表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【毎日・昼まえ・更新したい】ぼくのホーム オフィスには 人間きぶんの 猫が2匹いる  作者: 猫爪とぎ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
81/86

【5/10】スーパーで、ぜったいカゴを取らない人

「この白線から落ちたら、死ぬ」と歩道の白線の上を歩きながら、下校していたのが45年ぐらい前。ルールは開示されてこそ、ゲームスタートとなる。


そうでなければ、白線の上を慎重に歩くマヌケにしか見えない。百歩譲って、子どもだからまぁ何か遊んでるんだろうなとなる。


子どもが大人や社会から理解しがたいことに夢中になっていても、それは「遊び」と自動変換される。


そのまま大人になったのだろうか? と思う案件が1つ。


スーパーでカゴを取らない人のことだ。特定の人ではなく、スーパーに行くと必ず目にする。


千秋楽の舞台俳優並みに両手にパック肉やらジャガイモやら、ビールやら抱えている。最後に冷凍食品を乗せるあたりは、体温で溶けないようにとの気配りだろうか。


レジでざざざぁと得意げに両腕から解き放つ。さしずめ、隣の村から食料品を強奪してきたような小悪党感すら漂う。


カゴがあるじゃないか。重ければ、カートもあるじゃないか。なぜ、カゴを使わない。自分の両腕をそこまで過信するのだ。落としたら、悲劇だって起こるのに。


カゴを手にしない人、老若男女問わずであるのが興味深い。そりゃぁ、1つ2つの買い物なら、いちいちカゴは手にしないさ。だが、バランス感覚が問われるほどの量を抱えるのなら話は別だ。


先日、柿の種とビールを抱えて店内を回遊する高齢のご婦人がいた。背は低い、腰はすっと伸びている。柿の種を3袋ほど、ビールを1缶単位で4から5缶ほど。飲むんだね、良い買い物だ。足取りがヨチヨチ。前から歩いてくると、狭い店内は接触しそうで怖い。


店員にそのご婦人が「タマゴどこにあります?」と問う。

(常連ではないのか、タマゴ売り場を知らないのだから)


待て!


その状況で、タマゴを1パックを積み上げるとは、逆ジェンカも甚だしい。

店員も店員でカゴを渡す素振りもなく、こちらですとタマゴ売り場に誘導する。


面白そうなので後ろを歩いて行くと、

1000円以上ご購入の方、タマゴ1パックまで10個入り・198円!とPOPが!


そりゃあ買うだろう。場所まで聞いてるんだから。とはいえ、もうホールドする力はないだろう。カゴが必要だ。だがご婦人は、クルリと踵をかえした。


再びタマゴ売り場に戻ってくるのを待つ。ご婦人が幾分か身軽だ。柿の種をいくつか棚に戻したのだ。タマゴを安定的に抱えられるようにするためか。


なおも、カゴを手にしない。これは、あの「白線から落ちると死ぬ」ルールに通じるものがあるのか? 相手は高齢のご婦人だ。大人の後半戦を生き抜いている方だ。そんな子どもじみたゲームに興じているわけでもなかろう。


断固として、カゴを手にしないのは、なぜか?

・いろんな人が触っているから、カゴが汚いと思っている

・カゴを手にすると、まっすぐ歩けない

・カゴをカートに乗せると、制御できない

・カゴは有料だと思っている

・会計後カゴにいれたまま持ち帰り忘れたトラウマがある


ご婦人も危険を察知しているのだろう、タマゴを一番上に積み上げたあとは、一目散にレジに向かった。


ピタリと後ろで見ていると、

・柿の種:250円ぐらいを1袋=250円

・ビール:120円ぐらいを4缶=480円

・タマゴ:178円

合計:908円に消費税で、980円だったと思う。


とにかく、1000円に達していなかったのだ。レジ前のチョコレートを手にして、コレも! とご婦人が素早く動く。


1000円達成!よかったね。


レジでは、購入済みのカゴに移される。ご婦人がポツリ

「カゴ、入れんといて」と。


あぁ、そうか。


カゴが嫌いなのだ。犬が嫌いとか、ピーマンが嫌いとか、あのタレントが嫌いとか、そういう次元で「カゴが嫌い」なのだ。ご婦人はサッカー台の下にある段ボール箱に戦利品を詰め込んで、抱えて店を出た。


きっと、買い物袋も嫌いなのだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ