第56話:沈黙のベルト、目覚めぬ英雄
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## 第56話:沈黙のベルト、目覚めぬ英雄
「……レン、起きろよ。……冗談だろ?」
プラントの再起動から三日が過ぎた。村には電灯が灯り、人々は「光」を取り戻した喜びに沸いていた。しかし、その光と引き換えに、レンは深い眠りから覚めずにいた。
彼の傍らに置かれたアーク・ドライバーは、どす黒く焼け焦げ、二度と輝くことのない鉄の塊に成り果てていた。
「バイタルは安定しているわ。でも、彼の意識が……ドライバーの中に溶け込んだまま、戻ってこないの」
ハルカは、プラントで回収した液体金属(ボイドの残骸)を顕微鏡で覗きながら、唇を噛む。
アーク・ドライバーは、ドクター・ストリクスがレンの「生体データ」を核にして造ったもの。ドライバーの全壊は、レン自身の魂の欠損を意味していた。
その時、村の警報が鳴り響く。
「チッ、休ませてもくれねえか……! ギル、行くぞ!」
「……ああ。彼が目覚めるまで、この場所を更地にはさせん」
海斗とギルが飛び出す。村を襲っていたのは、エルムが放った機械化兵の残党と、それらに混じって現れた、自我を持たない「プロト・タイプ」のライダーたち。
変身能力を持たない村人たちにとって、それは死神の軍勢だった。
「レンさん……みんな、頑張ってるよ。だから、あなたも……!」
ハルカは意を決し、ボイドの液体金属をアーク・ドライバーの残骸に流し込んだ。
**「論理」のボイド**と、**「情熱」のアーク**。相容れない二つの因子を、レンの「意識」という触媒で強制的に結合させる禁断の実験。
『――SYSTEM FAILURE... RECONSTRUCTING(システム不全……再構築中)――』
その頃、レンは暗闇の中にいた。
目の前には、かつて倒したはずの自分自身の影――『シャドウ』が立っている。
「……まだ戦うのか。力を失い、ただの人間になったお前に、何ができる?」
「……何もできないかもしれない。でもな……俺の身体は動かなくても、あいつらのために流した『汗』や『血』の記憶は、この鉄クズ(ドライバー)の中に刻まれてるんだよ!」
レンが闇の中で、焼け焦げたドライバーを掴む。
その瞬間、ボイドの銀色の輝きと、レンの紅蓮の意志が混ざり合い、全く新しい「鼓動」が鳴り響いた。
**『――NEW-GENE DRIVE: ARK-VOX(新世代駆動:アーク・ヴォックス)!!――』**
村の診療所に、凄まじい衝撃波が走る。
ベッドから起き上がったレンの腰には、液体金属のように脈動し、レンの血管と直接繋がったような、有機的で鋭利な新ドライバーが装着されていた。
「待たせたな、みんな。……第二章、始めようぜ」
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