第三十六話 戦いの後の小休止
第三十六話になります。
序章のところからココまで読みにくいところがあったと思います。
駄目出しでも勿論構いませんので、感想を頂けたら幸いです。
PM5:30
「う、うぅ……」
アレスは重い瞼をゆっくりと上げて目を覚ました。辺りを見渡すと全く知らない部屋だった。
しかし彼は今自分の目から得られる少ない情報から、ここがどこだかおおよその検討がついていた。
自身が寝かされているベッドを囲むように敷いていあるカーテン。このカーテンが用意されている部屋など、アレスが知る限り一か所しかなかった。
「あら、ようやくお目覚め?」
カーテンの向こう側から、女性の声が聞こえてきた。それから程なく、カーテンが開かれ向こう側から明るい栗色の瞳と長い髪の毛をみつあみに束ね肩に乗せている美しい女性が出てきた。
白衣を着ているところを見るとおそらく……。
「医者……ですか?」
「えぇそうよ。私は【神帝教会第三部隊】隊長『ソレイユ』よ。よろしくね♡」
「は、はい……」
(この人……スゲェ色っぽい)
センナとはまた違ったおっとりとした大人の女性らしい色気を持ったソレイユの魅力的な雰囲気にアレスは自分でも気づかず、しどろもどろのような反応をしてしまった。
「まぁ医者って言っても、現世で言うところの精神科医なんだけどね」
「精神科医?」
「もう知っているでしょ? 死者の体は魂だから肉体と違って治療はいらない。でも感情がある以上精神バランスを保つために精神科医療だけは必要なのよ」
「あぁ、なるほど」
精神バランスが崩れない限り死者が壊れることはない。首だけになっても冷静を保っていれば自然回復していくのだ。だが、魂とは感情の塊、精神的な疲れや過度なストレスによってパニックに陥りやすい可能性は幾度となく変わってしまう。
死者たちがいつも平常心を保っていられるように、メンタルケアをする要員として精神科医だけは重宝されているのだ。
「センナさんから聞いたわ。貴方が天牙に選ばれたって」
「ちょっ!?」
ソレイユはゆっくりとした動作でベッドの空いたスペースに腰かける。
右手をアレスの左頬に添えて顔を近づけてくる。
まるで男を誘うような視線に、アレスはなんとか飲まれないようにと目を逸らすが、その顔は十分に熟されたトマトのように真っ赤だ。
この状況を打破できないかと興奮した頭で必死に考える。
(なに!? なんなのこの人……ヤバイ、めっちゃ甘くて良い匂いするし)
(なんじゃ、小僧は匂いフェチか?)
「ふぇ!?」
「あら、いらしてたんですか。皆さん」
「皆さん!?」
ソレイユが落ち着いた動作でアレスから離れ後ろへ振り返る。一方アレスは先ほどの興奮に加え、思いもよらぬ事態に半狂乱のような慌てようでソレイユの後ろのほうを見る。
そこには面白いものを見たと言わんばかりにニンマリと笑みを浮かべているルドウ、ブラド。まるで汚物を見るように白く冷たい目をしているミキとビエラ。苦笑いの究極体のように酷く顔を歪めた笑みをしているセンナ、更に後ろの方では、アレスを見ないようにしているのか背中を向けているメルスの姿まであった。
さっきの心の声は間違いなくルドウのデュナミスだ。さらにここにいる全員の反応を見る限り……。
「ち、ちがう! ちがうんだ! 俺がやったんじゃくて」
「ナッハッハッハー! 大胆だなぁアレスゥ! お前センナにも色目使わないから『あっち方面』なのかと思ったぞぉ?」
「それもちがぁぁう!」
「こぉら、病室では静かにね♡」
ソレイユがおっとりとした表情で優しく頭を撫でながら注意してくる。
まだまだ言いたいことが飽き足らないアレスが、彼女の一言で大人しくなってしまう。
ミキとビエラが彼の変わりようを目の当たりにして、さも呆れたと言うようにため息を吐きながら呟いた。
「完全に飼い犬ね」
「ふむ。あの程度で従うとは、躾け甲斐がない」
(誰が飼い犬だ! ていうか今躾けって言わなかった!?)
ソレイユの手前、また騒ぐという失態は犯さなかったがアレスは心の中までは黙ることは出来なかった。尤も、ブラドには丸聞こえだったのだが。
「そ、そんなことよりもねアレス。私たちは貴方に聞きたいことがあるの」
このままの状況では埒が明かないと思い、無理にでも話を逸らそうとセンナが引きつった笑みのまま本題に入った。
「聞きたいこと?」
「ええ、貴方がメルスの二度目の攻撃を受けた後、貴方は力技で反撃した。私たちはあの戦いを見て、貴方にあの戦いにおいて、何か成し遂げようとしていたのではないかと推論を立てたの」
「うん……」
「本当なら、一度目の攻撃で気絶していてもおかしくなかった。でも貴方は立ち上がり、二度目の攻撃を受けてもすぐには倒れなった。とても強い思いが貴方の意識を繋ぎ止めていたとしか思えないの」
「…………」
「教えてくれないかな? 何が貴方をあれ程までに突き動かしたのか」
「……メルス、こっちに来てくれないか?」
「なに?」
センナの質問に答えるよりも先に、アレスはメルスに話しかける。センナは彼がメルスに話しかけるとは思っていなかったため、きょとんとした表情でアレスを見つる。
アレスは真剣な表情でメルスを見つめながら淡々と話していく。
「センナの質問には答えるよ。でもそれよりも先にどうしても確認したいことがあるんだ」
「……なんだ?」
アレスと会話するのも嫌なのか、不機嫌な態度なのは変わりなかったがアレスの言葉に気になるのか彼の寝ているベッドに歩み寄ってきた。
「俺の攻撃、俺が哀れだと思って同情のつもりで受けたんじゃないんだよな?」
「なんだとっ!?」
アレスの言葉に神経を逆なでされたメルスは、一気に彼のもとに距離を詰め、胸倉をつかむ。
「め、メルス!」
センナが割って入ろうとするが、アレスが視線で『いらない』と伝える。センナは直感的にアレスの意思を理解して後ろへ下がるが、その表情はとても心配そうだった。
「お前が怒るのは無理もない。でも『試合を見ていた奴等』はむしろお前が手加減してワザと受けたんじゃないかって思っているんじゃないか?」
「っ!」
「センナ達から聞いた。お前は剣聖の可能性を最も秘めた最有力候補者だって。そんなスゲェ奴が素人の俺の攻撃を受けたのは、きっと加減したからだって思う方が自然なんじゃないか?」
「…………」
((((((たしかに……))))))
メルスは返す言葉が無くなり押し黙ってしまう。アレスの言葉は一理あるものに他ならなかった。メルス以外の誰もが、アレスの意見に頷く。
「だから直接お前から聞きたい。あれはワザとだったのか?」
胸倉をつかまれた状態のアレスがメルスに詰め寄る。彼の視線はどこまでも真っ直ぐにメルスは何も言い返せなくなってしまった。
胸倉を掴んでいた手を放し、ゆっくりと視線を逸らしながら短く呟く。
「ワザと……ではない」
「…………」
「アレス?」
メルスの話を聞いた後、俯いてしまい何も言わなくなったアレスにセンナ心配そうにに話しかける。
すると……。
「イヨッシャァァァァァ!」
「「っ!」」
アレスは顔を上げるとともに子供の様に明るい笑顔で己の喜びを全身を使って表している。
いきなりの変わりようにこの場にいる全員がきょとんとしてしまう。
しかし、そんなことは一切気にしていないかのようにアレスは何度もガッツポーズをきめて喜びを噛みしめている。
―――いったい何がアレスを喜ばせているのか、次回明らかに―――
読んで頂きありがとうございました。
新人作なので、「明らかに書き方おかしいだろ」
と思われる所もあると思います。
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連日更新はやっぱりキツイ……。




