水に流そう
夏実ちゃんとパタリと連絡をとらなくなった。
もうすぐクリスマス…だったのに…
夏実ちゃんをずっと幸せにするって決めたのに…
夏実ちゃんを笑顔にしてあげたいって頑張ってたのに…
ごめん。夏実ちゃん。
あー、クリスマスぼっち決定‼︎
クリスマス…夏実ちゃんは、どう過ごすのだろう。
きっとみさきと柚乃さんがクリスマス一緒に過ごすって聞いても、夏実ちゃんは笑顔で
「羨ましいなぁ。いいなぁ」
っていうに違いないんだ。
笑顔で…
ほんとは、つらいくせに…
オレは夏実ちゃんになにもしてあげられなかった。
いや、それどころか邪魔して、かなしいおもいさせて…
夏実ちゃん…
部屋の窓のカーテンをあけるとちょうど夏実ちゃんもこちらをみていたようだ。
でも…オレに気づいた夏実ちゃんは、カーテンをシャーッとしめてしまった。
心の扉を閉ざされた…そんな感じがした。
あぁあああああぁー…
…
あー…
もう…あーあぁしか出てこない…
マイクのテスト中じゃないのにこれほど、あーあぁ言っているのは、オレくらいなんじゃないか…
つらいのは夏実ちゃんなのに。
一番かなしくてつらいのは夏実ちゃん…
オレがみさきならな…
そしたら、夏実ちゃんを今すぐにでも抱きしめにいくのにな…。
夏実ちゃん、夏実ちゃん大好きだよって何度も言って抱きしめられるのに…。
…
みさきがオレの立場だったらどうするんだろう。
まぁ、みさきならきっと幼馴染を大事にして昔からきっとハートを掴んでいらっしゃるに違いないよな。
…
十二月に入ると街は、キラキラのイルミネーションに染まる。
…
キラキラしているのに、全然オレの心はキラキラしていない。
電球が光っているからなんだというのか。
…
全てがモノトーンにみえてしまう。
オレの世界は、これからずっとモノトーンになるのかな。
どんなきれいなものをみてもときめかない。
美味しいものを食べても心が躍らない。
前までなら、きれいなものみたら夏実ちゃんに写真送ったり、美味しいものあったら夏実ちゃんに買っていって感想もらったりしてたのに…
もう…それもできないんだ。
オレは夏実ちゃんにとって厄病神だから…
余計なことばっかりするから…
それからだいぶ月日が経った。
もう、オレたちは高校二年生。
…
あぁ、学園祭…
夏実ちゃんに呼んでもらったからオレも学園祭に招待するつもりだったのにな…
たまに夏実ちゃんを見かけることはあった。
でも…あえて声はかけない。
夏実ちゃんだって、また厄病神に取り憑かれたらイヤだろうし。
…
夏実ちゃん…髪伸びたな。
みさきのことは、どうなったのかな。
まだ、好きなのかな…
新しい恋ができてるといいけど…な。
オレは実をいうと…まだ夏実ちゃんが好きだ。
…だからどうしたって?
…うん。どうもしないんです。
好きだけど…やっぱりもう携帯のシールは、とりました。
そして捨て…られなかったからそっと裏返して机の引き出しにしまっておいた。
未練がましいオレは、風呂に入ることにした。
そして全てを水に流そう‼︎と、冷たいシャワーを浴びた。
…ムリっ‼︎冷たい‼︎
今冬だかんね⁉︎わかってる⁉︎オレ‼︎
ってなわけで、未練がましいオレの心は水に流すことができなかった…わけで…
ただ、風邪をひいただけのようでした。
風呂から上がると母さんがアイスを食べていた。
全く、痩せたいってよく言ってるわりにひたすら何かを食べているんだよなーと、冷たい視線をおくると、アイスをモグモグしながら
「あんた、みさきちゃんって人から電話かかってたわよ。」
と知らせてくれた。
…大きなお世話だ。
「勝手に携帯見ないでよ」
「あーら、ごめんなさいね♡」
と軽く返された。
みさきを、みさきちゃんで登録してたから母さんは、もしかしたらみさきを女性と勘違いしているのかもしれない。
で、携帯を確認して二階に上がろうとしたら、母さんは今度は、みかんに手を伸ばしていた。
「アイス食べると喉乾くわー」
とか言いながら…。
水飲みなよって言いかけたけど、なら汲んできてって言われたらめんどくさいからいうのをやめた。
みさきの名前、みさキングに変えとこっと。
続く。




