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可能性の話3

「鳴海さんって作家さんなんですよね?今どんなお話書いてるんですか?」

 俺以外に客がいないので手持ち無沙汰なのだろう、大森 朱音が隣に座った。大森 誠は机においてある砂糖瓶の中身を補充しに離れた。

「作家といえば作家になるのかな?」

 俺は、大森 朱音のキラキラした瞳に照れて曖昧に笑って言葉を続ける。

「う~ん、最近は依頼分書いてばかりで進んでないんだよね」

 俺の返した言葉に「そうなんですか……」と残念そうに俯く大森 朱音。俺は楽しませられるネタは無いかと頭の中を探した。ふとヒメの顔が浮かび、気付けば俺の口から漏れていた。

「あ、でも最近、自分の書いたヒロインが夢に出てきて、その子と小説書いてる」


「へぇ?どんなお話ですか?」

 身を乗り出すようにして大森 朱音が続きを迫ってくる。


「俺とヒロインで人間のいろんな決断の背中を押していくんだよ」

 俺は実際の天啓内容に触れずに軽く説明した。大森 朱音は目をキラキラと輝かせて熱心に聞いてくれた。


「面白そうですね、鳴海さんの書くお話しってどれも優しくって毛布に包まれているみたいな安心感があって好きなんです」

 聞き終わった大森 朱音はそう言い両手を頬にあてふんわりと笑った。俺の話が幸せそうな笑顔を生み出せる、それを見る俺も胸いっぱいに温かな気持ちが広がる。。これが作者冥利に尽きるという感覚だろうか。


「朱音はいつまでたっても白馬の王子様だの、誰かが幸せにしてくれるだの夢見る夢子ちゃんだもんな」

 大森 誠が机にある砂糖瓶を確認しながら茶化した。

「いいでしょ!そういうのが好きなんだもん」

 ぷくりと頬を膨らませて大森 朱音は言い、大森 誠を見た。


「仲良いんだな」

 2人のやり取りにほほえましくなって頬が緩むのを感じながら俺が言う。


「まぁ、悪くはないね」

 照れからなのか、大森 誠が砂糖瓶から目をそらさずに答えた。



 来客を知らせるドアベルの音がして俺達は一斉にドアを見た。

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