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こんにちわ、マリア Je vous salue, Marie  作者: すずめのおやど


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ぢょおうさまとおよび -Adora me-・12

ルーン湖上にその平べったい姿を浮かべておるのは、茸生島(たけぶしま)


誰の命名やねん、それという気はするのですが…。


しかし、この島がなぜそういう名前なのかを即答できるのが悲しいのです。


この島、名前の通りにキノコという植物…それも、かなり気色悪いものも含めて生えておるからです。


それも、元から生やされておるのではありません。


痴女皇国世界から持ち込まれたもの、なのです…。


まず、夜中から明け方にかけて急成長する白いキノコである、淫棒茸(いんぽたけ)


このキノコはその傘が大きく開く前に採集しないと、食用にならないそうです。


いえ、食べられるのですけど、その薬効が傘を開いた時と、開く前では真逆なのです。


傘を開かずに陰干しすると、とても美味しい上に…ちんぽが元気になります。


それはもう、大層に。


ところが、一旦傘を開いてしまったものはこれまた干してよし煮てよし焼いてよしなのだそうですが、食後にとんでもない毒効が発生します。


いんぽてんつとかいうそうですけど、まさにそのいんぽの症状…ちんぽが元気にならずに萎え萎えになってしまうのが、丸一日は続くのだそうです。


ですから、このキノコについては夜中の間…傘が開くまでが採集のための勝負の時、なんだそうです。


(茸島の名前はまさにこの淫棒茸から取られているそうでしてね…)


と、わしの傍におるジョスリーヌ団長が教えて下さいます。


「あと、チンポルチーニと南洋松露…トリュフの改良版、それからマラタケも生やされていたな…マラタケについては聖院第二公用語の命名通りですよ、レーヌ(じょおうさま)・イリヤ…」


ええ、皆まで申されずとも構いませんよ。


で、わしがこの茸生島に来ております理由。


着任者を出迎える必要があるからです。


そして、来ておるのはわしとジョスリーヌさんだけではありません。


女テングのオオルリさん…カラステング一族の出身の方で、天女族とかいう分類になるそうですけど、とにもかくにもこの、ルーン大陸の西寄り中央にある悪魔の谷と魔王城の地下にある苗床番、魔王を補佐して務めて下さっておられる御仁です…。


Ooruri(Shitori Suzuka,L'Oiseau bleu, Sitri) 漆間大瑠璃 Million Suction(Limited Ten million)百万卒(限定一千万卒) Slut Visual (heavenly maiden mode) 痴女種外観 Purple rosy Knights. 紫薔薇騎士団 The Extra-Human Knights 八百比丘尼国大江化外衆(人外騎士団) Imperial of Japan administrative bureau.Imperial of Temptress. 痴女皇国日本行政支局 Crow Tengu Uruma Family 烏天狗族 Suzuka heavenly maiden ladies 狗賓


(ほんまは堕天使族のシトリーゆう方と相乗り赴任なのは内緒で)


(漆間一族としてお越しになるとまた話が変わるというのは伺ってます…)


そして、今日、やって来る赴任者も、このオオルリさんのお国の人間なんですよ…三人のうち、二人までは。


で、この茸生島とルーン湖南岸の間の空が少し震えたように見えた次の瞬間、その空間に灰色の軍艦が浮いております。



『This is DDCV-199 Suzuya… Sorry, HMS Temptress II,N101 Imperial of Temptress. NB Aero-space air force Southern Hemisphere Air Defense Control Center, Please send your AIS registration number.(こちら日本自衛軍DDCV-199すずや…すみません、痴女皇国所属の王立海軍空母N101テンプレス2世。NB航空宇宙軍南半球防空管制センター、自動艦船識別装置の認識番号を送信されたし)』


『かしこまりました副首相閣下。DDCV-199すずやとして軍艦旗の掲揚で支障ありません。ルーン湖への着水とキノコハエテルシマ・アイランドへの接岸を許可します。航空宇宙艦・水上兼用艦籍番号を受領・自動登録を確認願います…』


『うう、うちは一応英語喋れるんですが…なじぇ聖院第二公用語で管制される羽目に…』


『一種の暗号通信になるからと伺っております。とりあえず接岸後、テンプレス2世は痴女皇国世界と連邦世界の例の貨物を卸す作業に入られるのですよね?』


『ですわ…まぁ、そっちの取り卸しはうちの娘らがちゃっちゃとやってしまいますので大丈夫です…』


などと交信内容が聞こえてきた気がしますが、気にしません。


どうも、痴女皇国の国章である丸と棒の組み合わせの記号を配した旗を掲げるのは、大変に頭痛がする光景であると聞いておりましたのですが、今のやり取りこそがそれを誤魔化す話らしいのです。


(いや、一応NB船籍もあるねんけどな…NB海軍か航空宇宙軍船舶として運用する際には一定比率のNB軍人をクルーに乗せてくれんかとか無理難題言われてな…)


(で、おめこ旗回避のためにわざわざ航空宇宙自衛軍の船名で名乗ったのかよ…おめこ旗掲げて入ったらいいじゃん…)


ばしん、とかいう音が聞こえた気がします。


そして、マリアリーゼ陛下…マリア様の絶叫も。


(今のはりせんは自動運転やな)


(ううううう、アレーゼおばさまのはりせんはベラ子の所有のはず…)


(うちのはマイレーネさんから託されたものに変わっておる。文句は痴女皇国世界のモントルーに赴いて申し述べるがええ…存分に己の正しさを主張する度胸があればやけどな!)


(はりせんが動いた時点であたしはその意欲を喪失してるよ!)


とりあえず、わしとジョスリーヌさんとオオルリさん、そして少し離れてフユキと秘書娘とその息子が立つ中、テンプレス2世は湖水に浮かぶや、するするとこっちへと真横に寄ってくるのです。


どないなっとんねん、あの船。


わしの知ってる船の動きとは思えんのですが、とにかくそういうことが出来る…あ、テスココ湖の巡礼航路に入ってる大型帆船とか、あそこに浮かべてる三河監獄社…正確には米国監獄社らしいのですが、とにかく偉い値段がつく豪華そうな皇帝用小型船もそういう変な動きで岸に着いたり沖へ出ていくのを思い出しました。


まぁともかく、岸に着いたテンプレス2世から降り立ったジーナ様とマリア様からは、三名の赴任者を紹介頂きます。


「ええと、アナリン・ガルシア・ロブレードさん、高里お子々(こうりおねね)さん、それから中村次郎吉(なかむらじろきち)くんやな。とりあえず船内で予習してもろとった通りで、このルーン大陸の住民側の実質的な長になるリュネ王国将軍で剣聖のイリヤさんと、魔族の王様の代理人の漆間大瑠璃(うるまおおるり)さんを紹介させてもらいます。ジョスリーヌさんとは比丘尼国で面識はあるからええか」


Analyn García Robredo アナリン Thousand Suction(Limited Hundred thousand) 千人卒(限定十万卒)Slut Visual 痴女外観 Yellow Rosy knights, Imperial of Temptress. 黄薔薇騎士団 Purple Rosy knights, Imperial of Temptress. 紫薔薇騎士団 Rune continent subdivision, Neo-British blanch, Commonwealth realm, Imperial of Temptress. 痴女皇国NB行政局・ルーン大陸支部


Nene Kouri(Miyo Chisenn-in)お子々 Thousand Suction. 千人卒 Slut Visual 痴女外観 Purple Rosy knights, Imperial of Temptress. 紫薔薇騎士団 Rune continent subdivision, Neo-British blanch, Commonwealth realm, Imperial of Temptress. 痴女皇国NB行政局・ルーン大陸支部


JIrokichi Nakamura(Takasige Ii) 中村次郎吉 Single Suction(Limited Hundred Suction)一人卒(限定百人卒) 一人卒(限定百人卒) Pure male Visual.(variable tranny gender changer ) 男性外観(偽女種可変) Rune continent subdivision, Neo-British blanch, Commonwealth realm, Imperial of Temptress. 痴女皇国NB行政局・ルーン大陸支部


で、ジョスリーヌ団長が運転する青くてごつい、左右3つずつの車輪がついた車の後ろに押し込まれるわしらですが。


「この車が当たり前のように待っとるゆうだけでルーン大陸が色々ややこしいのがわかるな…」


「まぁ、NB陸軍なら本国製品か英国陸軍またはNBでの採用車に合わせろって言ってくるよな…」


ええ。


淫化(いんか)にも置かれていた、VABというフランス製の軍隊用装甲車とかいう代物ですね。


この車、もう見るからに普通に人を乗せて使う代物じゃないのはよくわかるのですが、道路のない場所や水の上すら走って行けるということで「戦争やってない場所ならまだ使い道はある」とばかりに整備されたお古が安く手に入るらしいのです…。


「すみませんね、小官もこういう時のためにと、グランエスパスを要求しておるのですが…」


つまり、この車に乗せてお送りするのは本意ではない、団長はそう申されたいのです…。


で、この茸生島と湖岸とを結んでおる橋を通って陸の方に向かいます。


「まぁしかし、ファインテックの工場もでかくなったよなぁ…」


ジョスリーヌ団長の隣に座ったマリア様、後ろのジーナ様にここの光景の感想を伝えておられますね。


「この工場の操業が3桁名で済んでる言うのがそもそも信じられん」


「自動化が進んでるせいだよ。その代わり研究開発要員も同数以上に配属されてんだからさ、トータルだと二千人くらいかな、人口。敷地の割には少ないけどね」


そして、前から見ておると右側には悪魔の谷城の向こうに、学園都市が大きく広がっておるはずなのです。


と言っても、現状では2階建ての建物がほとんどのはずです。


そして、時折、リュネ族や飛行西方族…だーくえるふが飛んでおるのが見えるはずです。


(しかし、横濱(よこはめ)租界に残してきた偽女種連中が気になりますねぇ…あんぬまりの姉御がおるから大丈夫とは思いますが…)


(ああ、アナリンさんの後任でアンヌマリーちゃんが着任したんやったっけか)


(そそ。ちょうど茸島の聖院学院廃校後の人事の問題もあったしさ…そいやリンジーさんも向こう…学園都市だったな)


(学長兼市長やからな。その代わりうちが総督兼務なんはなんとかならんのか…せめてアグネスさん起こして代わってもろてくれや…)


(来年のNB下院の解散総選挙まではダメだっつってるだろ、このおばはんは…)


などとのオヤコマンザイを聞いておるうちに、車は湖岸の道に入って悪魔の谷城の前を通過すると、学園都市へと向かって行きます。


「到着後はリンゼイ学長との昼食を兼ねた面談となりますが…」


「日本食指定しましたけど、通ってますかな…」


ええと。


リンジー学長…どうでしょ。


どうも食生活が独特なお国からお越しなのは間違いないし、入校前・研修前の事前連絡でもその辺の注意が回っておりましたかと。


と申しますのも、西方族はまだしもリュネ族はものを煮るという調理があまり一般的ではなかったのです。


ところが、比丘尼国も連邦世界の方の日本も、水も木材も比較的豊富な上に「飲める水」らしいんですよねぇ…。


(あのー、ジーナ閣下…ミーがマッシュルームアイランドに長く赴任してたの忘れておられませんか…聖院学院の食堂はコメが基本ですよ…ファインテック支社側はパンでしたけど…)


(それ以前にリンジーさん、あんたの母国がどこか、そしてNBの現在の食事情を思い出して欲しいんや…うちが何を懸念しているのかも…)


(ミスイリヤにチェックしてもらってますけど…)


(イリヤさん。自分の舌に自信、あるか…)


(ありません)


きっぱり。


(言いたくはありませんがリュネの者はアトハと言わずリミニと言わず食事情が貧弱な状態で生まれ育ったもんばかり。昔の淫化の食事ですらうまいうまいと食べてたんですよ?メキシコの国民宮殿で頂いてたのとか痴女宮の貴賓食堂の料理とかですね、同じ人間の食事かと思うくらい…)


「マリ公。中井くんのNB派遣を要請する…ティアラちゃんでも()めへん…とにかく最低でも明治時代後期の水準の日本食を提供できるようにしたってくれ…」


なんなのでしょうか…日本人とは、そんなに気を遣わなくてはならぬものなのか。


ですが、私は思い出しました。


淫化帝国に派遣されていた、連邦世界のペルー政府からの派遣者である、野内まゆみさんの言葉を。


Mayumi Rahua Nouchi. マユミ・ラウア Ten thousand Suction (Limited hundred thousand) 一万卒(限定十万卒)Slut Visual. 痴女外観 Red Rosy knights. 赤薔薇騎士団 Peru branch, South-America Americas Regional Headquarters, Imperial of Temptress. 痴女皇国米大陸統括本部南米行政支局 qurimanta caballerokuna 黄金騎士団 Jefe de Zona Administrativa Especial Acerías de Chimbote, Imperial of Temptress. チンボテ製鉄所行政特別区支部長


(私はペルー生まれのペルー育ちですが、祖父の影響で…他の同僚からは味にうるさい女だと言われてました…)


そう、このお方は日本からの移民のご家庭生まれだったのです…。


そして、醤油を持参しておられるばかりか、痴女皇国世界ではわざわざ比丘尼国から醤油を取り寄せていたほどの醤油派だったという事を思い出したのです…。


(口に合わないなら、小官の秘蔵のレーションを出します…フランスのレーションは真剣に評価が高いので…)


(いやジョスリーヌさん、テンプレス2世の厨房で弁当作らせるわ…あれはマリ公の趣味で日本式の調理ができる仕様や…)


まぁともかく。


うちの学園都市の最近の飯。


味はちょっと横に置いときましょう。


どうせインポタケ使いまくってますし。


まず、米飯かパンです。


そして、米飯なのですが、これがその…痴女島の食堂で出る「長い米」のことも多いのです。


これはこれでよろしいのですが、ちょっと独特の匂いがするんですよね。


そして玄米や雑穀米が出されることも多いのです。


うん、これも味に癖があります。


更には、永場(とば)王国とかその東での高級料理だそうでうすが、プロフというものが出ます。


油で炊いた飯、なのです…。


更にはリュネや西方がそうなのですけど、焼いた羊肉とか煮た羊肉とかが肉類の主力。


特に昼がそうなのです…。


(牛以外は肉と認めへん!)


(おばはんそれ関西人の理論だぞ…)


まぁ、すき焼き風煮物とか出ますが、そういうのは大抵夕食です。


つまり、中央アジアとかいう方面に所在する永場支部やその周囲諸国の料理が主体なのが、ここ学園都市の昼食なのです。


(アフリカ風も出ますね…小官は慣れてますけど…)


一方、流石にこれはという意見を中和するため、夕食はフランス系または日系料理が主に出されますね…。


で、朝。


和風または中華風らしいのですが、朝からラーメンとかおかしい、という気もします。


とりあえずは、出されたものを頂くという食習慣を植え付けるためらしいのです。


うまいもん食べたかったら大人になって稼げ、という意味も含めておるそうですが、


しかし、栄養価とやらは淫化(いんか)でも女裂振珍(めきしこ)でもそうでしたが、きっちり計算されております。


特に、男児のために。


肉や魚は絶対に出ます。


ハラマスが多いのが問題という気もしますが、何せ目の前のルーン湖で養殖されまくってますので仕方ありません。


ただ、鰻の日というものがあって、ウナギ尽くしと言わんばかりにうなぎが出ます。


これは、この魚の味を知っているフユキが大喜びする日です。


そして、ジーナ閣下がまず超高確率で食堂におられます、なぜか。


それこそ戦闘機を飛ばしてくるくらいに。


(おばはんのために出してるんじゃねぇだろ…)


(うるさい。総督として供食内容を点検しとるだけじゃ。それに給食チェックしろとか幹部に言うとるん、他ならぬマリ公お前やろがぁっ)


(うまいもん出してる日だけ来るな…)


で。


本当はうなぎを振る舞うべきだと思いますが、ここ…いえ、聖母教会や痴女皇国の主要施設の掟が存在します。


それは「上から下までなるべく同じものを食べろ」という通達です。


これは、特に学校や教育施設を併設している場所では特に守られるべきとされております。


そして、国土これ戦場に近かったリュネの戦時中を知るわしは、普通に守れるのですが。


「その意味ではイリヤさんやリュネ族ってルーン大陸向きなんだよなぁ」


「まぁ、小官も傭兵時代を思い出せば」


とりあえず今日のお昼、急遽マリアリーゼ陛下が炊き込みご飯とやらを作って下さるそうです、3人用に。


あ、フユキには普通の飯で。


なんでかと言うと、わしやフユキや秘書娘とその息子は先に申し上げました食事内容点検が仕事として入ってくるからです。


あと、ドミネラやリンジーさんやジーザスくんもこの呪縛からは逃れられません。


とは言え、濃厚な煮物をかけて匙で食う飯と、羊肉の薄切りがこれでもかと入った野菜スープと言えるのか疑問な野菜スープという今日の昼食。


長い米の方が合うのですよねぇ。


しかし、アナリンさんはまだしも、おねねちゃんと次郎吉くんには少し口に合わない…というか脂や油慣れしてないのがなんとなくわかるのです。


「じゃああたしが貰うよ。その代わり、ちょっと待っててね」


で、マリア様が三名分の皿を羊肉と野菜の炒め物に交換しておしまいに。


「ジンギスカンならまだ口に合うはずだよ…そうだよなあ、日本人だと脂身あまり食べないもんなぁ…」


なのですよねぇ。


永場王国や蒙古の砂漠では、酷暑猛暑の昼と同じ場所かと思うほどに、夜はものすごく冷え込みます。


下手をすると水が凍るほどに。


そこで、寒さに負けないようにと羊の脂身までもを余さず食べるために、煮物が多いのです。


焼くなんてとんでもない、と言われたことも。


しかし、それを食べつけない国のものには辛いのですよ…うん、リュネではのんびり煮てられん事情がありまして、畜生肉を頂く時は焼くか炒めるのが主体だったのです。


で、食堂でも焼き物と煮物を分けて出すようになったりした経緯が。


(つまり、永場や卑魔羅夜などの中央アジア行政局出身者が配転されて来ているわけやな)


(羊肉の串焼きとか、リュネ当時を思わせて懐かしいんですけどねぇ)


で、ここにおる者の中でも無難というか評判が良いのがすき焼き風煮物。


これは野菜や豆腐や根菜ゼリー…糸こんにゃくと言うそうですが、胃腸を整える効果があるようで…と一緒に牛肉を煮ることもあって、基本的には誰に食わせても普通に食べる部類です。


ですが、こればっかり出しててもなぁ、と言うこともあるんですよねぇ。


(英国風シチューも同様。毎食ビーフシチューはさすがに。マリアさんがこだわった鮎の塩焼きとか美味しいんですけどねぇ…)


あー、あれもフユキが味を知ってます。


というか、あれを食べたがるのです。


確かに、あれは美味い。


しかし…しかし、供給量の問題で、ハラマスの方が多いんですよ、食卓に上がる魚…。


「まぁ、要望があればカイゼンの提案を出して…あたしもルーン大陸の特殊性は理解してるつもりだから、試食品はなるべく口にしてるし…」


そう、煮物にしても味噌仕立てとか、完全に永場風ではなくて胡椒使うとか。


微妙に、味付けを万人向けにしているだろうなぁという努力の痕跡が伺えるのです。


「しかし、私は欧州勤務経験もありましたが…おねねと次郎吉の二人が、その」


「うんにゃ。郷に入っては郷に従えとも申します。日の本の飯が美味いのであれば広めるべきですが、ここのもん全てが日の本生まれでもないでしょう。くにの味が懐かしいとか思う心もあるかと存じます…」


「そもそもおれ、こんなに肉が入った飯、よこはめで頂く前は食えませんでした…」


つまり、貧乏な生まれだったのですね、次郎吉…。


「あたいは用人長屋でやくざもんと一緒に食ってることが多かったけど、まぁ畜生肉が出回り出したのはありがたかったですねぇ。とにかく男衆は食うんで…」


で、おねねも、借金取りとかいう粗暴な荒くれ男を扱う関係で、男の飯には慣れてはいたようです。


「これを言い出すと本宅のお父やお母や兄貴二人が食ってた飯のうらみが出ますから…へへへ」


「日本人は飯の恨みを忘れん、忘れんのや…」


「ジーナ閣下は外観はロシーですけど、頭の中身はカンサイジンですからねぇ」


「豚や鶏はブタであり鳥や…肉と言える肉は牛肉なんや…」


「英国も類似ですよ。マリアさんはよう知っとるはずですっ。私もファインテックの食堂で食べたいのは山々なんですよ?向こうはローストビーフ出るし…」


「その代わりに魚がハラマスの燻製だよ…朝ご飯は冷たいよ…」


「同じようなもんしか出してくれないんですとか、向こうの社員に言われましたね…」


まぁ、食い物のウラミはちょっと横に置いときましょうよ。


とりあえず、アナリン嬢と、次郎吉くんとおねねちゃんですよ…。


(ジョスリーヌ団長、これがスクルド先生の力ってものですか…)


(ただ、私も驚いたんだけど…オネネの成長が著しいのですよレーヌ…苗床漬けにするどころか、これならば一定以上の成果をこの学園都市で上げてくれるかも知れませんな。差し当たってはオネネをリンジー学長の配下として、文教担当にさせるべきかと献策したく…)


(エロ本が問題ですが、そのエロ本によって比丘尼国の創作文化発展を加速させた功績は伺いました…)


そうです。


大人の話でも語られましたが、おねねは本来、苗床の餌となって一定の悪徳者を出力する原型とされる予定だったのです…そして、次郎吉くんも本来は盗賊ジロキチとして、同様の処置を受けるか、さもなくばアナリン司教に飼われる立場となっていたはずなのです…。


しかし、ジョスリーヌ団長が取った措置…少しばかりの運命改変によって、悪徳金貸しとしての過去や自宅失火の引責を問われこそしましたが、最終的には比丘尼国の出版文化を加速させた功績が称えられる名誉を受けることになるようなのです。


そして、マリア様もこの功績を元に、ある意味では栄転の人事を下しました…。


ええ、おねねが千人卒になっている件ですよ…。


「おねねちゃん…このルーン大陸に住んでいる人の大半は土人と言われてしまうかも知れないんだよ…千年も続いた戦争で、読み物や絵や音楽を発展させる余裕なんか、これっぽっちもなかったんだ…」


「つまり、あたいがすべきはそういう楽しみの普及、ってとこっすか。ま、江戸の町衆相手のようにはいかないかも知れませんけど、なんもねぇとこから積み上げて行くよりは楽っしょ」


どうも、おねねには成算があるようです。


「文字が読めるんなら、すでにあるよそのもん読ませて見本にさしゃあいいんですよ。比丘尼国だって漢文取り入れてたんですから。あとは偉いさん向けにややこしくするんじゃなくて、読売講談の部類にしてそこらのガキでも面白がるようにすりゃいいんだ。そうすりゃ、子供に読み聞かせるためならって大人も読むでしょ?」


うぉ、凄い。


「ミス・オネネ…あなたはとりあえず、学園都市の教育部に配属されます。このルーン大陸での集中教育に関わる部署ですが、そこで使用している教科書の内容策定に関わって頂くとしましょう。そして…ルーン大陸の人口のうち、多数を占める西方族と呼ばれている存在の文化教養の発展に関わることになるのです、必然的に…彼女たちに独自文化を芽生えさせるかどうかは、あなたの努力にもかかっています。期待してますよ…」


リンジーさんも、おねねが江戸で築いた業績に興味があるのか、働き甲斐のある職務を用意するようなのですよ…。


「ジェネラル・イリヤ…ルーン大陸における物理的な産品生産や収穫については労働魔族を支える生体ロボットとして人を運用するのが合理的と思います。しかし、神種族の要求する知的生命体としての人類人口増加や、何より痴女皇国が熱望する精気収入に関わる向上は人の知性を上げる作業にも強く影響されるでしょう…例えそれが背徳的であったとしても、最終的に各分野における成果向上に繋がるのであれば少々の問題は容認すべきかと献策申し上げます…」


で、リンジーさんのこの、持って回った言い回しはエヌビーや英国の方らしいなぁと思うのですが、要は少々エロ行為とか諸々があったとしても、アレを積極的にやるような意欲を人に与えるほうが最終的には良いとも解釈できるでしょう。


そのためにも、ジョスリーヌさんや…どうもジョスリーヌさんも育成に関わったらしい、アナリンと言う黄薔薇騎士団出身のお方が来られたと、わしは考えております。


んで、リュネ族はどうするのか。


ルーン王城都市側で歴史編纂をやらせれば良いのです。


それに、魔族はわしらや西方族を文字通り飯にしておった関係で、あくまでも魔族視点ですが、こっちの記録をかなり詳細に残しておるのです。


それがリュネ族にとって都合が良いか悪いかは別として、閲覧は可能なのですよ…。


何より、魔王もロッテもそれが頭に入っていて、いわば外部ですがリュネの歴史の生き字引みたいなものなのです。


ですから、リュネ族の歴史や物語を紡ぐことそれ自体は比較的容易である、とわしは考えております。


しかぁし、西方族にはリュネ以上に悲惨な歴史しか積み上げられておらんのです。


ですので、これからが彼ら彼女らの歴史を積み上げるべきではないか。


だーくえるふの件でも、わしが推進しておる理由は「リュネ族に伍した存在に進化できる」利点が得られるからなのです。


だからこそ、秘書娘はわしに連れ添う形で諸々を学んでおりますし、学ばせております。


そして、新しい仲間が加わったことで、秘書娘にも刺激になることを強く希望したいのです。


で、わしはリュネ族の特徴である翼を出して、おねねを抱えます。


そして、秘書娘には次郎吉くんを抱えてもらいます。


うん。


ここに来たら一種の洗礼として経験してもらうから。


あ、アナリンさん、オオルリさんに抱えてもらってください。


うん、魔王城の上空まで行くから。


魔王のとこに顔出しに行くから。


(いりや…おまえもええかげん、性格ええな…)


(わしの性格、長年どつきあいしてたあんたがよう知っとるやろが…誰のせいでこないなったと思うとるんじゃいっ)


(わかったからてかげんしたれ!)


いやや。


そうです。


泣こうが叫ぼうが、とりあえず飛行体験はしてもらいます。


ジーナ様にも、リンジーさんにもやってもらいましたからね、これ。


(あれは吉野大峯ののぞき懲罰や…うちは女ゆえにあれを体験せんで済むことに安堵したんや…)


(というか戦闘機パイロットでTAPPS操縦資格者で高所恐怖症ってどうなんですか…)


(飛行機はまだいけるんや…リンジーさんも泣きながら飛んだやろ!)


(おばはん。本宮女官だと騎士訓練の一環で聖院開闢大堤から飛び降りて着地ってのがあるの知ってるよな。かーさんの体の制限があるからやらせてないけど、リンジーさんは受けてるぞ…)


(二度と嫌です。あれ、真剣に700フィート近くを飛び降りるんですよ!)


ええ、わしもやらされましたよ、翼出さずに降りろって。


あれに比べりゃマシですよまし!


ですから、新任の皆様には申し上げたいのですよ。


「ようこそルーン大陸へ。ここは人を試す大地です」って!

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りんじー「真剣に死ぬと思いましたよ…」


マリア「どうしてもダメな場合、最初はアルトやダリア辺りが抱えて飛び降りるんだけどな…」


あると「もらす女官もあまた」


だりあ「なんでそんな高さから落ちて大丈夫なのか」


マリア「女官ならできる、重量軽減とか質量軽減」


あると「つまり、騎士にひつようなわざをおぼえさせるためなのです…」


いりや「ちなみに黒薔薇騎士の緊急出動試験はもっと過酷でしたよ」


えまね「私やおばさまやロッテさん、飛ぶのと走るのと両方やらされましたからね…」


いりや「まぁ余裕」←肉体言語派


ろって「私も余裕だが、身体で語るのとは話が別だぞ…」


えまね「おばさまが如何に脳筋か」


いりや「お前ら(びきびき)」


りんじー「そんな場所ですが、頑張ってくださいとしか…」


おねね「あたいは身のこなしは軽い部類なんですよ」


じろきち「おれも、(とび)職見習いなんで…」


いりや「つまりですね、魔王城まで飛んだ際に、声こそ上げなかったものの、一番反応が厳しかったのは…」


おおるり「とりあえず慣れてくださいまし…」


あなりん「ううううう、まさか空を飛ぶなんて…」


じーな「意外に女には高所恐怖症は結構多いと思うぞ」


マリア「それを指導するのが飛行実技教官の資格者たるおばはんだろう」


じーな「うちは自分で翼生やして飛ばれへんわ!」


いりや(でね…抱えられて空を飛ぶのが内心嫌だったのが丸わかりのアナリンさんですがね…)


りんじー(黄薔薇騎士団員らしいお方なのですよ…)


いりや(詳しくはこちら、らしいのです…)

https://novel18.syosetu.com/n2144lv/

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