突然のイベント発生です!
「ふぃぃぃ……少し水が冷たくなってきた……」
湖に入ってから、泳いだり水をかけあったりしているとすっかりと身体が冷えてしまう。
「そろそろ休憩にしよっか」
「そうだな。おーい、一旦休憩にしないか?」
俺は少し離れた浅い場所で遊んでいる、フレアたちへと声をかける。
「ああ、わかった」
「すっかりびしょびしょですぅ……」
「リーナが水かけてくるから」
「そうですけど……サリアちゃんはやり過ぎですよ!」
「あははは!みんなびしょびしょだね!」
「えへへ!とっても楽しかった!」
笑顔のまま俺たちは湖面から出ると、シートの場所へと向かう。
そして濡れた身体のまま、その上に座り込む。
「ふぅ……あったかぁ……」
冷えた身体が高い気温によって、温められていく。
その過程がなんとも言えずに気持ちいい。
そうやって俺たちが身体を休めていると、
「あっ!君たち!ここにいたのか!」
後ろから声をかけられる。
息を切らせて声をかけてきた人には見覚えがあった。
先ほど事務所で事情を聞いてくれた三十代くらいの男性スタッフさんだ。
「どうかしましたか?」
「それが今日、東西南北対抗レイクドッチボール!という企画があるんだけど、出場予定だった四人組が体調不良で来られなくなったって言うんだ!」
そう言えばさっきシートやらを借りに行った際に、そんなポスターを見かけたな。
女性アスリートたちによる大迫力のドッチボールをご覧あれ!
優勝したチームには賞金が、観客には応援券を販売して優勝チームを当てるというイベントだった。
観客が当てた応援券はその地区内で使える金券になり、人気に応じてその金額が変わるというものだ。
面白そうだが、見ることは無いだろうなと思っていたのだが……
「もしかして、フレアたちに出場して欲しいってことですか?」
「その通り!君たちは召喚師を目指す学生なんだろう!?ならばアスリートでもある!どうかお願いできないか!?」
俺の一存で決められることではない。
そのため隣で休んでいるみんなに声をかけることにした。
「どうしようか?」
「私は受けてもいい。先ほどは迷惑をかけてしまったからな」
「私もです!困ったときはお互い様ですから!」
「わたしもいいよ」
「ボクも!身体を動かすのは大好きだしね!」
そう言うと思ったよ。
「むぅ!私も出たいのに!」
「マリーちゃんは僕と応援してようね」
「うん!」
マリーちゃんは一瞬でルースの腕に抱き着いていた。
「そ、それじゃ!出てくれるということでいいかな!?もちろん優勝したら賞金は君たちのものだし、少しばかりの謝礼も出す!」
「いえ、私たちはお詫びとして出場するので謝礼は必要ありません」
フレアの答えにスタッフさんは感激したようで、頭を下げてくれた。
「ありがとう!君たちがいてくれて助かったよ!」
こうして予想外のイベントに出場が決まり、俺たちは先ほどの事務所で説明を受ける。
イベント会場は例年順番で回っており、今年は南地区の担当。
主催する地区の選手がいないというトラブルになってしまい、慌てて代理を探すことになり俺たちのことを思い出したそうだ。
いやはや、どんなことがきっかけになるかは分からないものだな。
「ルールなんだけど、砂地でのドッチボールで三人が内、一人が外というオーソドックスなもので行われる。魔法は補助なら使ってもいいことになっているんだけど、大丈夫かな?」
「ええ、私たちも一通りは使用できますので問題ありません」
事務所の会議室で説明を受けるフレアたち。
その隅で俺とルースとマリーちゃんも話を聞いている。
「なら良かったよ。総当たり戦で行われるので三回試合をしてもらう。あと一時間ほどで始まるからゆっくりとしていてね。僕は準備があるから出て行くけど時間になったら呼びに来るよ」
そう言うと慌ただしく会議室から出て行った。
「なんだか意外なことになっちゃいましたね……」
「そうだな。ただ賞金も出るようだし頑張ろうじゃないか」
「うん、優勝してリーナにプレゼントしたい」
「サリアちゃん……もう優しいんですから!」
「くるしい」
ぎゅっとサリアに抱き着くリーナ。
「ボクもやる気でてきたよ!ドッチボールは得意だからね!」
ええ、知っていますとも。
前にえらい目に遭いましたからね……
それにしても大丈夫ですか?
何が?
相手の方、あすりーとでしたか?
よくわかりませんが、どれほどの実力なのでしょう?
それはまあ強いんじゃないかな?
代表として呼ばれているんだし。
そうなのですか。
私としては戦力がどれほどのものなのか気になります。
……そう言われると不安になってくるじゃないか。
ただまあ遊びみたいなものだし、負けても仕方ないさ。
負けてもいい闘いなどありません!
どんな闘いでも勝ちにいくことが大事なのです!
嘆かわしいですよ!マスター!
すいません……
外の気温よりも暑苦しいファーナに怒られつつ、ゆっくりと時間は流れていくのだった。




