シコの7
「クァーハッハッハ!
ザァコ♡ ザァコ♡」
語尾にハートマークを付けていそうな声音でサノバが煽ると、ケイナは無言のまま、真っ赤になった顔を俯かせる。
そんな勝者と敗者の様子を見ながら、ギャラリーたちがまたもざわめいていた。
「まさか、名門フタタマドウの娘が……現神の妹が、入学早々に敗北するとはね」
「サノバ・ビッチ……要チェックだわ」
そんな風に勝負の決着がついている一方、いまだに触手との決着がついていないのが宙吊り触手拘束、触手口-in! 状態のアリサだ。
「ふぐぐががん、ふがぐぐぐぐぐー(いい加減、下ろしてけれー)!」
必死に懇願するも、誰にも一切顧みられることなく、話が進んでいく。
「……やっぱり、分からないわ」
「ハァン! 負け惜しみですかぁ?」
もはや背を反らし過ぎていて、ほとんど柔軟体操のような状態となっているサノバに対し、悔しさでまだ少し赤い顔のまま、しかし、声だけは冷静にケイナが続ける。
「ううん、こうなった以上、このSEXバトルはあんたの勝ちよ。
周囲のモノをなんでも利用可能なノーオプション&エンカウントルールである以上、アリサっちを巻き込んだことにも文句はないわ」
「フガググググングググー(わたしはあるんですけどー)!」
やはりアリサのことなど無視し、ヤリ合った両者は話を続けた。
「ただ、それでも分からないのが、あんたがあまりにもピンポイントな性壁展開をしたということ。
だって、そうでしょう?
オッパイばかり無駄にでかいピンク髪の田舎っぺ女が触手拘束される幻想世界なんて、シチュとして特殊過ぎるもの。
あのおじさんにはカテーテルみたいに挿さったみたいだけど、普通はそこまで効果的だとは思えないわ」
それは、言われてみれば、ごくごく当然の疑問。
「確かに……体つきがチンチクリンであることを思えば、いきなり性技で責めなかったのは、賢明といえば賢明かもだけど」
「気になるとこではあるよね」
「まるで、あのおじさんの性癖を知ってたみたいだし」
そろそろ解散の雰囲気を漂わせていた学級外のギャラリーたちも、こぞってそのような言葉を漏らす。
それに対し……。
「ククク……クァーハッハッハッハ!」
サノバは、またもや大仰な哄笑で応えてみせたのである。
「まるで、あのおじさんの性癖を知ってたみたい?
違いますねー。
私は、あのおじさん――マタデ・マタサブロウ氏の性癖に合わせて、ピンポイントで性壁展開したんですよー!」
「は……はあああああっ!?」
その言葉に、親譲りの金髪が逆立たんばかりの勢いで怒りを示すケイナだ。
「ちょっと待ちなさいよ、あんた!
おじさんの名前を知ってたということは、もしかしてグルだったってこと!?
だったら、さっきの勝負は無――」
「――甘い。
チョコレートみたいに甘いですねえ。
公務淫魔を目指す者は、苦いものを笑顔で飲めるようにならないといけないんですよぉ?
意味はよく分かりませんけど」
無効、という言葉を言い終わる寸前で叩き切ったサノバが、うっすい胸を張りながら堂々と告げた。
「この私が、どうしてわざわざ一週間も遅れて入学してきたんだと思いますかー?」
「え?
そんなの、新型ウィルスに感染したからって……。
――はっ!? まさか!?」
「そう、そのまさかですー!
新型ウィルス感染の病気療養は、真っ赤な嘘ー。
実際は入学に合わせて上京するなり、SNSとかに書き込んでいるこの学園常連の精産者さんたちに接触!
直接、好みのシチュからプロフィールに至るまでを調べて、リストアップしていたんですよー」
言いながら彼女が取り出したのは、今時見かけることも珍しいシステム手帳。
カバーの様子や中にファイリングされた用紙のくたびれ具合を見る限り、かなり書き込んでいることは明白である。
「な……なな……そんなの、盤外戦術じゃない!
学内のSEXバトルで、こんなことがまかり通っていいの!?」
「いいに決まってますー。
私たち公務淫魔の使命は、精産者さんを気持ちよくして、質の良いスペル魔をビュッビュしてもらうことに尽きますから。
そのために、あらかじめ性癖を調べておいたり、イイ感じに趣向と合致するクラスメイトを利用するのは、ごくごく当然のことですー」
ケイナの言葉を、ピシリと鳴らした乗馬鞭と共に却下するサノバだ。
なんという、悪魔的発想か……。
――精産者のため。
こう言われると、何かこう錦の御旗を振られているような気分になるというか、何を言い返すこともできないような気分になる。
実際のところ、だいぶこっすいことをしている気がするし、なんか触手がパンティの中へ入ってこようとしているアリサにとっては、迷惑千万でしかないけど!
「そうですね。
サノバさんの言う通り、精産者さんのことを第一に考え、気持ちよくビュッビュしてもらうというのは、公務淫魔の基本であり、とっても大事なことです」
担任教師なのにアリサのことをガン無視している女教師が、ポンと両手を叩きながらサノバの意見を肯定した。
「フフン……」
これを受けて、一週間も盤外戦術の下調べに費やし、遅れてチン入した小さな淫魔生徒は得意げであったが……。
「ですが、それは当然、きちんと授業に出席した上での話です。
だって、皆さんは学生なのですから」
「へ?」
むんず、と……。
しゃがみ込んだ女教師が、両手でサノバの両胸……今は性壁展開の効力により、軍服で包まれたオッパイを握りしめる。
アリサのように、自慢ではないが豊かなオッパイをそうしているのではない。
見た感じ、Aカップあるかどうかも怪しいサノバのオッパイをそうしているのだ。
なんという――握力。
しかも、女教師は、そのままサノバを――持ち上げた。
「え? あのー? 先生ー?
体罰はよくないですよー? 令和ですよー?」
「いやですね、サノバさん。
これは体罰ではありません。
――性技の直接教授です」
おお……なんということか……。
女教師が、恐るべき勢いで十本の指をうごめかせた。
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「ニャアアアアアーッ!?
……アッ♡」
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「ふいー……やっと解放されたべ」
どうやら、性壁展開が解除されても、触手のヌルヌルした粘液は消えないらしい。
全身粘液まみれとなり、制服もスケスケとなった状態でしゃがみ込むアリサだ。
「あ……あへ……♡」
隣には、お尻を突き出しながら突っ伏した状態で、ピクピクと痙攣するサノバの姿。
非常に哀れな姿だが、しかし、先のSEXバトルの勝敗は覆らない。
サノバ・ビッチ……入学早々に、新入生のホープを破ったダークホース!
「な……なる……。
絶対、公務淫魔の頂点に……なりゅ♡」
そのダークホースは、快感由来のよだれを体育館の床へこぼしながら、なおもそうつぶやいていたのである。
そう……。
これは、少女たちが公務淫魔の頂点――神を目指す物語!
乙女たちよ! マタ・ハリが見守る花園で、やらしく淫らに咲き誇るのだ!




