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底辺ゲーム実況者の俺、奪ったロボでAIの“最適解”をひっくり返す〜2039年占領下の東京でもギルメンの絆とレンチの一撃は最強でした〜  作者: 黒須トク
X日後の未来

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第0話 チート野郎のルールで遊ぶのは終わりだ

本作品は「カクヨム」に先行して投稿しています。しばらく1日3本更新でいきます!

 同時接続、320万人。

 その全員が見ている前で、俺はAIに詰まされかけていた。


 手の中にあるのは、ゲームコントローラー。

 だが、被っているゴーグルに映るのはゲームじゃない。


 俺が奪い、操っている黒い機体だ。


〈【CRITICAL】電源残量:20%/非給電〉

〈有線操作系:2/6〉


 スティックを押し込む。


 三メートル超の機体が踏み込み、灰色の敵機と肩からぶつかる。

 映像が衝撃で大きく揺れる。


 AIに封鎖された東京で、現実の装甲がきしみ、悲鳴を上げている。

 飛び散った火花でレンズが焦げ、泥がこびりついている。


 塗装はあちこち剥げ、中のフレームが傷口のように覗いている。

 背後では、逃げ遅れた人たちが川を渡っている。


 右腕を振り抜く。


 だが、金属の得物は空を切る。

 カウンターで、対戦車ナイフが左肩へ叩き込まれる。


 火花。


 肩の継ぎ目から、白い霧が噴き出す。

 装甲の表面に、みるみる広がる霜。


〈警告:左肩モーター、出力40%〉


 みんなが逃げきるまで、倒れなきゃいい。


 だが、灰色機はそれを許さない。

 狙いは、こっちの機体。


『貴方のこれまでの行動は、すべて予測範囲内です。継戦の合理性はありません。機体を停止させてください』


 スティックを握る親指に力を入れる。

 黙ったら、指まで止まる。


「だったら、チート野郎のルールで遊ぶのは終わりだ」


 俺はコントローラーのスティックを倒す。

 コメント欄が、読めない速度で流れていく。


:AIの言うことなんか聞くな

:これ完全にラスボスやん

からす、逃げてもいい

:10秒でも稼げ

:頼む、あと少し

:鴉、ガンバレ!


 柄じゃない。

 分かってる。

 でも今、言わないと、みんなのコメントまで途切れる。


「お前の最適解が俺を閉じ込めるなら、俺たちは束ねた声を鍵にして、可能性を取り返す!」


 その言葉に、画面の向こうが応える。

 声援も、野次も、祈りも膨らみ、ひとつの流れになっていく。

 俺の手に、一瞬だけ、次の選択肢が増える。


 画面の向こうから、現実へ手を伸ばす。

 ゲームの外にも、俺の戦場があるなんて思っていなかった。

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