11話 親バレ
「シィナ、最近ウチの裏庭でギストレンジ公爵のところのヨルクライム嬢と一緒に何かやっているようだな」
「なななな何のことでしょうお父様」
「相変わらず隠し事が下手ねえこの子は」
ヨルと一緒に秘密のミカン栽培を始めてしばらく経ったある日、遂に両親にバレてしまった。
いやまあそうだよな、自分の家の裏庭に見たことない木が急成長しながら生えてきてたら普通に気付くよな。
「まあ正直言うと三日目くらいから既に気付いていたのだが、年頃の女子が二人してコソコソとやっていることだから追及はしなかったのだ」
「娘に対する配慮が出来ていて素晴らしいですわお父様」
「ふたを開けてみたら、年頃の貴族の娘が二人して土いじりですもの、あたし呆れちゃったわ。そんなだから見合い話の一つも来ないのよ」
「お母様はもう少し娘に手心を加えてくださいまし」
ゼテール家もギストレンジ家も一人娘なので嫁ぐのではなく婿が欲しいところ。
しかし、オレたちは農業地帯を管理する領主と鉱山地帯を管理する領主の娘……相手の男性も中々に覚悟を決めないといけないだろう。
なんというか、北海道の辺境にある牧場とか漁師の一人娘に手出すみたいな感じ?
「なにやら緑色の小さな果実が出来てきているが、アレはなんだ? 私は見たことが無い果実だ」
「あれはミカンという果物の木ですの。わたくしのギフトで出した果実から種を取って育てているんですのよ」
「ミカンねえ……美味しいのかしら」
「まだ小さいですし、緑色なのはまだ熟していませんから食べてもすっぱいと思います。もうしばらくしたら夕焼けのような綺麗な色になりますので、そしたら収穫できますわ」
両親にはクレイン王国原産ではない異国の果物だという感じでミカンを紹介し、ギフト『フルーツ』の使い手として、ゼテール家の発展のために新たな名産品の栽培を試していると説明する。
「異国の果物……まさかチェスナードの物じゃないだろうな」
「違いますわお父様。ミカンはチェスナード王国原産の物ではありません」
チェスナード王国とは、オレたちが暮らすクレイン王国と昔から小競り合いを繰り返している隣国だ。
貿易に関してもほとんど鎖国状態で、チェスナード王国産の物を裏ルートで仕入れたなんて事になったらゼテール家にスパイ容疑がかかり、御家取り潰しの刑に処されてしまうかもしれない。
「うふふ。お母さんは知っているわよシィナ」
「な、何を知っているんですのお母様」
「この間、ギストレンジ公爵夫人から聞きましたの。近々、王都でバシム第一王子の王妃候補選抜会が行われるんですってね」
「なっ!?」
ちくしょう、まさか王妃候補選抜会の話が母親にも知れ渡っているとは……
まあこればかりは仕方ないというか、伯爵家のオレと公爵家のヨルが仲良いのと同じで母親同士も身分関係なく仲良いんだよな。
「つ、つまりシィナは、王妃候補選抜会に参加し、そこで有利になるように新たな成果を上げようとしているということか……!?」
「いえ、そういうわけでは……」
「父さんは許さんぞっ! い、いくら第一王子の王妃候補といえどシィナに結婚はまだ早い!」
「もしやお父様、わたくしに来てる見合い話を勝手にシャットアウトしてます?」
———— ――――
面白かったら★とリアクションをいただけると執筆の励みになります!
———— ――――




