぉぉぉぉ!!」


む……着いたか?


確かめねばな。


ミカゲの母よ、ミカゲを頼む。


上に乗ってると危ないのでな。


……ふーむ………………。


どうやら着いたようだな、アザレアらしき者がおる。


早朝に出て、次の日の昼に着くとは、風魔法の加速もなかなか侮れぬかもしれぬ。


む? 4人おるな。


この数日で誰か増えたのか。


まぁそれは良い、イルーナにこの島だと伝えねば。

いつのまにか50話達成ですね。

こりゃめでてぇや

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