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本当の君を好きになる  作者: 瑠音
第3章『冬の私たち』
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第20話 振り回される


 クリスマス仕様に飾られた街。葉が無くなって、寂しくなった木にも、イルミネーションが飾り付けられている。明日から、クリスマスイブだもんね。

 自分で勝手に納得しながら、隣を歩く湊くんを見つめる。私服の湊くんを見るのは初めてだから、いつもと雰囲気が違ってカッコよく見える。



「で?どんな物が買いたいとかあるの?」



「え?あ、それがさっぱりで……」



 昨日からずっと悩んでたけど、プレゼントは何も思い浮かばなかった。彼女として、どんなものをプレゼントしてあげれば良いのか……全く分からない。


「まあ、ゆっくり見ながら考えれば良いよ。彼氏からすれば、そうやって悩んで買ってくれたってことが、一番嬉しいと思うからね」


「……な、なるほど……」


 そんな話をしながら、私たちは目の前に見えたお店に入ってみることにした。

 そして、あるものが目に入る。



「あっ!!これ、直登にピッタリかも!!」


「え?」


 湊くんは、私の声に足を止める。

 私が手にしたのは、マフラー。大きなチェック柄で緑色。少し大人っぽい落ち着いた色合いが、直登に合っていると、直感でそう思った。


「湊くん!私、これにする!!」


 私が、キラキラと目を輝かせながらそう言う。湊くんは、そんな私を見て目をパチクリさせる。

 そして、「ブッ!」とふき出す。


 えええっ!?待って!?私、何かおかしいこと言った!?



「アハハハッ!!……あー、おかしい」



 お腹を抱えて笑った後で、目元に浮かんだ涙を拭う。涙が出るほどおかしかったの……!?


「さっきまで、買うものも分からなくて悩んでたのに……そんな一瞬で決めちゃう訳?ゆっくり見ながら決めれば良いって言ったのに!……やっぱり、瀬戸さんって面白いわ」


「はっ!確かに、さっきまで何も決まってなかった……」


「でしょ?あー、俺が来た意味無いじゃん!」


 湊くんはそう言いながら、笑みを浮かべる。


「まあ、とりあえず買っておいで?ここで色々見ながら待ってるから」


「あ、うん!行ってくる!」



***


「──ラッピングいたしますので、少々お待ちください」


「あ、はい」


 無事に会計を済ませ、レジから少し離れてボーッと店内を眺めていると、湊くんが二人の女の子に声をかけられているのが見えた。

 ……もしかして、学校の子……?そしたら、一緒にいるの見られたら、変な誤解を生んでしまうかもしれない。どうしよう……戻り辛いな……。


 そんな事を考えている内に、ラッピングは終わってしまい、私はハッとして商品を受けとる。

 まだ話してるし……。私は、商品を見ているふりをしながら、少しずつ湊くんたちの方へと近づいていく。

 すると、会話が聞こえてきた。



「桐谷くん、今日は一人で来てるの?」


「いや、一人じゃないよ?」


「そっ、そうなんだー」


 そう言いながら、頬を赤らめる二人組。




「──何?誰と来てるか知りたいの?」




 そう言いながら、意地悪な笑みを浮かべる湊くん。

 二人組は、目を丸くして更に顔を赤くする。



「実は彼女と来てるんだよね。──なんて言ったらどうする?」




「えっ!?」

「ど、どういう……!?」




 二人が戸惑っている間に、湊くんは歩みを進める。

 え、待って……?な、何かこっちに近づいてきてないっ!?

 私は、マフラーに顔を埋めて、とにかく俯く。

 すると、湊くんに肩を抱かれた。そして彼は呟く。



「そのまま……ね?」



 そう言った瞬間、二人組から痛いほどの視線を感じる。ま、待って!!怖すぎでしょ!!

 湊くんは、手をヒラヒラと振ってそのまま歩き始める。私も、前が見えない分、湊くんにくっつくしかなかった。



***



「──アハハハッ!!」


 湊くんの笑い声を聞きながら、私は頬を膨らませていた。


「そんな顔しなくても良いじゃん!」


「だって!!絶対に誤解されたじゃん!!」


「ちゃんとマフラーで顔隠してたし、大丈夫だよ」


「本当に怖かったんだからね!?」


「はいはい、ごめんなさいー」


「思ってないでしょ!?」


 先程の店を離れて、少ししてから肩から手を話してくれた湊くん。歩道を歩きながら、私は声を荒らげる。



「まあ、買い物も済んだことだし、ちょっと付き合ってよ」


「え?どこに?」


「ん?……秘密」


 そう言いながら、人差し指を口に当て、ニッコリと微笑む湊くん。あーあ、こういうことするから、皆あっという間にこの人の虜になるんだね。

 学校の女性徒の皆さん。騙されないでください。桐谷湊も、幸坂直登も、あの姿は偽物ですからねー?


 すると、いきなり頭をバシッと叩かれた。


「いたっ……!?」


「今、変な事考えてたでしょ?」


「えっ……!?」


 な、何で分かったの……!?といった風に、湊くんの方を見ると、黒い笑みを浮かべる彼。



「さ、行こうか?」



 そう言って、私の手を握り歩き始める。

 呆気にとられたまま、湊くんについて行くしか無かった──。



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