十二
ルルルはルルル。
狐人族の村で生まれた。
そこにはお母さんもいて、じっちゃんもいて、大事な場所だ。
本当はもっといろんなところに行きたいけど、外に行くと人間がいて危ないってみんな言う。
出会ったら殺されるなんて、そんな怖い人間がいる外になんて行きたくないって思った。
ルルルが十二歳の時。
村中の大人が病気になった。
子どもはかからないって言ってたけど、早く治さないとみんな死んじゃうかもしれない。
ルルルは怖かった。
みんながいなくなったら、ひとりぼっちになっちゃうから。
「ごほっ、ごほ……とりあえず、俺がモグライラズをさがしてく、ごほっ――。はやくいかないと、村が壊滅するからな」
「何いってんだい! あんたはかなり病気が進んでるじゃないか! 一番かかるのが遅かった私がいくよ」
「女の力でこの森を歩き回れるはずないだろう! どうにかして、モグライラズの花を買うしかねぉ!」
「そんなの命がいくつあっても足りないよぉ! 人間の街にいかなきゃ売ってないじゃないか!!」
村の大人があつまる集会で、みんな大きな声をあげて騒いでた。
みんな病気なんだから寝てないと。
それに。ルルルは病気じゃないよ?
元気だよ?
「なら、このまま死んじまうほうがいいのか!? 誰かが犠牲にならねぇと、村は助からねぇ! 狐人族は滅びるんだぞ!!」
「そうだけど……」
さっきまで騒いでたけど、いまはみんなだんまりだ。
困ってるのかな?
なら、一番元気なルルルが、行けばいいんじゃないかな?
そしたら、みんなゆっくり休める!
そうだ!
一番、いい考えだ!
「モグライラズってどんなの?」
ルルルが言うと、大人たちは怒ったような顔をした。
「ガキは黙ってろ」
「いいじゃないか。気になっただけなんだろう?」
「白い花なのよ。近くにはないから困ってるの。でも、大丈夫よ? みんなでちゃんとするからね」
「白い花?」
「そう……花の周りにはいっぱい穴があるからすぐわかるのよ。だから、私たちがちゃんと探すわ。ルルルは安心して待っていなさい」
「そっか……」
お母さんが優しく教えてくれた。
うん。
穴ぼこだらけの白い花。
今まで森にはいったことないけど、きっと大丈夫! 見つけられる!
「ならルルルがとってくる!」
「え――?」
「みんな、病気でしょ!? なら、ルルルがとってくるから待っててね!!」
ルルルは集会場を飛び出して、そのまま駆け出した。
「ま、まって! ルルル――」
お母さんが叫んでたけど、はやく白い花、とってこなきゃ!
そしたらみんなが助かるんだから!!
エンドからもらった花。
これがあればみんなが助かる!
そう思って村に帰ると、村はいつもと違かった。
家は燃えてた。
血がいっぱい飛び散ってた。
じいちゃんたちは泣いてた。
お母さんはいなかった。
残ってたじいちゃん達はエンドからもらった白い花で病気は治ったみたい。
けど、おかあさんは!?
どこにいるの!?
「オークに連れ去られたんじゃ……」
それを聞いた瞬間、泣きそうになった。
ルルルはしってる。
オークは怖い。
ルルルよりずっと強い。
だから、ルルルじゃ助けられない。
その時、頭に浮かんだのは白い花をくれたエンドだった。
お母さんはだめって言ってたけど、ルルルは悪い感じはしなかった。
だから、なんでかわからないけど、自然とエンドの匂いをおっていた。
助けてくれるって思ってたわけじゃない。
けど、なぜだかルルルは、エンドを探して走ってた。
「お母さん……」
ルルルの目の前には、お母さんがいる。
ちゃんと……生きて、笑って……おか、おか――。
「おかあさあぁぁぁん!!!」
「ルルル!」
エンドが倒したオークキングが出てきた洞窟。
その中をみたら、そこにはみんながいた。
男は、いなかった。
お母さんが泣きながら自分たちをかばってくれたんだって言ってた。
おじさんたちに会えないのは、寂しいな。
けど、お母さんが生きてくれたのはうれしい!
「エンドがね! 助けてくれたの! 人間だけどいいやつだ!」
「え……人間が?」
お母さんにそういうと、いきなり顔が怖くなった。それで、ルルルを抱きしめてエンドに近づいていく。
なに、するんだろう。
「あなたが……助けてくれたのですか?」
「ルルルに頼まれましたから。ついでに言うと、村長さんにもね」
「村長が……。でも、どうして――」
お母さんが話してる途中。いきなりエンドから怖い感じがした。
おもわず尻尾がびくってなる。
「昔の僕は抗えなかったから。助けてほしいって思ってたけど叶わなかったから。けど、あなたたちは違う。ルルルはたまたま僕に出会って、僕がたまたま助ける力があったってだけですよ。だから、気にしないでください」
「気にしないなんて無理です。我が一族を助けてくださった恩はしっかりと返さないと」
「うん、そうだよ! ルルル、エンドに恩返ししなきゃ!」
ルルルがそういうと、エンドは笑った。
さっきまでの怖いエンドより、やっぱりエンドは笑ってるほうがいいなって思った。
「やっぱり親子ですね。ですが、今は帰りましょう? ここには悲しみが多すぎる」
「ええ、そうですね……」
エンドはそういうと、レイカと一緒に歩き出した。
捕まってたお母さんたちも怪我はしてなかったみたいだから大丈夫かな。
早く帰ってお母さんのご飯、食べたいな。エンドにも絶対食べさせてあげたい。すっごい美味しいんだから、お母さんの料理は!
ルルルはエンドの背中を見ながら、そんなことを思っていた。




