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流され系魔女の無人島ライフ  作者: 白月らび
本編
43/373

得意な魔法は何でしょう

お風呂でぐったりした後は、メルルと一緒に魔道具作成。


メルルは魔道具を作った経験がないので見学中。


アザレアとミラには少しの間、壁を加工した大型のラクガキボードで遊んでもらっている。


「大事な事を書いておくと、消すのをためらってしまうのです……」


明日追加でボードをいくつか作ってあげよう。


今手元にあるのは、昼に作った石板、ダイヤが15個程度。


まずは錬金術を使ってダイヤを真っ二つにする。


メルルが小さく悲鳴を上げたけど無視。


それぞれの断面に小さく『火に対する魔素(アプローチ)を吸収する魔法陣』と『魔素の分だけ赤く光る魔法陣』を描く。


ちなみに両方共、呪術系の魔法陣。


そして、この作業が滅茶苦茶細かい!


昔、米1粒に文字を書く人が居たけど、私には無理、これが限界。


描き終わった2つの断面をあわせて錬金魔法でくっつける。


まずは1つ出来た。


「これは?」


「簡単に言うと、火の魔力に反応して光るだけの魔封石ね。試しに魔力を込めてみて」


と言いながら、私は次のダイヤに取り掛かる。


「まぁ……赤く光りましたわ……」


「メルルは火の魔法も使えるからね。それなりの明るさになると思う」


そう言って、次々とダイヤを切っては魔法陣を描いていった。


「はぁ、目が疲れる……」


10個作り終えたら流石に疲れた。


次で最後、属性関係なく魔素を吸収する魔法陣を描いておしまいっと。


「お疲れ様ですわ。何か手伝えたらよかったのですが……」


「ありがと、興味があったらそのうち教えてあげるよ」


メルルは突然、私の額に手をかざした。


「おお? ヒエヒエだ。気持ちいい~」


頭がクールダウンされていく~たまんない♪


「水や氷は得意ではないですが、これくらいなら出来ますわ」


はぁ~………生き返る~………。


「ありがとメルル、これでまた24時間戦えるわ」


「そんなに戦わないでくださいまし……」


さて、次は石板を加工。


ダイヤをはめ込む10箇所を決め、その全部に魔力が同時に通過するようにラインを引く。


最後に11個目のダイヤの場所を作っておしまいっと。


「その魔力の線は消えないんですの?」


「どうだろう、100年程度だったら平気だけど」


時間が経ち過ぎて忘れたせいで、実は消えたとこを見たことがないのが難点。


それに魔力を流すから供給もできてるし……。


やっぱり壊れるか老朽化しなきゃいいんじゃないかな?


「じゃあ次はダイヤをはめていくね」


「ドキドキ……」


属性の魔法陣を込めたダイヤを手に取り、石板に錬金術の魔力領域を展開する。


ダイヤを埋め込む場所に1つずつはめていく。


石とダイヤの原子結合を緩め、炭素を利用して半分ほど溶け込ませる。


よし、ガッツリ結合した。


同じ要領で残りのダイヤを埋め込ませていく。


そして試運転。


魔力を送るとダイヤがカラフルに光りだした。


「かんせーい!! やったー!」


「はぁぁ。凄すぎて驚きがついていきませんわ……でも流石ですわ……」


気が散らないようにと、静かにしていてくれたメルルがため息をついた。


「メルルもちょっと試してみて」


「は、はい。緊張しますわ……」


いつの間にかアザレアとミラも見に来ている。


完成って叫んだからだね。


「両端を持って魔力を流すんですのね」


そう言って魔力を込めると、ダイヤが光りだした。


「えーっと、赤、緑、青紫……特に青紫が強く光って、他にも淡く光ってるものもありますわね……」


「光の強さは能力の高さ、相性の良さで明るくなるよ、ちなみに青紫は精神属性ね」


「色は属性ってことなのです?」


「そうよ。属性名をここに書けば分かりやすいんだけどね……」


筆記用具とかないし……。


今度炭素使って作ってみようかな?


「それでしたらこのボードに表を作って頂けませんこと?」


「それもそうだね、明日またボードいくつか作るから、これもらうね」


というわけで、対応表を描いた。


───────

火 :赤

水 :青

風 :緑

雷 :黄

熱 :橙

光子:白

重力:黒

空間:黄緑

身体:赤紫

精神:青紫

他 :水

───────


「知らない属性が多いのです……」


「ごめんね? 今の属性分類の魔法陣知らないからさ、私の知ってる属性表になっちゃった」


天属性なんて初めて聞いたし……。


「そういう事ですのね。そうすると簡単な解説も欲しいですわ」


「おっけー、今書くね」


──────────────

火 :赤  火を操る

水 :青  水を操る

風 :緑  風を操る

雷 :黄  雷を操る

熱 :橙  温度を操る

光子:白  光を操る、今で言う天属性の一部

重力:黒  重力を操る、今で言う天属性の一部

空間:黄緑 場所と場所を繋げたりする、召喚魔法など

身体:赤紫 身体強化や治療

精神:青紫 精神を操る

他 :水  上記以外の魔法、呪術、契約、錬金など

──────────────


「これでいいかな?」


「なるほどー……」


これ、いつの時代の属性だっけ……忘れた。


「じゃあミラ、メルルがやったみたいに測ってみよっか」


「魔力はどれくらい流すのです?」


「好きなように流して大丈夫。どれが一番強く光るかを調べる道具だから、流す魔力量では順位は変わらないよ」


「了解なのです」


さてミラの結果は~………。


「青が一番強いのです。次は橙、黒なのです」


「水、熱、重力か。そういえば凍らせてたもんね」


なかなかの素質ね、しかも重力なら浮遊魔法出来るんじゃないかな?


「あの、これって他の魔法を練習しても意味無かったりしますの?」


「ううん、練習すれば順位は変わるよ。まぁ相性とかはどうしようもないから、最初は得意なのから伸ばすといいけど」


生活環境の影響のせいか、ミラの場合、緑と白は全然光らなかった。


風どころか天然の光も無かったんだろうね。


「それじゃあアザレア、やってみよっか。これ持って手に魔力を込めるだけでいいからね」


「はーい。わくわく」


アザレアは楽しそうに石板を持ち、手に魔力を込めた。


さーて、結果は……。


「青、白、赤紫、水色がかなり強めですわね。でもほとんど光ってますわ、赤以外」


「水、光子、身体、その他ですね、火が使えないのは分かるとして、ほぼ全属性なのです」


私のアザレアは天才だった。


「やったねアザレア! 凄い凄い!」


「きっとおねーちゃんのおかげだよ~」


もう、そんな事言っちゃって可愛いなぁもう!


ぎゅ~ってしてチュッチュしちゃう♡


「えへへ~♡」


「それにしてもアルラウネでこの才能は凄いですわね……」


「もしかしてドロシーさんが伝染ったのです?」


「へ? うつっ……」


私は病原菌かい。


「産まれる前から一緒に居ますもの、不思議ではありませんわ」


「アルラウネってそーゆーもんだっけ?」


アルラウネと一緒に生活するのは実際初めてだから、その辺よく分からないなぁ。


「名付け親と似るという前例はあったりするのですが……確証が得られていないというのが実情ですわね」


異種族間のアレコレは、長い間研究されてるんだけどなぁ。


「ま、こんなトコで考えても分かんないし、アザレアが凄いって事は変わらないから」


「それもそうですわね」


可愛さの前には疑問など無意味。


「しかしこのダイヤ凄いですわね……どうなってますの?」


「それじゃあ今日はそれを含めたお勉強ね」



☆3限目 魔力のしくみ


魔力とは精神の血液のようなもの。


だから無くなると倒れたりするから注意。


そしてその魔力を形成している『魔素』というモノ。


魔力版赤血球みたいなものね。(3人はわかってないけど)


この『魔素』によって魔力に命令をもたせる事が出来る。


命令自体が無くても、魔素は本人が得意な属性を知っているから、常に命令を保持している状態。


だから魔力をこの石板に流す事で、この『魔封石(ダイヤ)』が魔素の保持属性を感知吸収、発光する。



「──というわけなのよ」


「『魔素』ですか、知らない事って多いのですねぇ」


私は魔素に命令をもたせる工程を『アプローチ』って呼んでるけど、『魔素(アプローチ)』で一括りにすることが多い。


「今回アザレアとミラに一番教えたかったのは、魔力を使い切ると倒れるよって事ね。魔素の仕組みは必要になったらまた教えてあげるね」


「はーい」


さて、メルルが口を開けて固まってるのはどうしようかな。


「メルルー、メルルー? 生きてるー?」


う~ん、動かない。


「おねーちゃん、お目覚めのキスとかどうかな?」


「まさか、アザレアじゃあるまいし……」


「試してみてはどうです?」


むぅ、気がついたら襲われそうでヤなんだけどなぁ。


でもこのままって訳にもいかないし……。


私が迷っていると───


「必殺ドロシーさんクラッシュ!」


「わきゃっ!?」


いきなりミラに持ち上げられて、メルルにぶつけられ……押し付けられた!?


えっと……。


 ガシッ


「どぉ~ろぉ~しぃ~さまぁ~♡」


「ひぃっ!?」


「もうしょうがないですわねぇ、そんなに愛して欲しいなんて」


「何も言ってないし私のせいじゃないしぃ~~!!」


そしてまた……今夜もグッタリして眠ることになってしまった。




ちなみにあの魔道具1個と解説だけで、魔法の研究者達の間でガチ戦争が起きるかもしれない、というメルルからの評価(くじょう)を頂いた。

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