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流され系魔女の無人島ライフ  作者: 白月らび
本編
32/373

我々の業界ではご褒美です

翌朝、建築中の家を見たらビックリ!


床はもう出来てて、天井は梁までしっかり出来ている。


1軒目の小屋が完成するのももう間近ね。


「ふっふっふー、ドロシーさんがあれだけ働いてるのに、頑張らない訳がないのです!」


「その通りですわ!ドロシー様でなくとも可能な事は、アタシ達にお任せあれ!」


やる気があるのはいい事だ。


それじゃあ今日も頑張りますか。


天井を付けてもらってる間に、海岸に置いた板を運び、立てかけてくっつける。


4面を壁で覆ったら、入り口の大きな穴を作る。


あとはメルルに窓の位置を決めてもらって、穴を開ければ壁の出来上がり!


「まさか午前中にほぼ出来上がるなんて、驚きですわ」


「あとは天井と入り口のスロープかな?」


「ええ、ですが現状ですと、雨漏りの心配がありますの」


うん、板を並べてるだけだから当然だよね。


分かってたことだから、ちゃんと考えてある。


「じゃあ、軽めの石の板を作ってくるよ。屋根に被せる用ね」


「なるほど、ではお昼の後にお願いしますわ」


「りょーかい」




「ところで、今作ってる家はどう使う?」


私は昼食の魚鍋を食べながら、家の使い道について話を持ちかけた。


とりあえずで作ってるだけで、用途は決めていないからね。


「もちろん寝室ですわ。家具を置いて、みんなで夜を楽しく過ごすのですわー」


うん、それは私も同意見。


「今の寝室はどうするのです?」


「キッチンの隣ということもあって、倉庫なんかに使えると思うのですわ」


流石はメルル、良い案を出してくれる。


「問題は、水場などから離れる事なのですが……」


たしかに毎日寝起きで水場まではちょっと辛い。


新しく水場つくろうかなー。


「水の事は私がなんとかするわ。必要なものがあったら作ればいいのよ」


「さっすがおねーちゃん!」


「ではアタシも色々作っていきますわ」


メルルは器用だからね。


今も必要だったら道具を作ったりしている。


「頼りにしてるよ、メルル」


「は、ハイッ! お任せあれですわ!」


おおっ、なんだかテンション高いなー。


「あの、もしよろしければ……たまにはご褒美なんかあったら嬉しいですわー……って思ってますの……♡」


あれっ、急にしおらしくなった。


「ご褒美?」


ご褒美と言われても、この島に特殊な価値あるものなんて無いし……。


「ドロシー様とイチャイチャする権利とか……」


「え、何それどゆこと?」


イチャイチャて……。


「それは羨ましい限りなのです!」


「アザレアも欲しいの!」


えっ!?


それ欲しいの!?


「昨日アザレアとずっとくっついてたケド……」


「毎日でもいいの!」


えぇ……。


アザレアの言葉に、メルルとミラがうんうん頷いている。


うー、困ったな。


「料理とかじゃだめ?」


「おねーちゃん、それじゃいつもと変わらないよ?」


「うっ……」


確かにそうだわ……。


「貴女達、本当にそんなご褒美でいいの?」


「うんっ!」

「もちろんですわ!」

「はいです!」


…元気な返事だなぁ。


私がご褒美になるって、変な気分。


「はぁ……わかったわよ。さすがに丸一日はキツイと思うけど」


「ドロシー様のおっしゃる事は尤もですわ。なので昼食から日中の間、もしくは夕食から夜の間のどちらかを選ぶということでいかがです?」


「はいはい、その時はお手柔らかにね」


これで喜んでくれるならまぁ、多少は我慢しよう。


………………。


せっかくだし便乗して冗談半分に私からも要求してみようかな。


「ねぇ、ところで私には何かご褒美とかあるの?」


『………………。』


返事が無い。


無いのか……別に良いけど、ちょっと悲しい。


「…………ねぇ……」


悲しかったので一応聞き直してみる。


「アタシの愛はいかがですの?」

「アザレアのマッサージはどう……?」

「………………」


えー……。


「疲れた時にお願いしたいアザレアのマッサージは、まぁ分からなくはないけど……」


メルルのはほっとこう。


ミラだけ黙って俯いている。


「ミラ?」


「……私からドロシーさんにしてあげられる事ってなんなんでしょうね……」


ミラが遠い目をしている。


うーむ、そういえばここは地上だからなぁ……。


自由に動けないミラに、何かを求めるような発言は酷だったかも。


「じょーだんよ、別にご褒美欲しくて一緒に生活してるわけじゃないわ。さっきはメルルに乗っかって言ってみただけ」


打ち明かしてミラを慰めに入る。


「冗談でしたのっ!?」


……メルルのそのご褒美は本気だったの……?


まぁそんなことより、ミラが落ち込んじゃったなー。


一応私が原因だし、元気づけてあげたいけど……。


あんまりミラと一緒に行動してないから、どうしたら良いか分からない。


ん~~~~……。


「メルル、午後はミラ居なくても大丈夫?」


「え?はい、今日は天井がメインなので、アザレアちゃんとミラさんには木を渡してもらってましたの」


それなら大丈夫かな。


「アザレア、私は今日ミラと一緒に残りの作業するから、メルルと2人で頑張ってくれる?」


「うん! ミラさん頑張って!」


「えっ……は、はいですっ……?」


「羨ましいですわ……」


う……今度はメルルが……。


「次回はメルルと一緒にいるからっ……」


「本当ですのっ!? やっ約束ですわよっ!?」


「はいはい……」


本当になんでこんなに好かれたのやら。


私のせいじゃないよね?




ミラを連れて岩場にやってきた。


ミラには浮遊魔法をかけて近くに浮かんでもらっている。


「あの、ドロシーさん……私はなにをすればいいのです?」


「ん? 1人だと寂しいから来てもらったの」


魔法陣を新しく描く場所を確保しつつ、ミラの問いに答える。


壁を作っていた魔法陣はまた使うかもしれないからね。


「さて、始めますかねー」


サークルを展開、魔法陣を描き始めていく。


「ねーミラ、あっちの作業はどんな感じなの?」


「え?ええと……メルルさんが木を加工してる間、私とアザレアちゃんはお話したりしてたのです。加工が終わった木から組み立てていったのですが、最初はズレたりしてメルルさんが頑張って調整して……凄いですよね、メルルさん」


話からすると、最初の1日でしっかり出来るようになってたのか……。


細かい作業に関しては本当に天才なんじゃないの?


いやその手の職の人の平均は分からないけどさ。


「本当に凄いわね。いつも私に見せる変態メルルはなんなのかしら……もう」


「ふふっ」


「なによー」


私は頬をふくらませてミラの方を見た。


「きっと好きな人に頑張ってる姿を見られるの、恥ずかしいんじゃないです?」


「複雑な子ねー……」


努力を人に見せたがらないタイプなんだろう。


「私ってなんでこんなにメルルに好かれてるのかな、たしかに2回助けたけど」


「好かれてる自覚はあるのですね」


「だって、やたらジロジロベタベタしてくるし、さっきもそんな話だったじゃない」


分かるなって方が無理よね。


でも、どの程度の好意かは私はよく分からない、なにしろあの手この手で人を堕としにくるサキュバスだし。


……よーし、魔法陣が半分まで出来た。


「ミラもおとなしいけど、視線くらいは感じてるんだからね」


「う……恥ずかしいのです……」


なにぃ? 恥ずかしいとな?


ミラのその言葉に、ちょっぴりムッときた。


「初日にいきなり裸の私に抱き着いて寝て、今更何言ってるかなーこの口はっ! 私なんかいつも辱められてるんですけどー?」


魔法陣を中断してミラのほっぺをぐいぐい引っ張ってやった。


「いひゃいいひゃいれふ!」


せっかくだから、思い出しちゃった憂さ晴らしに付き合ってもらおう。


「ほーれ私以上に何が恥ずかしいのか言えー。このこのっ」


「ほへんやひゃーい!!あーう----!!」


私はそのまま少し視線を落とし───


「よくもこの2つの駄肉で挟んでくれたわね!もいでやるうぅぅぅぅぅ!!」


「ぅあん!!やめてくださいですドロシーさぁん!!」


メルルもだけど、ミラってば私よりずっとデカいし!


私も小さくはないけど、ちょっぴりだけ見栄張って誤魔化すこともあるってのにこの魚ぁっ!


「この生意気な胸肉少しくらいよこしなさいよおぉぉぉ!!」


「いやあああぁぁぁぁぁ!!」


………………。


ふぅ、ちょっとスッキリした。


ミラが空中でぐったりしてるけど、気にしない!


さぁて、魔法陣を完成させちゃおう。


「ドロシーさん……ひどいのですぅ……♡」

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