表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/110

いざ

 行きたいけど行きたくないお祭りに行く時間だ。

 

 あー…、いきましょう。

 

 ドアをガチャりとあけると夕方なのに眩しいくらいだ。

 

 西日…。西日さん…は、こんなオレを照らしてくださるのですね。

 

 ありがとう。

 

 西日さんに照らされたことで日光浴もできて、心も少しぽっかりといたしましたよ。

 

 ぽっかりしたんだけど…なんだろう。

 あたたかいのに…この微妙な感じは…

 

 風邪をひいたときみたいだ。

 あついのにさむいみたいな…

 

 オレのからだと心がおかしなことになりつつあるな。

 

 あー…なんか重い。財布しか持っていないのに…重い。

 

 そんなモヤモヤの中歩いているとオレの少し先をだれかが歩いていた。

 

 浴衣を着て、カランコロンと下駄の音を響かせている。

 

 いつもの服装と髪型ではないけれど、あの後ろ姿って夏実ちゃんじゃない⁈

 

 夏実ちゃんだよねっ⁉︎

 

 夏実ちゃん…今日浴衣なんだ…。

 

 ドキドキドキドキ…

 

 どうする?早歩きして夏実ちゃんに追いつく?それともこのままよい距離感を保ちつつ離れて歩く?

 

 …離れて歩くのも微妙なんだよね。なんかあとつけてるみたいじゃん⁉︎

 

 かと言っていきなり後ろからワッて言ったら驚いて転んじゃうかもよ⁉︎

 

 …あ、なにも驚かさなければいいのか。

 

 パタパタと走り、

「夏実ちゃーんっ」

 と後ろから声をかけた。

 

 するとクルッと振り向いた夏実ちゃん。

 

 うわぁっ、か…かわいい。

 

 なんとも素晴らしいアングル。

 

 あー、オレが時を止められる技を持っていたら今すぐに時を止めてジーっと夏実ちゃんを見入っていたに違いない。

 

 そしてたくさんの写真をいかにも写真家のように撮るに違いない。

 

 なぜオレは時を止められないのだろうか…。

 ならばせめて時を戻すことができたら…いい?わけでもない…な。

 

 戻ってもどうしようもないです…。

 

 はい。すみません。

 と誰に謝っているのか…そして誰とこのやりとりをしているのか自分でも謎だったがきっと現実逃避ってやつなのだろう。

 

 あぁ、オレは現実逃避って技が使えるんじゃないか。

 

 と、ないすフォロー。

 

 ナイスか?

 ま、いいか。

 

 そんな心の逃避中、夏実ちゃんがオレに話しかけてくれた。

 

「待ち合わせ場所まで一緒にいけるねっ」

 と。

 

 ま、眩しい…

 

 夏実ちゃんの笑顔の破壊力は、凄まじいものだった。

 

 しかも、浴衣のアイテムまで装備していたもんだから…オレは…オレは…みさきに幼馴染夏実ちゃんを渡したくない‼︎って気持ちがまたメキメキと芽生えてしまったじゃないかーー‼︎

 

 封印を解き放たれてしまった今…オレは思わず夏実ちゃんに、

「きれいだね」

 なんて言ってしまったぁーー‼︎

 

 すると夏実ちゃんは、

「ふふ、嬉しい」

 なんて照れ笑いしているじゃないかーー‼︎

 

 可愛すぎる‼︎

 もう、オレの心は獣心で溢れかえっていた。

 

 そんなかわいい格好してさ、嬉しいなんて笑うなんてもう…反則以外のなにものでもないだろー…。

 

 反則です‼︎退場してください‼︎って言いたいけど、退場したらいなくなっちゃうじゃん⁉︎

 

 だから退場宣言は、我慢して言いません‼︎と、心で葛藤中…。

 

 …

 

 つ、疲れた…

 

 まさかまだ待ち合わせにもついていないというのに…心の疲労感が半端ない…。

 

 運動会の準備体操でへばるやつくらいやばいだろ…。

 

 …

 

 これから夏祭りが始まるというのに…オレは一体どうなってしまうのだろうか…。

 

 

 続く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ