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回帰○(リターン・ゼロ)~平凡な俺の前世が『神』だった~  作者: トランス☆ミル
第一章 新たな人生の始まり編

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第2話 ミル様

 3人はミルの元へ向かった。


「ずいぶん遠いんだね。もう3時間は歩いてるよ」


「大丈夫、もうすぐ着くよ」


 森の中をひたすら歩き続け、ミルのいる軍の本部を目指す。


 そして、しばらく歩いていると、大自然の中の切り立った崖の上にそびえ立つ、巨大な城が見えてきた。


 まさにお化け屋敷のような雰囲気だ。


「おい、下級の隊士が何故ここにいる? そいつは誰だ」


 長い城の階段を上って門の前まで行くと、さっそく門番に呼び止められた。


「じ、実は会わせたい人がいて……」


「ミル様は暇では無いんだぞ。そんな勝手に客人を連れてきても――」


「良い」


「「――ッ!?」」


 門番が口を開いたその瞬間、禍々(まがまが)しい雰囲気がして、その場にいるみんながゾッとした。


 前を見てみると、そこには白い髪の美青年が立っていた。


 白装束の様な服に内が白、外が黒のマントを纏《まと》っていて、背中にでっかく「0」をモチーフにしたマークが描かれている。


 目は緑とピンクの綺麗なオッドアイで、不思議な雰囲気だ。


 年は3人より少し年上くらいに感じる。


「み、ミル様!」


 その姿を見るや否や、全員が跪《ひざまず》く。


 ヴィジはみんなに釣られ、ワンテンポ遅れて跪いた。


「お前たちは?」


 ミルはゆっくりと3人の前まで来て、静かに口を開く。


「お、お初にお目にかかります。私はリード部隊所属のレイと申します」


「同じく、フラクタと申します」


「会ったことなかったんかい!」と、ヴィジは心の中でツッコんだ。


 ダメだったらどうするんだと、ヴィジは少し先が不安になる。


「僕はヴィジ……です」


 ヴィジは恐る恐る口を開く。


 ミルに圧に押し潰されそうな感覚に襲われた。


「ヴィジか……俺に似ているな……」


 そんなヴィジを、ミルはまじまじと見つめると、


「よしっ! レイ、フラクタ。スカウトしてきたお前たちはヴィジとトリオを組め」


 と、パンッと手を叩いて、そう言い出した。


「「!? ……承知しました」」


 ミルの急な命令に、レイとフラクタは少し驚くも、すぐに承諾した。


「と、トリオ?」


(なんだ? 入隊を許されたのか?)


 ヴィジは少し動揺する。


「一緒に任務などをこなすチームみたいなものさ」


 ミルはヴィジにそういうと、


「そして……おい、ダクラ! いるか?」


 と、誰かを呼んだ。


 すると、


「はい、ここに」


 と、どこからともなく一人の男が現れた。白い隊服に並々ならぬオーラ。まさに強者の風格がある。


 ミルよりは大人びている。


「この3人をお前の部隊に加える。本部を案内してやれ」


 ミルはその男に、何やら指示を出した。


「はい」


「だ、ダクラ様の部隊に!?」


「なんで!?」


 そんな2人の会話を聞いて、レイとフラクタは急な展開に動揺する。


「ダクラ様って?」


 そんな2人に、ヴィジが質問をする。


「ミル様の側近で祓魔師《エクソシスト》の中でも2番目の権力者、『主《ドミニオン》』の称号を持つお方よ」


「急に編入だなんて」


「ミル様が言ったことだ。大人しく着いてこい」


 ゴネる2人を見て、ダクラがそう言うと、本部の周辺を案内し始めた。




「はぁ、だりー。面倒押し付けやがって」


 しばらくすると、ダクラは愚痴をもらし始めた。


「「え?」」


「あぁ、3人もミル様にそこまでかしこまらなくていいからな。お前らはまだ入って間もないから知らないかもしれないが、ミル様は上下関係を嫌っている。普通に温厚でお調子者だから、別に怖がる必要も無い」


「そうなんですか? 大君主《オーバーロード》はもっと恐ろしい存在だと思っていましたが……」


「温厚な大君主《オーバーロード》は割といるぞ」


「なるほどー。てかそんなことより、2人は新人なの?」


「あぁ、さっきのがデビュー戦だ」


 「初めてだったのかよ!」と、心の中でツッコんだ。


 そして、


「そ、そうなんだ……あっ、話変わるけど、ミル様は僕と同じだってことでここに連れてきたんでしょ? 実際はどんな人なの?」


 と、2人に会ってから、ずっと疑問に思っていたヴィジが質問をした。


「あぁ、それはな、俺も詳しくは知らないんだが――」


 それを聞いて、ダクラがゆっくりと話を始める。


「はるか昔、神話の時代の終わり頃、ミル様は突如として天界《ヘブン》に現れた。神系象徴《デウスシンボル》を持たないミル様を、人々は人に近いバグだとみなし、追放しようとした。そしてある大事件が起きたんだ。


 内容は詳しく知らないが、それがきっかけで、その存在は常世《とこよ》にいる14人の大君主《オーバーロード》の耳に入り、大君主《オーバーロード》達の裁判にかけられた――」


「そんなことが……」


 レイ達もこのことは知らないようだ。


「そして、ミル様は天界《ヘブン》と地界《ヘル》の狭間にある大量のバグが存在するバグの温床。通称『システムの墓場』へ追放された。


 その場所はバグの影響で空間も何もかも歪んでおり、祓魔師《エクソシスト》達も対処出来なかった。追放されたミル様を見せしめとして、その映像を常世全体に中継した。


 ――誰もが死んだと思った。


 だがミル様がその地に降り立つや否や、中継が途切れた。それと同時に恐ろしいほどの神力《しんりょく》を各地で観測した。映像が復活するとそこは何もかも消えていた。虚無だった。


 その圧倒的な力は最強の支配者、大君主《オーバーロード》に匹敵すると言われ、彼は15人目の大君主《オーバーロード》となり、かつてシステムの墓場だった場所が支配地として与えられた――という神話がある」


「そう、それがミル様。私達が言った救われたというのは、このバグの温床の影響を受けなくなったこと」


 ダクラが話終えると、


「天界《ヘブン》と地界《ヘル》はそれぞれ七階層あり、天界《ヘブン》第一階層と地界《ヘル》第一階層は特にバグの被害に悩まされていたんだよ。俺もフラクタも、天界《ヘブン》第一階層の家系出身で幼なじみなんだ」


 と、レイが続いた。


「そういう事だったのかぁ」


 ヴィジは話を聞いて、納得したようにそう口にする。


「一階層につき1人の大君主がその階層全体を治めている。ミル様の階層は常世第零(ゼロ)階層と呼ばれ、今や多くの移住者で溢れかえっている平和な階層だ」


 ダクラはその後も祓魔師の話と、本部の案内を続けた――。




「その〜、僕が化け物を倒した時のあれは何なんでしょうか……」


 しばらく歩いていると、ヴィジがダクラに質問をした。


「ふむ。そうだなぁ……まずは能力の把握をしないとな」


 それに対しダクラは説明を始める。


「まずは天地者《てんちしゃ》、つまり選ばれた者だけに与えられる力を『神ノ加護(フォース)』といい、1人につき1種類の特殊能力を持つことが可能だ。


 神ノ加護(フォース)は人々が持っている『天賦力《てんぷりょく》』と呼ばれる力を使って発動する。天賦力は主に『神力』や『魔力』、『霊力』に分類され、そのうち『神力』か『魔力』を使うんだ。天賦力は体力のように切れると力を使えなくなるし、自然回復もする」


「神ノ加護(フォース)って、普通は成長と共に自覚するもんなんだけどな。死に直面したことで、覚醒したのか」


「確かに、今まで追っ手から逃げるとき、身体能力が高くなってた気がする。一度も捕まったことが無いし」


「その兆候はあったということか……ちょっと見せてみろ」


「わかりました」


 ダクラに言われ、ヴィジは手を前に出した。すると身体《からだ》からオーラのようなモヤが溢れてきた。


 赤、黄、緑……様々な色が混ざりあったオーラはまさに芸術の様だ。


「うーん……見たことない能力だなぁ。神ノ加護(フォース)を扱うには能力を理解しイメージすることが重要だ。それで何ができる?」


「えぇ〜と〜、あの時みたいに爆発を起こしたりできそうですね」


「オーラを操る能力と言ったところか? まぁ、時期に理解できるだろう」


 ダクラは静かに笑みを浮かべた。それを見て、ヴィジも少し嬉しい気持ちになった。


「それはそうと、能力名は何にするんだ」


「能力名?」


「能力には呼び名があった方がいいだろう。能力名は、魔法系や相伝以外は基本的に個人で名付けるもんだ」


 ダクラがそう説明すると、レイとフラクタが、


「ちなみに俺の神ノ加護は『神線《ゴッドレイ》』。強力なビームを打てる。風や水、炎なんかも打てるぞ」


「私の神ノ加護は『波動《キーマ》』。あらゆる『波』を操る能力よ」


 と、自身の能力について説明した。


「能力名か……オーラを操る能力だから、かっこよく『霊力支配《オーラインペリウム》』。なんてどうかな?」


「かっけぇじゃん」


「私も素敵な能力名だと思うわ」


「決まりだな」


 そう言うと、また案内を始めた。




 いよいよ最後の案内場所へたどり着いた。


「疲れた〜。この本部広すぎるよ〜」


「だね〜」


 すっかり日も落ちて、3人はかなり疲弊している。


「一応ここで最後かな」


 そこには巨大な扉があった。


「ここは?」


「ミル様の私室だ」


「勝手に入っていいんですか?」


「いい」


 ダクラは失礼しますと、扉を開けた。


 ギギッという音と共に扉が開く。


 そこには白と黒の色調の立派な玉座があり、まるで昼と夜の狭間のような空間が限りなく広がっていた。


 星々も輝いている。


 そして、中央の玉座にはミルがまるで魔王のような体勢で座っており、


「よく来たな。実に素晴らしい空間だろう」


 と、魔王口調で出迎えた。


「ここがミル様の部屋……」


「ミル様は厨二病を拗《こじ》らせている」


 それを見てダクラが口を開く。


「お堅い君にこの良さは伝わらないさ。この神王と魔王の間が融合したような神秘的空間。


 まさに天界《ヘブン》と地界《ヘル》の狭間の管理者と言った感じだ」


「わかったか。ミル様はこんな人だ。尊敬するに値しない」


「偉大なる大君主《オーバーロード》をこんな人呼ばわりとは」


「み、ミル様って結構愉快なんですね……」


 そんな2人の会話を聞いて、3人は唖然とした。


「大君主《オーバーロード》は寛大なんだよ。一部を除いて(小声)。


 階層の支配者という肩書きで、階層内にある各国の支配者である神王や魔王、上級貴族のように独裁的で恐ろしい存在だと思われがちだけど、そんなことはない」


「大君主《オーバーロード》は階層内の支配者達をも支配しているからな。勘違いするのも無理はない」


「へぇー、僕の知らない事ばかりですね」


 ミルとダクラの説明を聞いて、ヴィジは感心する。


「ヴィジくんはまだよくわかってないもんね」


「まぁ、そのことは後日説明する」


 そんな話をしていると、


「ダクラ、こいつらを隊の寮に連れて行け。お前たちも、今日からそこが新しい家だ」


 と、ミルに言われた。


「「ありがとうございます!」」


 そうして4人は寮へと向うこととなった。




「初めまして。今日、部隊に配属されたヴィジと申します。よろしくお願いします」


 寮に到着すると、隊員達に自己紹介を始める。


「初めまして。同じくレイと申します」


「初めまして。同じくフラクタと申します」


「ミル様の軍はそこまで堅苦しくなくても大丈夫だからな。みんなも仲良くしてやってくれ。今日は遅いから馴れ合いは明日にしろ」


 ダクラの部隊は約30人程しかいない。超少数精鋭部隊らしい。


 そして、寮のみんなとも仲良くなり、楽しく過酷な日々が始まるのだった――。


少しでも、


「面白い!」「展開が気になる!」


と思ったら、ぜひ☆☆☆☆☆評価、感想で応援お願いします。


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〈主な登場人物〉


ヴィジ〈神ノ加護:霊力支配〉:今作の主人公


レイ〈神ノ加護:神線〉:陽気な性格。意外とまじめ。


フラクタ〈神ノ加護:波動〉:穏やかな性格をしている。


ダクラ:大君主の側近、主の称号を持つ。真面目な性格。とても紳士な見た目をしている。人間で言う25歳くらいの見た目。


ミル:常世零階層を統べる大君主。厨二病でお調子者。とても寛大。白髪、高身長、右目が緑、左目がピンク色のオッドアイでアースアイ。人間で言う19歳くらいの見た目。

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― 新着の感想 ―
RTしていただきありがとうございます。拝読しました! 迫害されていたヴィジが、仲間と出会い「祓魔師」として覚醒する王道展開にワクワクしました。 特に大君主ミル様!最強の存在なのに「厨二病を拗らせている…
引き続き良い点は多数あります。 レイやフラクタの背景が開示されて、キャラのイメージが読者側でも輪郭を少しずつ持てるようになりましたし、大君主のミルへ会うまでの進行テンポが良いので、物語がサクサク進むの…
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