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本当の君を好きになる  作者: 瑠音
第3章『冬の私たち』
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第19話 冬休み


「──はーい、それでは皆さんよいお年をー」


 担任の挨拶が、二学期終了の合図。私は、うーんと伸びをすると、ニッコリ微笑む。

 よし!!待ちに待った冬休みだ!!満喫するぞー!!


「じゃあ、可鈴。また連絡するね!」


「凪沙!うん!私も連絡するー!」


「じゃあ、クリスマス……しっかり幸坂くんと楽しんできてね♪」


「……へ!?」


「じゃあねー!!」


 何食わぬ顔で爆弾を落として帰って行った凪沙。

 私は、ポカンとしたまま固まっていた。

 そうか……。クリスマスといえば、カップルのイベント。私と直登も恋人同士になったんだから……。



「──瀬戸さーん」



 名前を呼ばれてハッとする。振り返れば、いつものように直登が荷物を持って立っていた。

 クリスマス……直登と一緒に……。



「──何、変な顔してんだよ」



 直登がみんなに聞こえないようにボソッと呟く。私は、バッと顔を隠して、平常心に戻る。



「さあ、帰ろうか!」


 爽やかにそう言う直登。二人揃って教室を出たところで、湊くんとバッタリ出会ってしまった。

 あ、この二人……犬猿の仲なのに……!!



「何かお久しぶりだね。二人とも」


「そ、そうだね!!テストとかで忙しかったもんね!!」


「まあ、それもあるけどねー」


「じゃ、じゃあ湊くん、またね!!」


「……ふーん、そういうこと」


 湊くんは、何かを感じ取ったようで、そう呟いた。

 その場をすぐに立ち去ろうとした私は、湊くんからの冷たい空気を感じ取り、立ち止まる。

 直登と湊くんは、睨み合いになっている。

 すると、湊くんが先に声を発する。



「……泣かせたらただじゃおかないから」



「もう泣かせねぇよ」



 二人はそれだけ言うと、ニッと笑う。

 あれ……?何か前みたいなとげとげしさが無い……?

 湊くんが手を振るので、私たちは手を振ってその場を立ち去った。

 直登の表情も、心なしか穏やかだった──。




***




 お互いの家の前に着き、扉に手をかける。


「まあ、また連絡するわ」


「あ、う、うん!私も連絡するね!」


 直登は、そのまま扉を開けて中に入ろうとする。と、その途中で止まり、こちらを見る。



「あ、そうだ。25日空けとけよ」



「へっ!?あっ、は、はいっ!!」



 ガチャリ。扉が閉まる音が響く。私は、顔を真っ赤にしてしばらくの間、動くことが出来なかった。




***


 その日の夜、自分の部屋に入り、私は考える。

 世の恋人たちはクリスマスに一体何をしているんだろう?そう思い、検索をかけてみる。

 家デートとか、イルミネーション、レストラン、色んな事が書いてあるけど……とりあえずプレゼントは必須っぽい!!でも、彼氏に渡すプレゼントって一体何!?待ってくれ!私は、どうすれば良いんだ!!


 軽くパニックになってしまい、私はある人物に連絡をした。その人物とはもちろん──




『──もしもし?』


「あ、湊くん!忙しいときにごめんね!」


『……電話出たのは良いけど、何か嫌な予感しかしないんだけど』


「そ、その予感は的中してるかもしてないけど、き、聞くだけ聞いて?ね?」


『はぁ?何だよ……』


「あの、クリスマスプレゼント買うの手伝ってほしくて……」


『クリスマスプレゼントって……もしかして幸坂に渡すやつ……?』


「……そっ、それは……」


『はぁ。瀬戸さんって残酷だね。フッた男に彼氏のプレゼント買うの手伝ってほしいなんて頼むんだ』


「……ご、ごめん……なさい。私、他に頼める男の子とかいなくて……。そうだよね、無神経すぎだよね……。分かった。自分で考えてみ──」


『──あー、うそうそ!!冗談だって気づいてよ。瀬戸さん、一人で買い物行ったらとんでもないもの買いそうだし、ついていくよ』


「えっ!?本当に!?」


『うん。クリスマスまで時間も無いし、明日で良い?』


「う、うん!!お願いします!!」


『分かった。じゃあ、時間とかはまた連絡して』


「湊くん、本当にありがとう!!よろしくね!!」


『はいはい、またねー』




 電話を切り、私はふーっと息を吐く。

 本当に、湊くんは優しいからついつい頼ってしまうんだよね。でも、これって本当は良くない事なんだろうな……。

 そう思いながら、明日へと準備を進めた。



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