第一章:見えない場所
中学2年生の片山蓮は、家庭内では両親の不和に耐え、学校では孤立している。誰にも言えず、誰にも頼れず、自分の「居場所のなさ」に心をすり減らしていた。
登場人物
•片山 蓮:13歳、中学2年生。新居浜市在住。
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【シーン1】朝の食卓(蓮の家)
描写
朝の食卓に、冷めた味噌汁と焼き魚だけが並んでいる。母は無言でスマホを見ており、父は新聞の陰で咳払いばかりしている。誰も、蓮に目を合わせない。
台詞
父(新聞から目を離さず):「…今日、部活はあるのか。」
蓮(俯いたまま):「うん…」
母(スマホを見ながら):「いじめられてるとかじゃないの?」
蓮(一瞬固まり、小さな声で):「……ちがう」
母:「ふーん、ならいいけど。」
(蓮、箸を置き、黙って部屋を出る)
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【シーン2】教室(学校)
描写
騒がしい教室の中、蓮は窓際の席でひとり教科書を開いているが、誰も彼に話しかけない。教科書に落ちる日差しだけがあたたかい。
モブ生徒A(小声):「またあいつ一人で弁当食ってるよ。」
モブ生徒B:「あいつ話しかけても無反応だし、怖いんだよね。」
蓮(心の声):「見えなくなれたらいいのに。…いや、誰にも見つからないところに、行きたい。」
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【シーン3】夜の部屋(蓮の部屋)
描写
蓮の部屋は本棚と小さな机だけの簡素な空間。机の上には古びた写真――小さい頃、父と新居大島で釣りをした時のもの。二人の笑顔がそこにある。
蓮(写真を見つめながら):「……ここじゃない、どこか遠くへ……あの島なら、だれも来ないかもしれない。」
(蓮、机の引き出しから財布と手帳を取り出す)
蓮(心の声):「60円で行けるんだ。港までは歩ける……食べ物、水、充電器……いらない、なるべく軽く……」
描写
リュックに荷物を詰める蓮の表情は、怯えと決意が入り混じっている。窓の外に、薄明かりの街が静かに広がっている。
蓮
「いなくなっても、きっと誰も困らない。…でも、どこかに、ぼくが生きていてもいい場所があるなら。――それが、あの島だと思った。」




