第22話 やりたいのは、これ!
:リアイベ?
:一昨日のリベンジは?
:常闇のはぐれ鳥、急に現実編
:雲行きが怪しい
:カエル魂はもう捨てたのか
「素材を集めて、機体を作って、最後にみんなで飛ばす。今ピンと来てないやつほど、最後まで見とけ」
:今?
:外出て大丈夫なの?
「やりたいのは、これ!」
サムネだけだった配信画面を、首輪型デバイスのカメラに切り替える。
作業机の上に、夏休みの工作さながらのダンボール機が映った。
翼長約75cmの、ブーメランのような一枚翼。
折り返したダンボールの内部は格子状に補強され、中央が分厚く盛り上がっている。
機首には、三角に折った厚紙のカバー。後ろにはプロペラが一つ。
:飛行機?
:ダンボールじゃん
:自由研究?
:これが人生で一番ガチ?
:思ってたリアイベと違う
「切り抜きで、ドローンに興味持った人もいるだろ。今回は見てる側から、作って動かす側へ来てくれ」
:バズ便乗か
:昨日のドローン芸の続き?
:参加型かよ
:作る側って何するんだ
俺は、ダンボール機を手のひらに乗せた。
「バズ便乗は否定しない。常連以外でも楽しめる企画を考えた」
:正直で草
:初見歓迎企画
:嫌いじゃない
:これ飛ぶの?
「飛ぶ。ちゃんと飛ぶ。見せたほうが早い」
俺は後ろのプロペラを回し、機体を軽く投げる。
ダンボールの全翼機は数メートルほど滑空して、部屋の壁に当たって落ちる。
:草
:草
:すぐに落ちたぞ
:飛ぶとは(伝聞)
「はい、拍手。落ちたところは忘れて、飛んだところに拍手」
:888
:拍手要求すな
:88888
:落ちたところ見えてます
:忘れられないんだよなあ
:墜落までワンセット
:それで、これで何すんの
「これをたくさん作って、一斉に飛ばす。みんながパイロットだ。だから、数が要る」
:俺らが操縦するの?
:面白そう
:操作むずそう
:場所どこ?
:レース?
:日時は?
:何機いるんだよ
「場所と日時は、まだ言わない」
:言わないのかよ
:どっかの海辺だろ
:段取りガバ勢
「で、ここからが本題。素材が足りない。クラフト班、出番だ」
:急に募集ガチじゃん
:協力者募集ってそういうことか
:作る側もいるのね
:素材集め始まった
「先に言っとく。今、宅配便は当てにできない。だから今回は、東京の東側で動ける人だけ」
:宅配止まってるもんな
:東側民いる?
:遠いから拡散するわ
「お願いは三つ。おもちゃの部品を出す人。ダンボール切る人。電子工作する人。一つだけでも助かる」
:一つならいけるかも
:ダンボール切るならできる
:電子工作は無理だけど部品ならある
「まずは、おもちゃの部品。対戦ロボのパーツ、出せる人おる?」
:対戦ロボ?
:江東区民のワイ、出番か?
:うちに古いのあるかも
:東京の東側って足立区か?修羅の国じゃん
「欲しいのは、中の基板やモーター類」
:部品取りか
:壊れてるやつでもいい?
:新品買った方がいい?
:基板どれ
「新品じゃなくていい。壊れてても全然OK。ただし、返却はできない! 捨てる予定のものだけで頼む」
:返却なしはガチ
:寄付扱いか
:うちの壊れてるやつならいいわ
:分解どうやんの
:ミスりそう
「手順は、このあと写真付きで出す。無理に分解しないでくれ。分からなければ本体ごとで大丈夫」
:壊れた対戦ロボならある
:本体ごとでいいの助かる
「次は、ダンボールを切ってくれる人。型紙データを出す」
コメントが、一段速く流れる。
:急に手を動かす話になってきた
:ダンボールならある
:カッター探す
:印刷いる?
「型紙を印刷して切るか、設計書を見て定規で切ってくれ。このあと実演する」
:プリンターない
:これマジで人いるやつだ
〈視聴者数:768〉
「あとは、3Dプリンターや導電インクを使える人。こっちは、少しだけ募集する」
:3Dプリンター持ちの出番きた
:導電インクは持ってるやつ限られそう
:わかった、この前の鴉のドローン芸をみんなで再現する企画だ
:ダンボールで軍用ドローン落とせるか検証してみた
:昨日の切り抜き見たやつ、同じこと考えてるだろ
「最後に、受け渡し方法。協力できる人はSNSでDMしてくれ。リンクは概要欄に貼っておく」
:概要欄見るわ
:鴉にあえる?
:把握
実際の受け渡し場所は、東東京にあるコインランドリー三十か所のどれかだ。
レジ袋か紙袋に入れて、置いてもらう。
どの店舗にいつ頃かは、相手の住んでるエリアで、アヤが振り分ける。
同接の数字が跳ねた。
三百が、五百になり、四桁に届く。
〈視聴者数:1204〉
数字が増えるほど、引き返せなくなっていく。




