ミニチャプター 6.5 ― 次世代
「千秋、夕飯できたわよ! 早く降りてきなさい!」
階下から母の声が響いた。
千秋は宿題を残したままにしたくなかった。最後の数問を急いで片づけようと鉛筆を走らせるが、意識はどうしても散りがちだった――半分はプリントに、もう半分は今日の午後の徹との試合に向いている。部屋のドアにかかったラケットに目が留まると、あの惨敗の悔しさが再び込み上げてきた。
ある考えが浮かんだ。彼女は携帯を掴み、検索を開き、父が口にした名前を打ち込んだ――高尾徹。
検索結果がぽつぽつと現れた。明らかに彼に関係する見出しもあれば、まったく無関係なもの、そしてある大きな大会での衝撃の番狂わせを叫ぶ記事もあった。彼の名前がこれほど広く知られていることを目にしただけで、千秋は妙に緊張した。彼女は昨年の記事をタップし、ゆっくりと読み始めた。「天才は復活するのか?」
「千秋! 夕飯を食べるのか食べないのか、どっちなの!」
母の声が再び飛んできて、今度はさっきよりも鋭かった。
「ちょっと待って!」
千秋は叫び返した。
時間に追われ、彼女はこれ以上母を怒らせないために携帯を閉じ、宿題も中途半端に立ち上がった。けれど、徹の姿はまだ頭の中にちらついていた。あの大量の記事が、余計に彼女の好奇心をかき立てる――今日の午後に対戦したあのバドミントン選手は、一体何者なのか。
夕食の席で、千秋は父に向き直った。
「お父さん、徹さんのこと、前から知ってたの?」
慎三はしばし箸を止め、それから言った。
「何年か前の大会で会ったことがある。どうした? 気になるのか?」
「徹さんはバドミントン、辞めちゃったの?」
「調べたのか? 家族が休養すると発表はしていたが、どれくらいの期間かは明かされなかったな」
慎三は間を置き、それから尋ねた。
「千秋、おまえ、もう一度彼と試合をしたいか?」
その問いは千秋をドキリとさせた。
「わ、わかんない……徹さん、すごいプロみたいだったし……私が同じコートに立つなんて、絶対無理だよ……」
彼女は視線を落とした。
「今日の午後の試合、見てたでしょ……」
「でも、聞いただろう? 彼が帰り際に『またいつかやろう』と言ったのを。覚えてないのか?」
千秋はまばたきした――その瞬間のことをすっかり忘れていた。それから別の考えが浮かんだ。
「でも、なんで徹さん、あんなに急いでたの? すごく心配そうな顔してたし……かずみん姉も一緒に行っちゃったし」
「聞いた話では、徹の幼なじみが病院に緊急搬送されたらしい。名前は確か、茜といったか」
千秋は黙り込んだ。彼が駆け去る直前の、あのむき出しの不安に満ちた顔を思い出した。茜という人に会ったことは一度もなかったが、徹がその幼なじみをとても大切に思っていることは、突然、疑いようもなく確かに感じられた。
「お父さん、徹さんは戻ってくるのかな」
「バドミントンに、か? さあな。それは彼が決めることだ」
そこへ、母が口を挟んだ。
「彼を誘ってみても、別に悪いことはないんじゃない?」
父はため息をついた。
「噂では、徹はかなり深刻な怪我を負ったらしい。完治したかどうかは誰も知らない――家族は今でもすべてのメディアの取材を断り続けている」
母の表情が同情で柔らかくなった。
「あの頃、千秋と同じくらいの歳だったのよね? 私のような部外者でさえ、名前を聞いたことがあるもの。どれほどの重荷を背負っていたか、想像もできない……」
食卓が静かになった。千秋が野菜をつついていると、また母に叱られた。
その沈黙を破ったのは父だった。
「千秋、明日の午後はいつも通り練習だ。来るか?」
千秋は迷いながらも、小さくうなずいた。
母の眉にしわが寄る。
「あなた、千秋は今週もう十分練習したんじゃないの?」
慎三は固まった。妻はさらに言葉を継いだ。
「宿題が毎回夜遅くになっちゃってるでしょ」
「しゅ、宿題は放課後すぐにやるから!」
千秋は思わず口走った。
「遊ぶ時間はどうするの?」
千秋は黙り込み、父と同じように固まってしまった。
「バドミントンをどれだけやっても構わないけど、学校をおろそかにしないでほしいの。もうすぐ中学生なんだから、時間の管理を覚えなさい。千秋、あなたはもう子供じゃないのよ……」
そして、千秋がすっかり暗記している、毎週のお説教が始まった。
部屋に戻ると、彼女は夜更けにならないうちにと急いで宿題を片づけた。母の言葉がこだまして、もうすぐ中学生なのだと思い知らされる。しかし、彼女の心を重くしていたのは学校のことではなかった――公式戦の経験がまったくないことだ。徹への憧れが胸に込み上げてくる。同じ年の頃の彼の驚くべき実績を知ると、自分は一体何のためにバドミントンをやっているのかと、問わずにはいられなかった。
ドアにかかったラケットをじっと見つめる。鉛筆の動きが止まった。思考は散り散りになり、あてもなく漂う。それから、はっきりした理由もないまま、彼女は階下へ駆け下り、居間でテレビを見ている父を見つけた。
「お父さん! 私、大会に出たい!」




