第23話:卑劣なる沈黙、サキの選択
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## 第23話:卑劣なる沈黙、サキの選択
第20層の拠点は、三人目のライダー・ヴァルキリーの誕生に沸き立っていた。
しかし、その喧騒から離れ、サキは一人、通信端末を握りしめて震えていた。
「……お母さん。……そんな、嘘でしょ……」
画面に映し出されていたのは、管理局の収容所に捕らえられた彼女の家族の姿。
そして、冷徹な声がスピーカーから流れる。
『サキ。お前が「スパイ」として一条レンのドライバーを破壊するか、あるいは家族が「再教育」の名の下に魔力を枯渇させられるか。……選ぶのはお前だ』
翌朝。
俺と海斗が第50層への遠征ルートを確認していると、サキが虚ろな目で近づいてきた。
「レンさん。……ハルカさんが呼んでます。奥のドックへ一人で来てほしいって」
「ハルカが? ああ、わかった」
何の疑いもなく、俺は無防備に背を向けた。
その瞬間、サキの手が震えながら俺の腰の『アーク・ドライバー』へ伸びる。彼女の手には、管理局から支給された「システム無力化プラグ」が握られていた。
「……ごめんなさい、レンさん!!」
カチッ、という不吉な音が響く。
だが、ドライバーが火花を吹くことはなかった。
「……遅かったな、サキ」
俺は静かに振り返った。
俺の腰にあったのは、海斗が徹夜で作った「ダミー」のベルトだった。
「レンさん……知ってたんですか……?」
「お前の端末の通信履歴を、海斗が昨夜のうちに逆探知した。……家族が捕まったんだろ?」
サキは崩れ落ち、声を上げて泣き崩れた。
そこへ、海斗がノートPCを叩きながら現れる。
「お姉さん、泣いてる暇はないよ。管理局の通信を逆探知して、収容所の場所は特定済みだ。……地上、第3層の特務ゲート。そこに家族はいる」
「でも、そこは管理局の本拠地に近い……! 私たちの戦力じゃ……」
「……誰が『自分たちだけ』で戦うって言った?」
俺はドローンのスイッチを入れた。
ライブ配信が開始される。視聴者数は瞬時に数千万を超えた。
「世界中のリスナーに告ぐ。……今、管理局は俺たちの仲間の家族を人質に取り、卑劣な脅迫を行っている。……俺は今から、彼らを救いに行く。**『法』が正義を行わないなら、俺たち『個人』が正義を行うまでだ!**」
『ふざけるな管理局!』
『サキちゃんを泣かせるな!』
『一条! 全力で応援するぞ! 収容所の隔壁をぶち抜くエネルギーに変えてくれ!』
世界中から怒りの声と、かつてないほどの『熱狂エネルギー』がドライバーに集束していく。
「海斗、拠点の防衛を頼む。……サキ。自分の家族は、自分の手で取り戻すんだ。……行くぞ、第3層へ逆侵攻だ!!」
「……はいッ!!」
ストライカー・ウィーラーが爆音を上げ、迷宮を「逆送」し始める。
逃亡者から、侵略者へ。
仮〇ラ☓ダーたちの「反撃の進撃」が、地上に向けて開始された。
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