ここはドコ?私は…
ザザーーン……
「………………」
ずりずりずり……トサッ……
(………引きずる音?)
ずりずりずり…………
何の音?
………ん…………?
ぱちくり
「私……………」
目が覚めた
青い空
「よっ」
身を起こすと青い海
ザザーーーン………
えーーー……っと………
「私どうしてたっけ………?」
ここどこなんだろう?
周りには………。
綺麗な砂浜、人の高さほどの崖、その上には森………かな、近くには岩、二匹のお魚、流木………。
……………………。
二匹のお魚?
「なんで活きのいいお魚が私のすぐ横にあるの?」
思わず呟いたけど返事はない。
ん~~~~。
だいぶ目が覚めてきたし、やるべきことは現状把握ね。
「んん~~………っ!」
立ち上がって伸びをして、とりあえずは………。
ぐーー
「お魚を食べよう!!」
誰もいないのにちょっと恥ずかしかった。
辺りにある流木を少し集めてきた。
魔法で火をつけて、と。
「えい」
ボッ!
「おお、意外といい燃えっぷり。今はこれで十分ね」
お魚焼くだけだし。
「あとは枝をお魚に刺して、と。美味しく焼けますよーに」
お魚を二匹とも火の近くに立てて、あとは待つだけ。
「焼けるまで状況整理かなぁ」
私はついさっき此処で目が覚めた。
服以外は何もない。
これはつまり………。
「海を漂流して打ち上げられたってことよね、どう考えても」
他に思いつくシチュエーションがない。
なんでこうなったんだっけ?
いやいや、その前に………漂流してたんだから健康チェック!誰もいないから自分で!
パンパンッ!
頬を叩いて
「うん、夢ではないね」
体はさっき少し動かした。
意識はハッキリしてる。
次は記憶チェック。自分自身のことを思い出して確認。
「私の名前は、ドロシー。
年齢は………そういえばもともと覚えてないんだった。
人間で、魔女って言われてて、のんびり当てのない旅をしてた………っと」
うーん………。
これ自己チェックになってるかなぁ。
さっき魔法も普通に使えたし、きっと大丈夫だよね。
あっ、荷物がない………海で流れてたんだったら当然かぁ………。
そこそこ大事なものだったけど、仕方ないと諦めよう。
「んー、起きる前っていうか、何してたっけ………」
お魚が片方だけちょっと焦げたので位置と向きを調整。
「そういえば魚釣りしてたような………あっ!」
思い出した!
「たしか旅の暇つぶしに小さい船作って、軽く海に出たんだっけ………」
木を一本使って作り上げた屋根なしスワンボート、あれはなかなかの出来だったわ。
そんでもって魔力で船動かして沖に出た。
「しばらくのーんびり糸垂らしてたら、急に海が荒れ始めたんだった」
風は弱かったし晴れてたのになぁ………。
「で、急に竿が引っ張られたから急いで釣り上げたっけ」
なんかすっごい引きだったから焦って思いっきり魔力込めて引っ張っちゃったのは覚えてる。
「そしたらおっきなタコとウナギみたいなのが組み合ってたのが釣れて………そのまま………」
自慢のスワンボートごと、ざっぱーん………と。
あー思い出した思い出した。
「それでそのまま此処に流されてきたのねー」
あ、お魚いい感じに焼けたかも。
「おっ、あちちっ!あぐっ………はふはふ………おいひー!」
ちょっとウロコ邪魔くさいけど新鮮なお魚美味しいなー。
まぁでも………。
「釣り上げた獲物、食べ応えありそうだっただけに残念だったなぁ………」
だってタコの頭だけで山みたいに大きかったもの。
それに巻きついてるウナギ?も大きかったなぁ、しょんぼり。
大きかったし一瞬だったから、ほとんどシルエットしか見えてなかったけど。
もぐもぐ………。
海なんだからもしかしたらウツボなのかも。
「ふぅ………おいしかった」
飲み物は無いけど、いざとなったら海から水を作ればいいよね。
おなかも膨れたし、現状把握パート2!
「ここがどこか分からないけど、周辺の把握くらいはしておかないと不便だし………」
キョロキョロ
周りにはただ自然があるだけ………。
海と森の間にいるから地形とかわかりにくいなぁ。
「やっぱり空から見た方がいいかな」
というわけで、浮遊魔法を使って上空から地形把握をすることに決定。
ふわっ
下を見ながら雲のある高さまで…って……。
「お?おおーーー。なるほどぉ」
そんな高さまで行く事なく、全貌が見えた。
砂浜、岩場、森林、小さな池、そして中心に近いほど高くなる地面、外周を歩いて一周2日はかからないかな?そこには人の手が一切加えられた形跡はない。
その周りを見渡すと青一色の景色。
遠くには陸どころか島すら見えない。
これはつまり………。
「いわゆる無人島ってやつね」
「それじゃあまずは、食料と水の確保と住む場所の作成からね」
元の場所に戻って早速、ノリノリで計画を練ってみた。
面白そうだし。
今まで無人島で生活したことなかったのよねー。
昔、何かで観て面白そうって思ってたけど、あんまり一人で目的も無く海に出ることってなかったから。
「食料に関してはお魚が獲れるはずだから、ある程度は大丈夫かな」
お魚といえばさっきの二匹のお魚はなんだったんだろう。
分からないものは戦力としてカウントできないから一旦置いておく。
「森にも何かあるかもしれないし、早めに探検いきたいなぁ」
木の実、野草、キノコ、動物とかみつかるかも?
でも動物は少し狩ったりしたらすぐ居なくなりそうだし、もし居たとしても出来るだけ狩らないでおこう。
「水は海水から作るか、島の内部に池があったわねー。あとは井戸を掘ることも考えておかなきゃ」
この島には森が維持できる程の豊富な雨量と地下水がある………ような気がする。
ま、うまく見つかるといいなぁ。
「あと、家は………どうしよっかなー」
材木にも石材にも困らないと思うから、あとは私の技術次第。
………そういえば私に建築センスってあるのかな………。
なんにしても建てるのには時間かかるし、それまでの繋ぎが必要ね。
「あ、すぐ目の前に良さそうな崖が」
掘ろう。決定。
「これで最初の目標はバッチリ!頑張ろう」
こうして、もしかしたら憧れてたかもしれない無人島生活を、ちょっとした事故と気まぐれで始めてみました。
わくわくするね!