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こんにちわ、マリア Je vous salue, Marie  作者: すずめのおやど


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王の帰還 -Reditus Regis-・10.11

つやつやと輝く、赤茶色の外壁であること以外、痴女宮とは寸分違わぬように見える聖院本宮。


いえ…聖院学院の前の方には穴が開いておりまして、そこから聖院埠頭や海の方に向かって、道が伸びております。


で、その道には連節()()とか申す、2つの箱が連なったくるまが時折走り、穴に出入りしておるのです。


そして、痴女宮との一番の違いのように思えるのは、その海の方に向かった東側の工房の建物の数や規模。


痴女宮の前の工場街とかいう街並みよりは、かなり少ないのです。


それと、淋の森はこの聖院にも存在しますが、クラブジュネスは森の入り口にはない等々、細かな違いがあるのです。


そう…私どもは、聖院本宮での研修にやって参りました。


と言っても、痴女宮同様にアレの実務はせんでええ、とも。


そして聖院側のアルトさんに連れられて、入り口となる正門前に参りました我々。


「アトハ王、リミニ王妃…聖院へようこそ」


ええ、引き連れておいでの数名の女官同様…白を基調とした聖院上級女官制服をお召しになられて私どもを出迎えにわざわざお越しになっておられたのは、聖院の方のマリアリーゼ陛下です。


で、早速にもと案内されるのですが。


(イリヤさんロッテさんエマネさんはこっち来たことが何度もあるからね…)


つまり、公式的にはアトハとリミニをリュネ王族として訪問を受けた形にするのだそうです。


「でないと、聖院の掟だと本当に研修を受けさせることになるから…」


で、この聖院本宮も、男たちの出入りが多いのです。


それも、結構。


もしかすると痴女宮よりも多いのではないでしょうか。


「理由。聖院世界では、痴女皇国ほどあっちこっちに手を伸ばしてません。けれども、助けてくれと言われたら助けているからですよ…あ、こちらのマイレーネさんはモントルーの聖院欧州支部に行かれました。そしてアレーゼおばさまは比丘尼国へ派遣となってますからね」


それと、ここでも聖院と痴女宮の違いが。


女官管理室が本宮の一階にあって、そこの前の扉を通って本宮に登院する流れなのは教わっておりましたが、その管理室におられるのがオリューレさんなのです。


(ああ、痴女宮の私と違って、私はここですよ…で、女官長が、その)


「はいはい、マリア様とお客人方のお越しですわねっ」


ええ、その業務用とかいう扉を開けて下さったのは、痴女皇国ではストラスブール駐在のはずのマリアンヌ・ド・ロレーヌ様…マリーセンセイです。


そればかりか、そのマリーさんや聖院の方のダリアさん、更にはオリューレさんまでもが私たちの列の前や後ろに隊列を組んで進まれるのです。


で。


案内されたえれべーたーに載せられて上がる先ですが。


聖院側の大会議室ですね、行き先。


で、えれべーたーがその階に着きますと、金髪白肌のお方やどことなくアルトさんによく似た方ですとか、ニホンジンにしか見えないような方がお出迎えになっておられます。


で、私はその方々が吉村アンジェリーナさんや高木サリーさんに菅野しほ子さんといった方々だというのを存じておりますが、アトハやリミニにメリエンはもちろん、秘書娘や息子にも「色々な人種がいる」と物珍しいようです。


っていうか、痴女宮にも結構色々いてはったやろが…。


「かーさん、父さん…お連れしたわよ…紹介しましょう。聖院の方の高木ジーナと、クリス・ワーズワースです」


「ようこそ聖院へ…こっちのうちは聖院詰めでな…」


「初めまして…聖院世界の僕も、聖院本宮住まいなのですよ」


と、立ち上がってアトハとリミニと握手を交わすのは他でもない、ジーナ様と聖父様…いえ、クリス様です。


そしてアトハとリミニ以外は、マリア様が自らここへと席に案内した後、司会役らしいお方に合図なさいます。


「エマちゃん、通常研修じゃなくてちょっと幹部会議に近い形で独自に進めるから、全員着席後にあの資料をお願い」


「了解ですよ」


で、わしは心話で(聖院のエマ子部長は生まれた経緯が痴女宮のエマ子部長と違うから見た目も違うけど、中身は同じやそうや…ジーナ様やマリア様もそうやけど、わしらの事は伝わっとるからな…)と入れ知恵をしておくのです。


「まず、聖院に初めてお越しの方々に申しておきますが、本当であれば、聖院にお越しの痴女皇国女官は聖院女官としての訓練も受けて頂くのが決まりです。これは、聖院と痴女宮双方で相互に人の応援を行う場合に遅滞なくお務めを頂くための定めとお考えください…ですが、今回お越しのアトハ王・リミニ王妃・メリエン占術長、それからイリヤさんの秘書の方については後回しにさせて頂きます。まずは、父母よりその理由をば」


ええと、この方がマリア様と同じには思えないというのが初めてお会いした時の感想です。


まず、聖院のマリア様も擬態とかいうお姿なんだそうですけど、金髪です。


そして、痴女宮のマリア様はお母様と顔立ちこそ似ておるものの、ニホンジンのようなお顔と見た目ですが、こちらのマリア様は金髪で肌の色もより白いのです。


目も青いですし。


そして、口調や反応が全く違うのです。


(そうでもないとは思うんだけどねぇ…まぁ、黒マリの事はほっといて、こっちの研修を進めましょう)


(へへぇっ)


「ええとですな、痴女皇国の私とは違って聖院に派遣されておる連邦宙兵隊将官待遇者というのが、この私の立場ですねんけど、それは夫も同じで聖院本宮に付随するファインテックの聖院研究室長というのが旦那の待遇ですわ」


と、まずは聖院世界のクリス様を紹介なさるジーナ様です。


「で、何よりこっちだとマリアの祖父に当たる人物が健在でしてな…ヘンリー・ワーズワース卿とアグネス夫人を紹介させて頂きましょか。お義父さん、アグネスさん」


え。


すっ、とその場に現れた人物。


身長は高く、恰幅の良い初老…というべきなのでしょうか。早死に傾向のあるリュネではなかなかに見ない年かさの、髪の毛は多いのですがヒゲは生やしておられぬ男性と、そしてまんざら見知らぬ訳でもない女性がワフクとかいう姿でこの場に現れたのです。


ですが、次の瞬間。


お二方ともぱっ、と顔が若返ると、成人状態のアトハやリミニくらいの歳の…そうですね、痴女皇国世界では中年の入り口くらいの引き締まった体にお変わりになられるのです。


で、立ち上がったアトハやリミニの元へ近づくと、ようこそと言った態度で握手を交わし、マリア様やジーナ様のお座りになっている正面の大きな画面がある方の机の、一番上座と思われる空席に腰を下ろされるのです。


つまり、この場ではこのヘンリー・ワーズワースというお方が一番にお偉い状態である。


暗黙のうちに、その地位関係が示されたも同然。


しかし…この方とは実のところ、わしやエマネやロッテ、痴女皇国とリュネ世界が接触した後の聖院側の幹部会議に呼ばれた際に画面越しですけど挨拶以上の会話を交わさせて頂いた立場なのですよ。


ですが、直接に…それも、百光年とかいう途方もない距離だけではなく、全く別の世界であるはずの聖院側のエヌビーの星からマリア様かエマ子さんがお呼びになったのは間違いないと思うのですが、一体なぜにそのワーズワースという大貴族のお方がお越しなのか。


(アトハ…ほんまはこっちの…痴女皇国とつながっとる方のエヌビーでもこの方が一番えらいらしいんや…それに態度とかでわかるやろ…粗相のないようにな…)


と、アトハと、そしてリミニとメリエンには釘を刺してはおきます。


おきますが、この方は本当にただの人なのか。


こうして笑顔を称えて悠然と座っておられるだけでも、何かしら底知れない威圧感めいたものを感じるのです。


(イリヤさん…これ、このジジイのいつもやから…傲慢に振る舞ってへんけど、生まれついた時からこういう風に尊大に見えるように訓練されて育っとるからこう見えるだけやねん…)


(かーさんの言ってる通りよ…リュネの方々でうちの祖父を知らない人もさ、痴女皇国の黒マリがボロッカスにお祖父様を言ってたことを聞いたかも知れないけど、下手をすると英国本国の王様や女王様以上の難物だからね…とにかく政治力ってのを人の形にしたらこうもなるよねって見本だからね…)


ええ。


確かに、表向きはにこやかなれど、聖院ジーナ様や白いマリア様がこっそりと心話で注意を入れるほどに、謀略や策謀と言った言葉で言い表すようなことを表情に出さずにやってのけそうな御仁だというのは理解できました。


政治家とやらは、こういうものなのか、とも。


で、アトハやリミニが不思議に思ったのでしょうか。


若返りの件から、まずは繰り出される説明を拝聴します。


「ああ、この身体だが、ジーナ君やクリスと同じでこちらのマリアに都合してもらってね。NB本星(あちら)だと私は歳を重ねているように見せているのさ。さて、リュネ世界という宇宙人工島の資料についてはかねてから痴女皇国のマリアやジーナ君から届けてもらっていたから、概要は私も妻も頭に入っている。改めて自己紹介をさせて頂くと、私が聖院世界と連動している連邦宇宙のNB首相を務めているヘンリー・ワーズワースだ。そしてここにいるクリスの父親であり、聖院の方のマリアは孫となる立場だ…」


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いりや「何なんですかいきなり」


白マリ「いえ、エルフに直接会いたいってわがまま言い出したのよ(そういうことにして)」


ろって「確かになぁ…痴女皇国の方のマリアリーゼ陛下が言われていたが、英国人の支配階級というのはこのヘンリー氏のような人物が揃っているのもわかる気がする」


えまね「マリア様がうちの本国はめんどいからって、痴女皇国世界でもある意味では隔離してんですよね…エゲレスとやら」


白マリ「あたしでもお祖父様は難物だって思う時があるのよねぇ」


アルト「聖院のほうのアルトリーゼでございますが、ほんまにこうしてときどきおこしなのですけど、ふいうちはやめてほしいのです…」


ダリア「同じく。警備の手配も大変なんすから」


マリー「ちなみにこっちのダリアはあたくしとくっついてるのはガイシュツですわねっ」


アグネス「まぁ、皆さんにあまり困った話をしてくれるなというのはマリアちゃんからも聞いてますから、ヘンリーには釘を刺してます…」


いりや「で、わしらは何を聞くのか。待て次回」


白マリ「脱線しての研修編は一応、次で終わりみたいね…」

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