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新延命装置タケノコ  作者: 空羽 叶
第一章 新田 晶
1/37

1ー1

 宇宙に国際規模のステイション・ルームが整った頃、それは世に放たれた。


 新延命装置タケノコは、非営利団体により開発されたというが、そのたしかな資料はない。


 ◆ ◆ ◆


「ん〜? お姉ちゃん、まだかなぁ?」


 僕は、タケノコの中で精一杯背伸びをした。

 

 最近また背が伸びたみたいだ。


 今日は大好きなお姉ちゃんから物資の配給と楽しい会話がくる予定なんだ。


 いつもは十分前には衛生カメラを通じて顔を見せてくれるお姉ちゃんだけど、今日はもう十五分も遅刻だ。


 タケノコは、全面ソーラーパネルの延命装置だ。


 僕は、生まれつき心臓がよくなくて、タケノコに乗る前はずっと病院のベッドで寝て過ごす毎日だった。


 そんな僕に、お姉ちゃんは英語とドイツ語の勉強を、また機械光化学の勉強なんかもするようにって、暇つぶしに本を持ってきてくれた。


 お父さんとお母さんはだんだん病院から遠のいていったけど、お姉ちゃんだけがまめにお見舞いに来てくれたんだ。


 そんな僕が、もう十五歳になる。


 十歳まで生きられるかわからないとまで言われていたこの僕がだよ。


 だから、突然看護師さんたちにストレッチャーに乗せられて、タケノコの研究施設に運ばれた時はとてもびっくりしたよ。


 だって、タケノコの存在はネットの噂だって思っていたから。


 だけど、本当にあったんだ。タケノコの形をした未来型延命装置は、病気の人を感知すると、その人にあう環境を自動で整えてくれる。


 タケノコに乗って三ヶ月。


 僕はもう、お姉ちゃんに会いたくてたまらなくなっている。


 ビーっとタケノコぎ聞いたことのない音を発した。


 これは、危険を察知した時のみ発せられる音だ。


 液晶パネルに目を凝らすと、後方から人型ロボットがこっちに向かってきている。


 人型ロボットだって?


 そんなのSF映画みたいじゃないか。


《敵機接近。敵機接近。これより防衛フォームを実行します。シートベルトを装着してください。シートベルトを装着してください》


 タケノコは日本語でそんなことを言った。


 僕はあわててシートベルトをした。


 防衛フォームって、たしかタケノコが人型ロボットに変形するやつだったっけ?


 タケノコの取扱説明書には、そう書いてあったはず。


 そう思う間に、ゆっくりと機体が変形してゆくのがわかる。


 やがて、僕の機体も人型ロボットになった。


《変形完了。これより防御動作に移ります》


 タケノコはそう言うけど。もしかしたかこのロボットも、タケノコみたいなものなんじゃないかな?


     つづく

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