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noblesse;oblige  作者: 夏桜羅(原案・設定協力)、雪羅(原作・執筆担当)
第3章 騎士 -oath of sword-
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騎士 -oath of sword- 幕間-02

 コロッセウムの最上階の貴賓席となっている一室に男は座っていた。絢爛な服装から、貴族であることは容易に察しがつくが、ロマンスグレーの長髪を頭の後ろでまとめ、細身な体型した姿からは、貴族とは思えないくたびれた雰囲気が感じられた。

 しかし、その碧眼は爛々と野心に輝き、支配欲の権化たる貴族に相応しき色を宿していた。


「予想以上に役に立ってくれそうな駒であるものよな。アルカンシェルーーいや、ジン・ルクスハイト」


 男が見つめているのは眼下で行われている試合を映し出したモニターだった。

 今行われている試合は、アルカンシェルの第2試合。相手はこれもまた優勝候補と言われている騎士だったが、またしても瞬殺されていた。

 ミハエル卿との試合から、アルカンシェルが反撃(カウンター)主体の騎士だと考えたのか、攻め込もうとしなかったが、攻め手に出たアルカンシェルのよって盾と剣を弾き飛ばされ、降参に追い込まれていた。

 所詮はコロッセウム。優れた騎士は一人として参加しない。その中で、アルカンシェルは異彩を放つ強さを見せつけていた。

 男は満足げな笑みを浮かべる。時間稼ぎと目くらましのついでに使うつもりで、はした金(・・・・)と引き換えに雇った騎士だったが、噂に違わぬ技量の持ち主であったようだ。


「これならば、我輩も計画を上方修正せねばな」


 試合の終了が告げられる。破竹の勢いで優勝候補を撃破するアルカンシェルに歓声が集まるが、当の本人は気にした様子もない。当然だろう。彼にとっては当然の結果なのだから。

 それに、その全く興味がないという態度はこちらにとってもやりやすいのだ。あの少年は、ここに来て以降、雇い主であるはずの男の下に、一度も姿を現していない。余計なおべっかも、過剰な物乞いもなく、干渉してこない態度は、男にとっては理想的なものだった。

 あの騎士ならば、このまま、男に興味を示さぬまま、並み居る騎士を打ち倒し、このコロッセウムの象徴にして、オルレアンの最後の砦、ザビーナ・マーシャル・ラ・オルレアンの待つ場所まで辿り着くことだろう。

 そして、ひょっとすれば、あの円卓の騎士、ザビーナに傷一つでもつけるかもしれない。

 万が一にでも、そこに辿り着くけば、それは、男にとっての最高のシナリオだった。そして、その可能性はアルカンシェルの持つ技量を見るに、決して低くはない。

 そうなれば、長年温めてきた男の計画は、男にとって何よりも得難い、成功という結果に収束する。


「クックックッ、ワッハッハ! 見ておれ、オルレアン。貴様らまとめて肥溜めにぶち込んでやる!」


 男は、ソファから立ち上がると、部屋を出ていく。付けっ放しのモニターには、険しい顔をした、真紅の瞳の少年が映されていた。


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