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本当の君を好きになる  作者: 瑠音
第6章『卒業式』
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最終話 ありがとう






 やり残したことがあるかどうかと言われれば……あるのかもしれない。

 でも具体的に何かと問われれば、答えるのは難しい。



「……俺はさ、やり残したことだらけだと思う」



「……へ?」



 直登なら、やり残したことなんて無いって、はっきり答えるものだと思っていた。

 私が呆気にとられているまま、彼は話を続ける。



「素の自分を出して学校生活を送れば良かったなとか、勉強ばかりにとらわれずに、もっと遊んでおけば良かったなぁとか、自分がやりたいと思ったことを、もっとやっておけば良かったなぁとか」



 すると、彼は私の方を向く。その真剣な眼差しにドキッとする。



「もっと可鈴と思い出作りたかったなぁ……とか?」



「……直登」



 握られている手に、力が入るのが分かった。真っ直ぐに見つめられ、彼の瞳に吸い込まれそうになる。




「花火大会の時にも話したけど、時と場合によって使い分けてたからさ……可鈴に呆れられてるんじゃないかって不安だったよ。もし、普段からこのスタイルなら、あんなにキャーキャー騒がれなかったかもしれないし、もっとゆったりとした毎日を過ごしてさ……可鈴とたくさん思い出が作れたんじゃないか?って思うんだよな」



「……うーん、そんなこと無いと思うよ?」



「え?」



「確かに、王子モードの直登は女子からキャーキャー騒がれるような存在だったとは思うよ?でもさ、今の直登だってすごく魅力的だよ。素直じゃないけど、相手のことをきちんと考えてるところとか、不器用な優しさとか……挙げ始めたらきりがないけど、今の直登だって、普通に皆からモテてたと思うよ」



「そっ……そんなことっ」



「てか、そんな事気にしなくて良いんだよ!私は十分思い出作れたと思ってるし、これからまだまだ楽しいこといっぱい待ち受けてるんだから!」



 私の言葉に、直登は目をそらし、下を向いてしまった。そんな彼の左手を私は両手で優しく握った。








「直登は直登だよ。……私は、そんなところも含めて本当の直登のことを……本当の君を好きになったんだから」








 私のその言葉に、直登は顔をあげる。ニコッと微笑みかけると、腕を引かれギュッと抱き締められた。





「……可鈴っ……。俺もお前の事……好きだ」



「……知ってるよ」



「絶対に幸せにするっ……!!」



「……もう十分幸せだよ。……直登、これからもよろしくね」



 すると、彼は優しく唇を重ねてきた。角度を変えて、何度も何度も繰り返す。


 目を開けると、彼の優しい顔。ああ……幸せだ。

 こんなにも幸せな事が他にあるだろうか。


 結局、あなたが隣にいてくれることが一番の幸せなんだよ。だから、これからも……






「──直登、私のこと離さないでね」






 教室の外から、凪沙、湊くん、樋野くんの話し声が聞こえてくる。きっと、もうすぐこの空き教室に入ってくるのだろう。



 その時に、私のメッセージも見てもらおう。

 黒板に記した、正直で一番伝えたい思い。



 言葉で言うのは照れ臭いけど、ずっと変わらない思い。

























『みんな大好きだよ!! 瀬戸可鈴』











ここまで読んでくださった皆様、本当にありがとうございます。無事に完結させることができました(^-^)


たくさんのブックマーク、評価、感想、本当にありがとうございました。とても励みになりましたし、温かい気持ちにもなりました。


『本当の君を好きになる』いかがでしたでしょうか?


皆様の心の中に少しでも残ってくれると嬉しいです(*^^*)


本当にありがとうございました。


瑠音



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