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英雄が紡ぐ物語   作者: 色タコス
第1シーズン 太陽の戴冠

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第22話 交差する刃、激突の序幕

「――来ます!」


シリルが叫ぶと同時に、空間が大きく歪んだ。『呪術の魔女』エルミラの背後から奔流のように溢れ出た漆黒のオーラが、凄まじい熱量と呪詛を纏いながらヘリオス一行へと牙を向けて殺到する。


「っ……!」


反射的に飛び出したのは前衛のガレオンだった。愛用の双剣を十字に交差させ、己の魔力を極限まで高めて放つ。

「甘く見てもらうなよ! 『双牙・交叉閃クロス・ファング』!」


ガレオンの双剣から放たれた鋭い雷の闘気の一閃が、漆黒の炎の奔流を正面から切り裂き、激しい衝撃波が周囲の廃墟を大きく揺るがす。しかし、オーラの勢いは衰えるどころか、弾けた呪詛の粒子が周囲の空気を毒のように蝕んでいく。


「見事な連携を見せてもらう。……だが、それだけか?」


エルミラは冷ややかな笑みを浮かべたままでいる。その手元がわずかに動くと、空間そのものを縛り上げるような重力波が一行の足を絡め取った。動きが鈍った瞬間を逃さず、レオンが鋭い眼光を光らせながら一歩前に出た。


蒼白の冷気を纏わせた両手を前方へ突き出し、レオンが容赦のない攻撃魔法を叩きつける。


「凍てつく虚空より生出でよ。すべてを両断する氷の刃――『氷剣・グレイシャル・エッジ』!」


レオンから放たれた無数の巨大な氷の刃が凄まじい弾道を描いて奔走し、エルミラの周囲の空間ごと鋭く切り裂かんと襲い掛かる。圧倒的な冷撃の奔流にエルミラの呪術の歪みがわずかに揺らいだ。その隙を逃さず、風の魔力を全身に纏ったヒューガが愛用の長槍を構え、凍りついた空間を縫うように疾風のごとく肉薄した。


「調子に乗るなよ、大罪人! 俺の槍でその仮面を撃ち抜いてやるぜ! 『風牙・旋風烈破せんぷうれっぱ』!」


ヒューガの振るう長槍が真空の刃を纏い、圧倒的なスピードと鋭さを伴ってエルミラを直撃する――かに見えた。しかし、エルミラの身体はまるで蜃気楼のように揺らぎ、その突きは虚しく闇の残像を通り抜けるだけだった。


「遅いよ、虫けら」


いつの間にかヒューガの背後に回り込んでいたエルミラが、冷酷につぶやきながら放った呪術の魔弾が彼の背中を襲う。


「ぐっ……!」


「ヒューガ!」


仲間が負傷したその瞬間、ヘリオスの内なる『アスカリオン』の光が激しく脈打った。仲間たちの戦いぶり、そしてエルミラの放つ禁呪の理、そのすべてがヘリオスの研ぎ澄まされた感覚の中に流れ込んでくる。


「みんなの攻撃は、無駄になんてさせない……!」

ヘリオスは両手で握りしめた剣に全魔力を注ぎ込み、地面を蹴って跳んだ。彼の周囲に無数の炎の刃が展開され、一点集中の鋭利な軌跡を描きながらエルミラへと突き進む。

「俺のこの一撃……受けてみろ、エルミラ!」

炎と闇が激しくぶつかり合い、魔導都市跡の夜空をまばゆい閃光が切り裂く。『呪術の魔女』との死闘の火蓋が完全に切って落とされた。

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