王の帰還 -Reditus Regis-・12
ぱん、ぱんと何かが爆ぜる音がします。
ええ、夕暮れのルーン王城市の上に打ち上げられた花火とかいう玉が弾け、色とりどりの火花を散らせるのです。
それも、規則的な向きで弾けるが故に、様々な模様が出る光を。
「アトハ王、リミニ王妃、エマネ王女、剣聖様、占術長様、ようこそのお帰りでございます」
「ささ、魔王城の城代様もこちらへ」
ええとですね。
わしらを出迎えたのは、再編されたリュネ戦士団・王城警護兵長のドミネラ。
そして、新・リュネ王城女官長職として再就任したマルヴィレです。
といっても二人とも、以前のリュネ王城で全く同じようなことしてましたからねぇ。
それと、アスタロッテの扱いです。
このルーン王城市に来させない方が良いのではとも思いました。
なぜならば、長く続いた魔族とのいくさの中で、身内を失った者…わけても、魔王直命の大侵攻によって多くの命を落とした者がおる、ここなリュネ王城市では未だに魔族を深く恨む者が少なくないのです、心の奥底では。
ですがしかし、あらかたの戦士が痴女種女官化されたことと、魔族の必要性や魔王侵攻当時の諸々が明らかにされたことで「あれは仕方ない、苗床から蘇えらせることが可能な者は蘇えらせてもらう」ということを当時のわしとエマネが公的に発令してチャラにしてくれという発布を出しております。
そして、今後を考えると魔族との融和は絶対に必要なのです。
そこで、ルーン王城市の停車場に着いた列車からは、リミニがジーナ様を、わしがアルトさんを、そしてエマネがロッテをえすこーとして王城へ向かったのです。
つまり、賓客として遇しているからなということですね、ロッテを。
おまけに、ロッテは本当ならば少々の戦士が束になってかかっても勝てる相手じゃありません。
改めて淫化の赤玉砂漠でやり合ってみたのですが、その時はお互いに魔毒電池の供給制限時間内ではカタがつかずと言う程度には強いのです。
ですが、今の魔族は労働魔族を提供したり、幹部魔族を淫化の運営に貸し出してくれるなど全面的にこちらに協力してくれております。
そこで、リュネ王城市でも魔族との融和を演出することを心がけるようにしておるのです。
(リュネ体液国民会で王城市に戻った者たちが動いてくれてますしねぇ)
そう、淫化の地でロッテと共に仕事をした連中が、それなりに融和を訴えてくれたのですよ。
で、今回のアトハとリミニの復活についても、魔族の全面協力で成し遂げられたという建前なのです。
そして何より、魔王城でわしが王の証を返却して、改めて聖剣を授け直されておりますことで、言うなれば魔王がリュネ国王夫妻の復活を見届け証明したという演出がなされておるのです。
そして…これはわしから提案したのですが、車中でロッテにリュネ戦士の上下の痴女皇国仕様を着せて、アトハから冷凍剣を授ける儀式を行なっております。
つまり、ロッテはリュネ戦士の位も得ておる体裁にしたのです。
そして、メリエンに占いを立ててもらう予定なのです。
ロッテにリュネ王国の軍師の位を与えるにやぶさかではないという意見をエマネから進言させまして、これを承認するか占おうというわけですね。
ともあれ、ルーン王城市の駅から王城への道のりなのですが。
飛びました。
ええ、落とすなよ、リミニ。
ほんまはロッテか、百歩譲ってエマネにジーナ様を抱えさせた方が確実だったのですが、ここは王妃の仕事やろと無理に振ったのです。
そして、ロッテはフユキを抱えてくれております。
エマネは、田野瀬さんを。
フユキは慣れとるのですが、田野瀬さんの顔がひきつっていたのはここだけの話で。
ふはははははははははははははは。
そしてマリア様と室見様ですが、これは出迎えてくれたマルヴィレとレヴェンネに抱えてもろてます。
そう…リュネ族の催しですから、飛ぶ方が見栄え、ええのですよ。
室見様も顔、ひきつってましたけど。
そして、王城の門前に着地したわしらはマルヴィレとレヴェンネの「開門!」の合図で開かれた門から城内に入り、大広間に案内されます。
で、王と王妃、そして王女であるエマネのために用意された椅子へ着席した3人へ、城代家老とやらに該当する立場のマルヴィレが帰還の祝言口上を述べて、公式に王がリュネ王城へ戻ったことが宣言されるのです。
んで。
司会役のマルヴィレがメリエンを呼び寄せまして、占器を用意させます。
「これよりアトハ王の復位に伴い、早速ではございますがリュネ王国の王政につきまして占術師の託宣に掛けるべき事案をいくつか奏上申し上げたく存じます。王のご異存は」
「苦しうない、聖剣並びに爆炎剣の託宣に計らえ」
で、エマネが爆炎剣、そして続いてわしが聖剣をメリエンに託す流れで占いの支度が整います。
「まずは、聖母教会並びに痴女皇国より寄せられました西方族の戦士・治世者位階設立の一件でございます」
これ、実は西方族のだーくえるふ化のことなんですよ。
とりあえず見た目をわしらの日焼け地黒白髪ばーじょんにするのと、千人卒以上の女官待遇者または聖母教会司祭職以上待遇者について、翼と炎剣を扱えるようにする人体改造の承認ですね。
これは、メリエンの手によってからからくるくると爆炎剣と聖剣が回され、可決の占議が出されました。
「次に、これはえぬびー政府からの進言ご鞭撻によるものですが…ここなルーンの新しき陸はかつてのリュネ領土と西方領土を併せた広さの十倍以上、旧来の我らの統治では到底まかなえるものではありませぬ。しからば、西方を睨む将軍の位を設けて聖剣とリュネ領土の安堵を図る方がよろしいかと助言を賜っております」
「すなわち、それは聖剣を預かる氏族と、剣聖を代々の家系と致すことと同じうすることとなるのか」
「左様でございます、王」
「よかろう。聖剣に諮るが良い」
で、ここでやらせ演出。
聖剣は◯に該当する四角文字の欄で剣先を停めますけど、炎を出すのです。
そして聖剣の物言いとでも言うべき炎の揺らぎを読むかの如く見つめるメリエン。
「王に奏上奉ります。聖剣曰く、剣聖が授かりし痴女皇国の位を知らしめた後、我がリュネの将軍の位を授けるべしと…痴女皇国上皇マリアリーゼ様、我がリュネ剣聖に対して痴女皇国での扱い、いかんとなさいましたか、恐れながら我が王へとお告げを頂きたく存じます」
「承知しました…この件につきましては、NB政府の承認も要する件と思いますので、私の母でもあるNB副首相かつ痴女皇国皇帝室長ジーナ・ワーズワースより皆様にお伝えさせて頂きたく存じます」
と、珍しくも…と言うべきでしょうか。
痴女皇国公式とかいう桃色のどれすを着たマリア様が皆へ申されるのです。
「お前がゆえお前が…こほん、失礼。ええとですな、まず痴女皇国の皇族を監督する立場でも承認させて頂きましたが、リュネ剣聖イリヤ・ヤスニ様を西威大将軍の位に就任させる件につきましては全く異存はございません。そして、痴女皇国女官身分としても高い位にあるイリヤさんをそちらの更なる要職に就ける話に当たりまして、痴女皇国としても然るべき支援をさせて頂く証として、イリヤさんを一千万卒から十億卒の位に昇格させ、聖院金衣継承者の一人として列聖せよという決定が下りました。つまり、イリヤさんは痴女皇国の皇族の一員としてこのルーン大陸に駐在し、リュネ王国の王政を支える任務を授かったことをここに証明させて頂こうと思います。アトハ王、リミニ王妃、よろしいですかな」
「痴女皇国における皇族の扱いとはいかがなるものか」
「我が娘マリアリーゼ、アトハ王のご質問に回答下さい」
(おいおい、おばはんが答えろや…)
「ええと、イリヤさんはヤスニ氏族の出でしたね、王陛下…」
「左様、我が妃リミニの姉に当たる立場である、マリアリーゼ陛下」
「剣聖とはヤスニ氏族から任じられるものですか」
「いや、当代の強力な戦士より、聖剣自らが持ち手を指し示すとされておる次第」
「承知しました。確かに、魔族との戦争の当時は最も優れた戦士が聖剣を継承なさったことと存じます。しかし、もはや魔族とは互いに手を取り合い前に進む仲となり融和も進んでおると伺いましたので、聖剣を将軍の証として現行剣聖に預け、保管してもらうことを提案したという意味合いがあるんですよ、今回の私どもの先祖家族会の決議に伴う金衣位階の授与…そして金衣は元来ならば一子相伝の位ですが、諸事情で現在は私を含めて数名がそちらの王位継承者の血筋と同じで、いざという時に能力者の系譜を絶やさないようにと任じられております。イリヤさんには、他の継承者に何かあれば聖院金衣の系譜を伝える本家の存在にもなってもらう、いわば予備の位を授けたとお考えください」
「確かに、聖剣の力は平和の世にあっては今こうして使うておるように、国事の占器として以外には不要とも思える。そちらの申し出や決定に異存はあらず」
「父様、強力な聖剣の悪用を防ぐ意味でも、イリヤおばさまに預けておくが善かと爆炎剣を預かった身として、わたくしからも提案申し上げます」
「なるほど、エマネの申す通りでもある。イリヤ、占議の後には改めて西威大将軍の位の授与と共に聖剣、そなたに預くるものとする。良いか」
「異存はございません、我が王」
で、この勿体つけまくった言い回しですけどねぇ。
台本を書いた「ほうそうさっか」の立場の方がおられるんですよ。
ええ、雅美さんです。
あれ?痴女島にいたんじゃ?と思われた方に申し上げておきますと、田野瀬さんや室見さん同様、分体がお越しなんですよ、元来は。
ただ、この演出や演技指導のおかげでこの王復の儀式にハクがついとるのは事実でしょう。
んで、次にロッテのリュネ王国軍師の位の授与の件になります。
「アスタロッテ殿には淫化帝国に移住した我がリュネの者の面倒を見て頂くばかりか、魔毒切れのなきよう現地を図って頂いた恩義もあろう。聖剣に諮るがよい」
と、アトハとしてはロッテを軍師として遇することに異存はないよという前置き付きで、占いを立ててもらうわけです。
これも、聖剣がすぱっと⬜︎の位置で止まったことで、聖剣の託宣としても全く異存なし、とメリエンが解説してくれます。
この聖剣の止まり方でも「ほんまは嫌やねんけどしゃあないから承認出しといたるわ」「それええやん」という、聖剣の意志が読めることになっとるんですよ。
いえ、実際にそうなんですけどね。
で。
「では、改めて聖剣を預け直す前に、余からイリヤに下命させて頂こう。イリヤ、今日を限りにそなたは痴女皇国へ向かい、そちらの皇族として列せられるが良い」
えええええ、となる話ですよね、このいきなりのアトハの発言。
「父様、それはいきなりすぎでは…」
と、ちょっと待てと異議を入れるエマネですけどね。
「まぁ待てエマネ。であるが、痴女皇国としてはルーン大陸の守護職として適任者を派遣頂く話でございましたな、聖母様、そしてマリアリーゼ陛下」
「ですよ。で、私から聖院金衣系譜者の証である白金衣…金衣専用制服をイリヤさんにはお渡しさせて頂こうかと存じます」
うわ…これですよこれ。
わしが正直嫌やなーと思ってたん、これなんですよ。
で、わしの着ておったリュネ剣聖戦士服が雲散霧消して、ですね。
金色の縁取りの白い上着になったんですよ。
ただ、この上着。
下乳丸見えです。
つまり、ちちのところに半円状の穴が空いてまして、そこからちちの下半分が見えとるんです。
ただ、救いはその半円状の穴をちょうど半分に区切るかのような帯が上下に渡されてまして、これでちちをかろうじて支える構造になっとるんですよ。
そして、この上着はちちの下で胴回りを締め付ける帯状の構造になっておりまして、開襟なのです。
それと、襟周りが帯になっており、背中側は首と胸下の帯だけの丸空き状態。
これはまぁ、翼を出すためですから仕方ないでしょう。
しかしですね。
白と金色の編み上げ長靴10せんち・はいひーるはまだしも。
わしのおぱんつ。
紐です、ひも。
前側は金色の紐2本が、上着の左右から伸ばされてまして、股間で合流しております。
そして合流直前で、横紐によって左右の斜めになった縦紐が繋がっておるとお考えください。
そして尻側は尻側で、その合流した紐が前と同様に尻の上側くらいで僅かな横紐によってまとめられた後で、再び左右に別れて上着の下側で固定されるのです。
もっと申し上げますと、上着の下から∀とかいう文字が、わしの体の前後に張り付いたかのごとく。
そしてですねぇ。
聖剣はその長靴の上のあたりの帯状装具に装着して携帯するようになっとるんはまだいいとしましょうよ。
なんで警務騎士の帽子、それも金色なんですか。
それと股間の三角形のとこ。
僅かでもええんで、布地、追加できまへんかね。
(冬樹くんの期待に応えたんだよ…修正に時間がかかるからさ、ちょっとだけ我慢してよ…この式典が終わったら剣聖服に戻っていいから!)
(嘘つけマリ公。雅美さんにデザイン案とかスケッチとか完成稿とか見せてもろたけどな。お前、スリングショット風味の下着部分のクロッチ部、布あるはずやろが原型は!オープンクロッチどころか紐だけやないけ!丸見え同然やろあれ!)
ええそうです。
この瞬間に、赤薔薇騎士団の制服すら露出度のエグさでは凌駕したと後に女官から言われることになる、金衣用警務騎士服が誕生したのです…。
そして、ジーナ様の話でお分かりでしょう。
わしの股ぐらを隠すものはありません。
ちちですら、その縦の支え帯がなくなる仕様らしいのです、アレの時。
つまりは、上下一枚のれおたーど扱いなのですが、実際にはこの服、隠すべきところを完璧に隠しておりません。
ええ、わしは自分の股間を観察する気もありませんけど、完全に丸見えだろうことは確実なのです。
そして、皆様に私の頭痛の原因をお教えしましょう。
この制服、アルトさんの白金衣と同じで、白金衣としての能力を出す時にはですね。
紐だけになるらしいんですよ。
それと、お分かりでしょう。
普段の執務の際から、これ着ろってこってすよ。
(イリヤさん。拒否権は与える。うちの権限において与えるから…とりあえず、今日は我慢して…)
ええ、フユキが喜んでなかったら、わしは即座に元の剣聖びきにあーまーに戻りたいのです。
(あれも大概なんですけど、これと比べたらあっちは普通の装束ですよ…)
で、わしは目に涙を浮かべながら、アトハの前に進み出て聖剣を再度受け取るハメになるのです。
その時に一礼するんですけどね、その後ろからの格好をアトハが見たがってたのは読心でわかりましたよ。
お前、淋の森でエロス文教局長に矢、射ち込まれてたやろが。
そしてリミニはリミニで、絶対にまりあんろーずの過激衣装を取り寄せるとか決意したようですけどね。
あと、エマネとロッテとメリエンとマルヴィレ。
お前ら許さんからな。
この席が公式の式典やなかったら、お前ら爆笑しとったやろ。
それとジーナ様。
こんな狂った衣装、お持ちなんですか。
(女王様衣装の中にあったと思うねん…)
あの、連邦世界の縫い師って、こんなんばっか作ってるんですかね。
とりあえず迎え入れる際にはちょっとその辺、聞いておいてくださいね。
「で、ではイリヤ…そなたは改めて痴女皇国から派遣された女官として将軍位へ任じることが望ましき進言も頂いておる。そして西方の学び舎にあっては兵子学校も併設されておると聞くゆえ、ドミネラを伴い西方への赴任を頼みたい。良きか…」
ええ、かろうじて、何とかセリフを言おうとするアトハですが、おのれまでわしの格好に何かを言いたいんか。
(お姉様。アトハはお姉様があまりにもエロフなので爆笑寸前なのです。無論、私は嫉妬光線全力照射中ですが)
どこでそんな聖院第二公用語を覚えたのかという疑問はありますが、とりあえずリミニ、お前はわしに嫉妬の目を向ける前に体、鍛えような。
でないとドミネラに預けて戦士訓練やり直しさすぞ、ええなっ。
ただ、ですねぇ…この催しと制服、あまりわしとしては強くも言えない一面があるんですよねぇ…。
つまり、わしの身分、たった今から…厳密に言えば二代目様から金衣能力を授かった時点で、本宮所属の皇族扱いなんですわ。
そして、別命あるまではルーン大陸に起居する立場となります。
そして指揮命令系統の上に来るのはアトハじゃなくてジーナ様か雅美さんかマリア様になるんですよね、今だと。
(ええとな、皇族になってもうたらマリ公か…今寝てるけどベラ子の直轄になる。そして他の金衣見てたらわかると思うけど、自分の意志である程度は動きはるし、逆に皆の承認を取り付ける稟議も出しやすくなるからな…)
お分かりでしょうか。
わし、今の立場だとアトハの許可なしには色々できない立場から脱却しただけではなくて、ルーン大陸の西側の西方居留地の女王様に任じられたも同然なんですよね…。
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えまね「父様は分かってないと思いますよ、リミニ義母様も」
ろって「それどころか、南米行政局の上に来るんだよな…」
いりや「直接あんたらに指示したり指揮する立場とはちゃうで」
えまね「もういっこ、父様や母様が気付いてないことがあるじゃないんでしょうか」
いりや「ルーン大陸支部長やろ…ただ、これは現状やとNB行政局の下になるからジーナ様がわしの上に来るねや」
マリア「もう一つ、でかい権限があるよ」
いりや「何でしょうか…(不安な目で)」
じーな「うちに一言断りを入れてもらうだけでええんやけどな、西方族の政治体制を決める責任は着いて回るけど、イリヤさんが好きに決めてええねん…西方の皆様の統治形態とか、魔族の方々の関与の度合いとか必要な幹部魔族の召喚や処遇…」
ろって「その辺で、西方族のだーくえるふ化が効いてくるらしいんだが…具体的には西方族の統治管内の聖母教会の苗床や労働魔族の制御だな」
いりや「とりあえず、このどすけべ制服だけは何とか、何とかしてください!(泣)」




