19.気を取り直して旅のはじまり
ここからダブル主人公制はじまります
領襲撃事件から半年が経過した。
あの後すぐに、ベルクが勇者の生まれ変わりであることを宣言し、ミシェルの安全保障の交渉を行った。戦力や領民の生活的な面ですぐ奪還作戦出来なかった為だ。一応、密偵を送っていてミシェルの安否は逐一報告させていて、無事は確認している。
領民の生活は元の水準まで戻った。しかし、戦力面ではまだまだボロボロだ。アキトはあの戦いのダメージでまだ完全ではないし、ロストギアがほとんどなくなったので、再発掘をしている現状だ。
そんな中、ベルク、アンナ、ニア、ほーちゃんの四人は南にあるミスタリア共和国という場所に向かっていた。
ミスタリア共和国。国中にいくつもの運河が流れており、生活もその運河に合わせているらしい。そして、勇者が真の勇者か判断する神殿があり、ベルクはそこに呼ばれたわけだ。
ここで、帝国は○○帝国みたいな名称がないのはなぜだ? と疑問に思った人もいるだろう。帝国では強さこそが正義であり、一番強い者が帝王になり、国の名前を決める。そして、帝王は現在世代交代時期の用で一旦帝国とだけ呼んでいるようだ。ここまでの知識はニアからベルクに優しく伝えられた。
「ベルクお兄様。本当に私達もついていっていいのです?」
「二人の方が俺より確実に強いからね。距離あるし、それに行きたいって言ったのは二人だろ?」
「それはまぁそうですが」
実際、ベルクは同行してもらえて嬉しい所だ。長旅だし楽しく行きたい。それに、ロストギアが必要になったら、現状アンナ頼りだ。ベストメンバーと言える。
「そうだ閣下。閣下用のロストギア何か仕入れておきましょう」
「仕入れるっていったってどこでさ?」
「この先の峠を超えた所、傭兵向けにロストギアの中古販売が盛んな村があるんですよ」
「ああ、あそこね。知ってるわ」
引きこもって縄張り周辺しか活動しなかったほーちゃんが知っていたことに驚きだが、そういう場所があるのは嬉しい誤算だ。まずはその村へ向かおう。
「じゃ、アンナその村までよろしくね」
「はい閣下!」
アンナにサーモンタンクの操縦を任せ、目的の村へと向かった。
明かりのささない石造りの部屋。おそらく地下だろう。大きく幾何学的な召喚陣が描かれ、その中央には初代勇者が使ったとされる伝説の剣が置かれている。その召喚陣に向かい、2人の若き神官らしき人物は話し合っていた。
「本当にこれで大丈夫なんだよな?」
「ああ、指示された図面通り。後は満月の夜、つまり今日のもうそろそろ召喚陣が光……お、はじまったな」
外に出れば満月なのだろう。召喚陣の線に合わせて赤や青に光りなぞられていく。そして光が中央で交差したところでひときわまばゆく光った。
2人の神官は余りの眩しさに目を一瞬そらし、大事な瞬間を見逃してしまった。次に召喚陣の方をみたときには、伝説の剣を持つ2人にとっては不思議な格好……制服を着た女子高生が立っていた。
「へっ? えっ? えっ?」
女子高生は理解が追いついていないらしく混乱していた。腰まで伸びた黒髪に、しなやかで健康的なプロポーションであった為、神官たちは女神か天使でも呼び出したのでは? と思って見入ってしまっていた。
「なんてお美し……はっ! いかんいかん」
先に冷静さを取り戻した神官が跪く。それをみてもう一人も慌てて跪いた。
「異世界より現れし麗しの勇者様よ! どうかこの世界を救ってくださいませ!」
「……へ、勇者?」
「詳しい話は大神官様から……ささっ、こちらへ」
「んー、行くしかないかなぁ」
女子高生勇者は意を決してついていくことに決めた。




