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生者と死者の掛け持ち剣聖  作者: ☥周幸来
第ニ章 覚醒編
36/64

第三十五話 模擬戦:アレスVSメルス【三】

第三十五話になります。

序章のところからココまで読みにくいところがあったと思います。

駄目出しでも勿論構いませんので、感想を頂けたら幸いです。

「なっ!?」


「おい、噓だろ!?」


「め、メルスが……」


 本来私語厳禁である模擬戦中であるが、当人たちも目の前で起こった予想外の出来事に、無意識に声に発してしまっているのである。

 センナ、ミキ、ブラド、ルドウは観客席には上がらず、修練場の端の方で事の行く末を見ていた。アレスとメルスの両方の実力を知る彼らであっても……いや、そんな彼らだからこそ驚きを隠せないのかもしれない。センナとミキは口を開けるも言葉が出ず、ブラドとルドウはアレスの動きに対して心嬉しそうに口元を上げている。


 先ほどまでは確実にメルスが優勢だった。紛れもなく彼が勝つことは、修練場の誰もが予想していた。


 たった一人を除いて…………。


「くっ!」


 思わぬ事態によって飛ばされた自分の体を、メルスは空中で立て直し地面に着地する。

 アレスの時に比べれば、どうという事はない出来事だっただろう。

 しかしその数秒は、見ている人間、更にはメルス本人を大きく動揺させる程の衝撃的な数秒だった。


「キサマッ!」


 メルスの体には一切のダメージはない。しかしメルスの綺麗に整えられた美しい顔は、自身の中で高ぶる『怒りの感情』によって激しく歪みきっていた。



―――いったい何が起こったのか、事柄は僅か数秒前に遡る―――

 メルスが突き技を放とうとした瞬間!


(その状態で2度目は耐えられん。終わりだ!)


ドンッ!


 木刀は一切勢いを落とさず、そのままアレスの胸部に命中した。

 メルスはこの時、自分の勝利を確信していた。


(終わったな)


 しかし、メルスの強力な一撃を食らっても、アレスの体は未だ吹き飛ぶことはなかった。

 数センチ後ろへは下がったが、(アレス)の足はしっかりと地に着いている。

 メルスはこの異変に底知れない(いぶか)しさを感じ取り、アレスの体を凝視する。


「なっ!」


 アレスの両手で握られていた筈の木刀が、今は右腕一本で持たれている。ならば左腕はどうしたのか、メルスはその答えを直ぐに知ることになる。


 アレスの左腕は、自分の胸を貫かんばかりに突いてきたメルスの木刀を力強く掴んでいた。突き技を食らって尚アレスが吹っ飛ばなかったのは、メルスの木刀を掴み、全体重を前へ掛けていたからだった。それでも己の体を10メートルまで飛ばしてしまう一撃を(もろ)に食らった衝撃を力だけで持ちこたえるには体に相当の負担がかかる。

 アレスはこの時苦しさに呼吸を()()()()()()()()()。彼の眼にはただただ眼前のメルスのみが映されている。


 アレスは後ろに移動したことにより、自分の胸部から少しだけ距離の空いたメルスの木刀を一気に引き寄せ、自身は大きく一歩を踏み出す。

 必然的にメルスの体は引っ張られ、瞬く間にアレスは(メルス)の懐に入った。

 アレスは自分の木刀を自分の左腰ギリギリまでスライドさせる。まるで居合切りのような構えだ。(アレス)は自身に残るすべての力を振り絞り左へ打ち振るった。


「くらえぇぇぇぇぇぇっ!」


 木刀はアレスの腕力と踏み込みによって勢いを付けながらメルスの腹部に激突した。


ドンッ!


「ぐはぁぁぁっ!」



―――この時、メルスの足は地から離れた―――


 メルスは前方へ引っ張られた状態から突然後方へと吹っ飛ばされる。腹部を叩かれた強い衝撃がメルスを襲う。しかしすぐに冷静を取り戻したメルスは、腰に力を入れることで重心を下へずらす。宙に浮かんだ体は重りを付けたかのように高度を落とし、地に足が着いた。今度は両足に力を入れることで勢いを殺しメルスの体は停止した。


 メルスが()()()()()()():約5メートル


 アレスが飛ばされた距離と比べても半分しかない。だが、メルスが吹っ飛ばされたという事実が、見ている者達に、なによりメルス本人に大きな衝撃を与えた。



―――現在に至る―――


「キサマッ!」


 メルスは憤怒(ふんぬ)の感情を(まなこ)に浮かばせながらアレスを睨みつける。

 そして視線の先にあるアレスの達成感に満ち満ちた明るい表情が、更にメルスの心を掻き立てた。


「なにを……なにをワラッテイルゥゥゥゥゥッ!」


 メルスが怒りに任せ地を蹴り、アレスに飛び掛かろうとした瞬間!


「待て、メルス」


「っ!」


 アレスとメルスの間に審判(ビエラ)が割って入る。メルスは慌てることもなく、冷静にスピードを落としビエラの前に停止した。


「なぜです総隊長!? 勝負はまだ」


「いや、()()()()()()


「?」


 メルスはビエラの言葉の意味が分からなかった。しかしビエラは詳しく話そうとはせず、代わりに振り返りながらアレスを見つめた。(メルス)も釣られる様にアレスを見る。すると……。


「っ!?」


「そういうことだメルス」


「ふむ、完全に気を失っておるな」


 ブラドにもたれ掛かる様に、アレスは全身の力が抜けていた。メルスに笑みを浮かべた後、力尽きて意識が途切れてしまったのだ。ブラドが(アレス)を肩に担ぎ上げる。


「アレスの気絶を確認。勝負あり! 勝者メルス」


 審判が声高らかに勝敗を宣言する。しかしいったい、この場の何人が彼女の言葉を聞き取ることが出来たであろうか。修練場は冷たい静寂に包まれる。しかしそんな中アレスを抱えたブラド、その横に立つルドウ、遅れて駆けつけてきたセンナとミキが連れ立って部屋を退室していく。

 多くの人間が、その様子をただ視線で追いかけることしか出来なかった。


「ほら! なにしている? 模擬戦は終わった。修練場は解放だ。そうして暇を持て余すくらいなら少しでも己を鍛えんか!」


ヒュッビシッ!


「「「ひぃっ!」」」


 ビエラが持ち前の鞭を取り出し、床に向かって鞭を振るった。(みな)彼女(ビエラ)の鞭の恐さを理解しているようで、怯えたような声が観客席の至る所から聞こえてきた。

 それから観戦者たちは自分の気持ちを未だ整理できていないためか、ゆっくりとした足取りで移動し始めた。


「アレが、天牙に選ばれた戦士ね……」


「なかなか面白そうな方じゃないですか」


「えぇぇぇ!? 私全然たいした事ないとおもうけどぉぉぉ」


 観客席の隅の方で、怪しく話す4()()の人影があった。


()()()は終わった。私たちも引き上げるぞ」


「「ハイ、(かしら)!」」


「その呼び方は止めてくれ」


―――その声に従うように、4人の影は一瞬で姿を消した―――

読んで頂きありがとうございました。

新人作なので、「明らかに書き方おかしいだろ」

と思われる所もあると思います。

感想を見られるのが嫌でしたら、TwitterのDMでも

募集していますので、遠慮なくお申し出下さい。


模擬戦だけで三話も費やしてしまいすみませんでした!

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