尊健の場合
初投稿です。
昔、大学生の時に暇を持て余して石見銀山に行ったことがあった。
遅かったのもありほぼ誰もいなかったが、良くて2人が並んで歩けるほどの
元坑道を笑いながら歩いたのを思い出した。
今わの際に至って。
社会人になった後はボッチ生活を極め、会社を辞めて探索者になった後も
ソロで潜っていた。
社会性の無さが仇となったのだ。
左手がもとあった個所からは命が流れている。
手がまだあるのか錯覚しているのか、酸欠を解決させようと拍動を強め、
とめどなくあふれる。
すえた臭いをまとった怪物が奇声を上げながら追ってきている。
「俺の冒険はここで終わってしまった▼」なんて冗談をかますが聞いてる奴なんていない。
少しでもあながおうと反転し、怪物と向き合う。
餓鬼のような見た目をした怪物が飛び上がり、すでに獲物を振り下げている場面でーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー
奇声を上げながら目を開けた。
呼吸が荒い。
なんだ、気絶をしていたのか?
何があったっけ、ここはどこだ。
おそらくパニック状態だ。
思考がまとまらない、恐ろしい夢を見た。
とりあえず落ち着こう。
なぜこんなに暗いんだ。
水が飲みたい、のどが渇いた。
座ってていいのか? とりあえず立ち上がろう。
そうだ、ここはダンジョンの中だ。一人で潜っていたんだ。
落ち着け。
とりあえず武器は落としていない、よし。
荷物もある。明かりも少し離れたところに落ちているだけだ。
ケガは、
特にない。
よし、動ける!
とりあえず注意しながら脱出をしよう。
冷静じゃない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー
生き延びた、生き延びた、生き延びた!
助かった。
脱出中に気絶する前のことを思い出した。
確かに俺は餓鬼の獲物でやられたと思った。
だがどうだろう、こうして無傷でーーー
無傷で?
「無傷」で?
左手の恐る恐る見た。
なかったはずの左手は何事もなかったかのようにそこにあった。
幻想階層か……?
いや、それはない。あそこで倒した怪物どもの討伐証明部位は残っている。
幻覚? あの鮮烈な痛みが幻覚であろうか……?
……神様、仏様、ありがとうございます。
とりあえず今日は無理なので、明日にでもお礼参りにでも参ります。
およそ12時間ぶりに本物の空を見上げると、健は大きく息をついた。
その時、そばに立っていた守衛さんが駆け寄ってきた。
「あー、君、待っていたよ」
その一言に固まる。何かやらかしたか? 狩りの妨害やナンパなどの迷惑行為はしていない、
はずだ。またも冷汗が出る。
「さっき女の子が君の落とし物を拾ってきてくれたみたいでな。
たぶん君のだと思うから、とのことだ。これ、スマートウォッチ。君のかい?」
「へっ?」
守衛さんの手を見るとそこには今日の俺の生きざまを表示する元気な姿がそこにあった。
改めて左腕を確認すると、そこには何もなかった。
「た、多分俺のだと思います。ありがとうございます」
「よかったな、これそこそこするだろ? 運がいいな、君」
「ああ、俺もそう思っていました。ありがとうございます」
スマートウォッチを受け取り、左手に装着する。しばらくすると脈を測り始めた。
なんとなく生を実感する。
「その女の子の名前とかわかります? お礼したいんですけど」
「まあ、わからんことはないけど、プライバシーがね」
ちょこっと呆れた顔で改札機をこぶしで小突く。
まあ、それはそうか。
少し思うところはありながらも、健は夜道を一人、自宅へ歩いて歩いて行った。
「よかったんかい? 名乗り出なくて。スマートウォッチの1割くらいもらえんじゃない?」
「なにそれ、バンドのとこだけとか?」
女の子は嘲笑する。
「ま、それもそうか」
守衛も笑う。
「君も、気を付けて帰りな」
「まあ、肝に銘じておくよ」
如月弥生は今日も闇夜に溶けていった。
Result
Demand:如月弥生は尊健を救えるのか。 clear!!! congratulation!!!
経験値を獲得、スキルレベルが上昇します。
完全回復 Lv.2
技術:体力回復 欠損部位回復 病寛解(New) 解呪(New)
Next demand 3日以内




