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2人目の少女が依頼に来た3

 出来上がったタイトルは”不思議なケーキ”。軽く首を回し、原稿を1から読み直し始める。


 ”[不思議なケーキ]


「不思議なケーキをお持ちしました」


 ウェイトレスがそう言って私の目の前にお皿を置いた。


 白い生クリームに映える赤いイチゴ。

 ホールから切り分けられた三角形。

 スポンジの間から覗くのは色とりどりの果物。


「不思議なケーキ、ですか?」

 パティシエに聞こえないようにこっそり尋ねる。こう言ってはなんだが、"何処にでもあるケーキ"にしか見えなかった。

 しかし、ウェイトレスが「不思議な」と付ける以上はそこに何らかの拘りがあるのだろう。

 思いを込めた工夫を一目で見抜けなかったことを申し訳なく思う。


「食べてみてください」

 ウェイトレスが微笑み促した。一口食べる。甘すぎない生クリームとスポンジが口の中で消えていく。

 紅茶を飲んでまた一口。今度はフルーツの酸味が甘さを引き立てた。口にいれる度に味わいの変わるケーキ。


「ごちそうさまでした」


 何が不思議なのかさっぱりわからないまま私は店を後にした。”


 丑弌 論咲の作った小説を見て、ため息をついた。また、読み手に解説が必要な物語だ。作家ならこう、説明の不要な物語をバシッと提供したいものだが……。丑弌 論咲に文句を言おうにも結局は自分のことなので諦める。

 何度か文章を読み返して、依頼人に渡すための封筒に入れた。


 依頼人に物語を渡す瞬間が1番緊張する。今度の三鷹 聡子はどんな反応をするだろうか。

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