↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
輝けるもの(上)   作者: 長谷川るり
PR
9/13

第9章 アクシデント

9.アクシデント


 次の夜、沙希がいつも通り仕事から帰宅すると、クローゼットの前にちょこんと置き去りにされた紙袋に気が付く。昨日青葉から、半ば一方的に手渡されたクリスマスプレゼントだった。しかし昨日は メキシコから届いた大きなキャンバスと 大地とのラブコールにすっかり気を取られ、思い出す事もなかった。どんな思いで これを選んで、寒い中いつ来るか分からない私を駅で待ち続けた青葉を思うと、申し訳ない気持ちが 胸の中に広がった。中に入っていた小さな箱を紐解くと、アクアマリンが小さく揺れるピンキーリングが いじらしく開けてもらえるのをじっと待っていた様に見える。驚いた沙希は、それを手に取る事もなくテーブルの上に置いて 暫く考え込んでいた。そして意を固めた様に青葉に電話をかけた。何も知らない青葉は 沙希からの電話を純粋に喜んでいて、かえって沙希は切り出しにくくなってしまうのだった。

「昨日お礼も言わないで・・・急いで帰っちゃって・・・ごめんなさい」

「気に入ってもらえた?」

沙希の返事に期待しているのが 伝わってくる。

「その事なんだけど・・・、あれ・・・受け取れないよ。ごめんね」

「どうして?!せっかく沙希ちゃんの為に・・・似合うと思って選んだのに・・・」

「その気持ちだけ・・・有り難く貰っておくから・・・」

「遠慮してるんなら・・・そんな事気にしなくていいんだよ。気に入ってくれれば、俺も嬉しいし。あっ、・・・ああいうの好きじゃなかった?」

「ううん、そうじゃないの。凄くかわいいんだけど・・・。遠慮してるわけでもなくて・・・」

人からの贈り物をつき返す事は、沙希にとって生まれて初めてで 青葉と会話を交わせば交わす程、心が痛んだ。言葉に詰まる沙希。頭を抱える沙希の口から出る言葉が滞ると、押しの強い青葉がまた何か言ってくるのを恐れたが、予想は的中した。しかもそれは、とどめにも似た鋭さを持っていた。

「彼氏がいたって、プレゼント位受け取ってくれてもいいんじゃない?」

しかし、その言葉が かえって沙希の背中を押した。

「私達・・・付き合ってる訳でもないのに・・・指輪なんて貰えない。ごめんなさい」

暫く息苦しい空気が立ち込める。今までひたすら沙希に想いをぶつけてきた青葉が黙ってしまうと、顔が見えないだけに 沙希は彼を案じ 言葉を繋いだ。

「せっかく頂いた物をつき返すなんて・・・本当、失礼だと思うんだけど・・・」

受話器の向こうから、まだ声は返って来ない。

「気持ちは有り難いと思ってるし・・・嬉しいんだけど・・・」

その時、生き返ったかの様に青葉が喋る。

「俺達・・・付き合ってるんじゃない事も充分わかってるし、沙希ちゃんには彼氏がいる事も分かってるよ。だから・・・指輪は指輪でもピンキーリングにしたんだ。小指位なら・・・重くなく、してもらえるんじゃないかって。俺だって一応考えてるんだよ」

そこで少し青葉は笑ってみせたりして、空気を和ませた。

「ねえ、はめてみてくれた?」

明るい声で聞かれ、沙希は思わず口を閉ざした。

「試しに一度してみてよ。お願い」

「青葉君・・・私・・・」

沙希の言葉がまるで聞こえていないかの様に遮ると、青葉は続けた。

「サイズぴったりだと思うんだ。ねえ、してみてよ。・・・返してくれていいからさ。その前に、せっかく俺が選んだんだから・・・一度くらいはめてもらいたいじゃない。俺の気持ち・・・わかってよ」

青葉のその切ない言い方に負け、そっと指輪を手に取って 右手の小指をくぐらせた。青葉の言う通り 何故かサイズがぴったりで、驚く程指に馴染んでいた。

「どう?」

呆気にとられたまま、沙希は指輪から目が離せないでいた。

「どうして?」

「ほら、ぴったりでしょ?やっぱり。良かったぁ」

「ねぇ、どうして私のサイズ・・・。しかも小指なんて、私だってサイズ知らないのに・・・」

当てずっぽうにしては自信あり気だった青葉の口ぶりに、沙希はどうしても その謎を解き明かしたかった。

「初めて会ったコンパの席で、指輪の話したの覚えてる?」

しかし あの時の記憶が沙希にはおぼろげで、自分が何を喋ったのか 思い出す事すら困難だった。

「あの時、9号だって・・・」

「でも、それって薬指でしょ?」

例えあの時指輪の話をしていたとしても、自分も知らない小指のサイズなんて喋る筈がない。沙希は迷路から一向に出られずにいると、そんな反応を少し面白がっていた青葉が やっと口を開いた。

「俺学生ん時、ジュエリーショップでバイトしてたんだ。だから大体分かるんだ。しかも薬指のサイズも聞いてたしね。良かった。俺の勘もまだまだ鈍ってないな」

明るい声はまだ続いた。

「俺から見た沙希ちゃんのイメージって、そんなんなんだ。アクアマリンみたいにほわ~っとしてて、優しくって、繊細な感じ」

昔桜井が、誕生日にダイヤのネックレスをくれた時の言葉を 沙希は一瞬思い出す。あの時桜井は、沙希の事をダイヤモンドみたいだと例えた。そして今、青葉はアクアマリンと言った。一体本当の自分は何なんだろうと ぼんやり考える。(もし大地から見える私が、プレゼントにくれた“my angel”と名付けた星だとしたら・・・。)

窓際に置かれた天体望遠鏡を見つめる。すると再び、青葉の声が耳に飛び込む。

「沙希ちゃんから見てさ、それ似合ってると思う?」

青葉のその言葉にハッとし、慌てて指輪を外して箱に戻す。

「ごめんね。やっぱり受け取れない・・・」

しかし青葉は引き下がらなかった。

「してくれなくてもいいから、持っててよ。引き出しの奥にしまっちゃってもいいからさ」

それ以上強く言い返す事は、沙希にはできなかった。釈然としないまま終えた受話器を元に戻すと、指輪もまた元の暗い箱の中に閉じ込められた。


 休日の出勤は普段と比べ 時間も短かったが、やはり休みなしの働き詰めは かなり沙希にも堪えてきていた。電車では あちこちで咳をする人も増え、マスク姿のサラリーマンやOLも多く見掛ける様になったが、沙希は何とか気合で乗り切っている様なものだった。時には朝の目覚ましが聞こえない時さえあり、沙希の体はかなり限界に近付いてきていた。しかし加賀美の相変わらずの目の下のクマと 顔色の悪さを思うと、めげてはいられないと 自分をしきりに奮い立たせるのだった。そしてまた 自分の父親がもし入院して病状が深刻だったらと思うと、自分の体が疲れて辛い事位 精神的な苦痛に比べたら 大した事はないと思えるのだった。そして改めて、両親や家族が元気でいる事に しみじみと感謝をするのだった。きっと加賀美にはクリスマスもお正月もないのだろうと思うと、自分が今いかに恵まれているかが分かるのだった。そんな事を考えながら いつもの時間に出勤すると、見知らぬ顔が一人 青山と同時に振り向いた。制服に着替えるや否や、青山に呼ばれるままに二人に近付く。

「今日からチーフにはお休みして頂く事になりました」

青山からのその一言で、沙希の中に 驚きの後に不安が沸き上がってくる。しかし間髪入れずに青山が続けた。

「そして今日から、こちらの城之内さんに来て頂く事になりました」

沙希がぼんやりしている内に、明らかに年上でキャリアもありそうな城ノ内に頭を下げられ、慌てて挨拶を返す。

「城之内さんは以前、大手のエステで働いてらしたんだけど、今年ご結婚されてお休みしているところに声を掛けて来て頂いたの。チーフの知り合いの方なの。もう知識も技術も充分ですので、あとはうちのやり方に慣れて頂くだけなんだけど、このサロンでは河野さんの方が先輩になりますので 宜しくお願い致します」

この青山の最後の言葉に、沙希は思わず耳を疑った。すると追い打ちをかける様に、青山が城之内に言った。

「こちらの河野さんは まだ若いけど、もう一人で店を開けられる位 このサロンの事は何でも知っていますから、色々と教わって下さい」

沙希は、この職場に入って初めて出来た立派な後輩に戸惑っていた。しかし、その日から早速先輩になってしまった沙希は、複雑な心境に 弱音を吐いてしまいそうだった。ある日突然、いつもと同じ様に朝出勤すると 自分には後輩が出来ていて、しかもその後輩が 沙希よりも 年齢も経験も上だなんて、全く予期していない事だった。その日は 変な神経を使って疲れたお陰で、肉体的な疲労を一瞬忘れる事が出来た。こんな時大地が傍に居てくれたら、きっとすぐに泣きついて 甘えて 依存して、沢山励ましてくれとねだったに違いない。でも現実 今ここに居ないのは、きっと神様が 私一人で越えてみろと言っているのかもしれない、そう思うと 自然と奥歯に力がこもり、メキシコの大地に電話をしようとしていた弱い自分を断ち切れた。その代りに、星を暫く眺めながら(大地だったら何と言ってくれただろう)と思い巡らせた。その晩は 寒気が日本列島をすっぽりと覆い、星は一段と輝いて沙希の目に映った。そして、大地に貰った夕日の絵を食い入る様に見つめて 沙希は祈った。大地が初めてメキシコの土を踏んだ日に見た夕日が 大地にエールを送った様に、今の自分にもその時と同じ様にパワーを下さいと・・・。すると何故だか自然と心もほぐれ、大した事ではない様にさえ 思えてくるのだった。

挿絵(By みてみん)

 

大地はいつも通り 仕事に行く準備をしていると、玄関をノックする音がする。ジルナはもう既に学校から帰り、荷物を置いて バイトに出ていたし、ペレスもまだ仕事から帰ってはいなかった。大地が玄関を開けると、ノックの主はターシャだった。その顔を見ると同時に、先日のターシャの家の前での出来事を思い出す。

「ペレスは居ないよ」

ターシャの笑顔に嫌な予感を感じながら、とっさにそう言った。するとターシャは 大地の肩越しに中を覗き込んで、家の中を指さした。

「入ってもいい?」

「俺、もう仕事行くから・・・」

大地は断ったつもりだったが、ターシャにはそうは伝わってはいなかった。

「すぐ帰るわ」

当たり前の様に中に入って、ダイニングで足を止める。

「クリスマス、誘ってもくれなかったわね。待ってたのよ、期待して。仕事だったんでしょ?」

一体何のつもりなんだと心の中で呟きながら、大地は頷いた。

「大地はシャイなのね。あれから連絡もくれないし」

「俺・・・」

この際はっきり言おうと、大地の心ばかりがはやって 言葉が上手く出て来ない。こんな肝心な時に何で、というジレンマだけが渦を巻く。すると、大地の言葉が続かないのをいい事に、ターシャがニヤリとする。

「アカプルコ行きのチケット、取っちゃった」

大地は あまりにも強引なターシャの行動に少し呆れ、しかめっ面をする。

「ごめん。俺行けないよ」

日本では考えられない程つっけんどんに言い放つ大地。

「どうして?私の誕生日 お祝いしてくれるって言ったじゃない。ホテルだって 知り合いに無理言って やっと取ってもらったのよ」

「なんで君と俺が 二人で旅行に行くんだよ。君は俺の恋人じゃないし・・・」

大地も必死になって喰らいついて行ったが、頭に血が昇れば昇る程 しどろもどろになるのだった。

「ホテルだって、部屋からビーチが見えるロマンチックな・・・」

こんなにがむしゃらになって断っているのに、まだそんな事を言ってくるターシャが 大地には何故かもぐら叩きのもぐらの様に思えてならないのだった。そして大地は、渾身の一撃を与える。

「君に興味ないんだよ」

その途端、空気が一転する。一瞬凍りつくと、それまで強気で自信満々だったターシャの顔が みるみる内にしおらしい女の子の顔に色を変え、大きな瞳には涙さえ潤んできた。そこで初めて大地は ターシャも普通の女の子だったんだと気が付く。何だかまるでゴキブリでも殺すかの様な勢いで、ターシャの心を叩き潰した自分を反省した。

「ごめん。俺・・・君の事は・・・ペレスの友達だと思ってる。それに俺は、日本に大切な恋人もいるし・・・。君のお誕生日も 二人っきりでお祝いはしてあげられない。ごめん」

暫く黙って俯いていたターシャは、今までとはまるで別人の様だった。

「日本に恋人が居てもいいの。諦める。ここで私と、楽しく遊んでくれればいい」

「俺には出来ない。日本の恋人に嘘つく事も、君と遊びで付き合う事も出来ない」

そして少し悲しげな目でターシャを見ると、深く息を吸い込んだ。

「もっと・・・自分を大事にした方がいいよ」

何か考える様に首をうなだれていたターシャが 顔を上げる。

「私に想い出をちょうだい」

何を言い出すのか、大地は次の言葉を待った。

「私と一日だけデートして欲しい。そしたら私、諦めるから。お願い」

そう話すターシャの表情に、今までの様な 強引で自信満々で自分本位な面影は全くなかった。本当の彼女はこんな人間なのかなと 大地も少し思い始めていた。

「考えておくよ。必ず返事するから。悪いけど俺、仕事行く時間だから・・・」

いつもより進んでしまった針を気にしながら、大地は素直に 且つ引き止めた事を恐縮しながら帰るターシャの背中を見送った。


 サロンでも帰り際に『良いお年を』と見送る事が多くなり、いよいよ一年の締めくくりが近い事を 誰もが実感した。沙希も後半何かと忙しかったが、何とか乗り切ったなとホッとしていた。大掃除を終え 今年最後のサロンを後にする前に沙希は、店長の青山に一年のお礼を込めて『お疲れ様でした』と挨拶をした。すると青山も深々と頭を下げて言葉を返した。

「本当に今年一年お世話になりました。河野さんのお陰で随分助かりました。疲れたでしょう?年末年始ゆっくり休んでね。来年も 成長ぶりを期待してます。また宜しくお願いしますね」

青山からのこんな何気ない労いの言葉が 今の沙希には何よりものご褒美で、どんな栄養ドリンクよりも効き目がある様に思えた。

 そして最後に沙希は 気になっていた事をそっと青山に尋ねてみた。

「チーフのお父様の具合は・・・」

「意識は戻られたらしいんだけど・・・まだ時間が掛かるらしいから・・・。随分沙希ちゃんにも心配掛けちゃったわね。だけど峠は越えたってお医者様に言われて、チーフも少しホッとしたみたい。沙希ちゃんも このお休みで、ご両親にいっぱい親孝行させてもらいなさい」

チーフの所も早く良くなって 明るい春を迎えられます様にと祈る気持ちで、沙希はサロンを後にした。

 

その日は大掃除のみで、こんな早い時間に帰れる事に とても得をした様な気持ちで駅まで歩いた。それでも冬の6時と言ったら やはり真っ暗で、寒い事に変わりはなかったが、少しウキウキさえしていた。だからといって寄って行く所もなく、帰ってするのは せめて家の大掃除位のものだった。そんな事を考えながら ホームへの階段を一段一段頭の中で数えたりしながら昇ると、上りの電車を待つ一人の180cmの男が目に入る。何故か隠れる様にして ホームの後方へいそいそと逃げ込もうとしたが、やはり背後から声がする。子供の頃、かくれんぼをして 一番に見つかってしまった様な情けない気持ちで振り返る。

「今日は早いね。どうしたの?」

「今日は大掃除だけだったから・・・」

何故か笑顔がひきつる。

「また会っちゃったね。偶然が二度もあると、何か縁を感じるね」

嬉しそうに話す青葉を 沙希は少し他人事の様に感じながら、ホームに流れるアナウンスに耳を傾けた。

「今どっかで人身事故があって・・・電車が止まってるって・・・聞こえた?」

青葉は首を傾げ、二人はもう一度アナウンスが流れる事を願って耳を澄ましたが、聞こえてくる事はなかった。しかし、まもなく上りホームに電車が到着し、少しホッとした気持ちで乗り込む。

「明日からお休み?」

青葉が隙間を埋める様に話し掛ける。

「うん。青葉君も?」

ホームでの突然のアナウンスに気を取られて、最初に隠れようとした気持ちは どこかへいなくなっていた。そして仕事初めが4日だと言う青葉に対し、5日迄お休みの沙希が 再び他愛もない話に相槌を打とうとした時、車内アナウンスが耳に飛び込んできた。根岸線の山手~根岸駅間で人身事故があり、横浜~磯子迄の上下線とも不通となっているというニュースだった。沙希が固まっていると、青葉も気が付いた。

「沙希ちゃん、根岸線だよね?」

「どうしよう・・・」

「JRが振り替え輸送する事もあるし・・・横浜駅で聞いてみよう。・・・急いでるの?」

「ううん。そういう訳じゃないけど・・・」

横浜駅で降りると、そのせいかバタバタとしていて 所々駅員に群がる人々で混乱していた。

「沙希ちゃん、こっちおいで」

少々戸惑っている沙希の腕を取り、青葉がホームを降り 駅員を捕まえて状況を把握していた。今のところ、運転再開の見通しは立っておらず 振り替え輸送も出てはいなかった。

「青葉君、ありがと。何とか・・・帰るから」

「どうやって?」

「地下鉄で関内まで出て・・・そこからはタクシーかな?」

一瞬青葉の視線が上へ走り 思考を巡らし、そして思い付いた様に また沙希の腕を取る。

「とりあえず、出よう」

多少引きずられる様にして青葉について行きながら、沙希が慌てて後姿に声を掛ける。

「私 大丈夫だから、青葉君 電車乗って帰って。改札出る事ない・・・」

そう言っている矢先から 青葉の定期券は 自動改札に吸い込まれていった。とりあえず二人で改札をくぐった後、まだ間に合うと 今度は沙希が青葉の腕を掴んだ。

「本当、大丈夫だから。ありがとう。青葉君 京急で・・・」

すると180cmの長身が、上から沙希に微笑みかけた。

「飲みに行こうよ」

とっさに声を発する事も忘れる程、その言葉に驚かされる。

「飲んでる内に、電車走り出すかもしれないし。それに、沙希ちゃん さっき急いでないって言ってたし」

沙希はうかつだったなと反省したが、もう時既に遅かった。

「だけど・・・」

そうは言ったものの、断る理由が思い浮かばない。

「俺も改札出ちゃったし・・・付き合ってよ。お腹も空いちゃったんだ」


結局沙希は、西口にある居酒屋のカウンターで 青葉と二人並んで乾杯をする事となった。沙希は心の中で、早く切り上げようと 勝手な思いを巡らしていた。とりあえず生ビールで乾杯を済ませると、沙希は 渇いていた喉を潤そうと そして、早く飲んで早く帰ろうという両方の思いから あっという間に中ジョッキを空けた。すると、その勢いにびっくりしながらも 調子を合わせる様に青葉もジョッキを空にした。

「沙希ちゃん、日本酒飲める?」

「うん、大好き」

何故そこで『飲める』ではなく『大好き』と答えてしまったのか、沙希にも分からなかった。そしてその一言から 冷酒へと移った二人は、さしつさされつでお酌をするうちに、段々と沙希は アルコールが体内に充満してくるのを実感した。いつもにしては これっぽっちの量の筈なのにと、沙希は必死に平静を装った。空きっ腹の駆けつけ一杯が効いたのか、それとも・・・。12月に入ってから殆ど休みなく働き続け、疲労のピークにあった事を沙希は思い出した。そのせいで今自分が ふわふわとした夢心地の世界へと誘導されつつあるのだ。沙希は、早く飲んで早く切り上げ様等と無謀な考えを起こした自分を後悔していた。

「今日はあんまり飲まないね。沙希ちゃんて、お酒強かったよね、確か・・・」

確かに 決してお酒は弱い方ではなかったし、外で飲んで へべれけになった経験もない。唯一 気楽に酔っぱらったのは、大地と一緒に居る時だけだった。沙希が少々酔っている事に、案の定 青葉が気が付いている様子は全くなかった。だからこそ、酒の進まない沙希をかえって気に掛け こんな事を言い出した。

「俺の事、警戒してるの?」

「まさか!」

自分をカモフラージュしようとする気持ちと 酒の勢いが混ざり合って、大袈裟な程の明るい笑顔で 青葉の方を向いた。

「久し振りだね」

「えっ?」

酒が沙希の頑なな心をほぐしたまま 聞き返す。

「ちゃんと笑ってくれたの、久し振りだね」

「そうかな・・・」

少し気まずい気持ちで、冷酒を一口ぐっと飲む。その瞬間、しまった!と気が付くが、もうお酒は沙希の喉をサッと通り過ぎ しっかり胃まで流れ込んでいってしまった。

「いつも強引で嫌われてるけど、そうでもしなかったら 自分の番来ないからね」

「嫌ってなんて・・・」

ついつい情が出る。しばしの間、青葉が鶏の唐揚げを頬張る。それを何となく眺めながら、確実に酔いは 沙希のガードを緩めていった。ガラスのおちょこに並々と満ちた日本酒を ぐいっと青葉が飲み干すと、口を開いた。

「彼氏の事って・・・聞いてもいい?」

「いいけど・・・」

突然大地の事を引っぱり出され、胸がドキドキする。

「なんでメキシコに行っちゃったの?仕事?それとも留学?」

静かに首を横に振る沙希の頭の中では、初めて大地にメキシコ行きを告げられた時の光景が 走馬灯の様に、そして鮮明に思い出されていた。

「自分を試しに行きたいって・・・。何もないところで、一から 自分がどこまで出来るか・・・。それで・・・行っちゃった・・・」

遠い目をした沙希を隣に感じながら、青葉も声の調子を合わせる。

「エネルギッシュな人なんだ。・・・時々は、連絡もあるの?」

カウンターの中に見える板場の焼き方が、ほっけの焼き色を確認するのを何となく目で追いながら、沙希は薄っすらと笑みを浮かべる。

「定期的に絵葉書きもくれるし、たまに電話も・・・ある」

「じゃ・・・淋しくなんかないね」

すると 途端に口をつぐんで俯く沙希に、青葉は冷酒のボトルを傾けてみせた。すると沙希も少し照れた様に笑いながらお酌を受け、また一口二口と喉へ流し込んだ。

「青葉君は、遠距離ってした事ある?」

今までも数え切れる程しかない沙希からの質問だった。

「遠距離はないなぁ。大学ん時の彼女とは、それぞれ就職が決まって むこうが研修で静岡行ってたんだ。その2週間の間に、彼女が 一緒に研修に来てた男と浮気しちゃって・・・。俺がそれを許せなかったんだ。たかが2週間じゃ、遠距離とは言わないもんね」

初めて聞く青葉の過去の恋愛話に 少々驚きながらも、沙希はまた質問をした。

「2週間・・・平気だった?やっぱり長く感じた?」

「・・・長かったねぇ・・・」

そこで青葉は、またぐいっと盃を空ける。沙希が 空になった青葉のおちょこに酒を注ぎながら言った。

「そうだよね。私も昔だったら 2週間離れ離れなんて考えられなかったと思う。でも・・・人間って、ほんと 慣れる動物なんだね」

すると青葉が、沙希の横顔をじっと見つめて こう言った。

「もう・・・慣れたの?」

そう聞かれ、自分の言った言葉の矛盾に少し吹き出しながら、沙希は再び カウンターの中へと視線を投げた。

「慣れてはいないか・・・。でも最初の頃に比べたら、色んな事をなるべく一人で頑張ろうと思える様になってきた。昔だったら、すぐ頼って 寄りかかって・・・彼に依存しっぱなしだったから・・・」

青葉はカウンターに肘をつき、隣の沙希を愛おしそうな目で見つめた。

「沙希ちゃんは・・・甘えん坊なんだ」

「何でかなぁ。大地といると、そうなっちゃうんだよね・・・」

そう言ってからハッとする。すっかりぼんやりしながら、肩の力も抜けた状態で、まるで 自分の部屋にでも居るかの様な錯覚を起こし、青葉の前で無防備に しかも『大地』と名前さえ口走ってしまった自分の口を 慌てて手で押さえる。

「ごめんなさい。何か私・・・ボケッとしちゃって・・・」

照れ隠しにおちょこを口へ運んでみるが、中は空っぽだった。更に慌てて お酒を注ごうとボトルに目をやると、それも中は空だった。

「同じのでいい?」

それを全て見ていたかの様にタイミング良く、青葉が聞いてくる。とっさに頷いてから、またハッとする。そして遅ればせながら 何気なく時計に目をやり、もそもそと切り出してみる。

「そろそろ帰ろうか・・・。お酒も空いた事だし」

「もう頼んじゃったから・・・。じゃ、これ飲んだら行こうか」

青葉がトイレへ席を立っている間、沙希はさっきの元カノの浮気話が気に掛かっていた。青葉が戻ってくると、早速その事を聞いてみる。

「どうして彼女が浮気したって分かったの?」

青葉は、一呼吸おいてから話し始めた。

「2週間待ちに待って会ったのに、彼女の態度が何かおかしくてさ。はじめは、研修で嫌な事でもあったんじゃないか とか、これからの仕事に対して不安になったりしたんじゃないか とか、色々気を回して問い詰めたんだ。そうしたら、ついに彼女が自分から そう言ったんだ。そん時、俺の中の 何か糸みたいな物がぷちっと切れた感じがして・・・もういいやって。彼女の、素直で正直なところを好きになったのに、何か皮肉だなと思ったよ。その時は 正直すぎるのもどうかなと思ったね。自分が問い詰めたくせに、本当の事知ったら 途端に 嘘つき通して欲しかったって思ったり。人間って勝手だよね」

「・・・・・・」

「沙希ちゃんは・・・彼氏の浮気とか、心配にならない?」

聞き入ってしまったからか、すっかり相槌もない沙希に青葉が問いかけた。すると、俯いたまま 箸の先で小鉢を突きながら、

「・・・心配しない人なんて、いるのかなぁ・・・」

そう自分の口から出た矢先、メキシコへ発つ前夜の大地の言葉を思い出す。『不安じゃないけど淋しい』・・・大地は二人の関係を、離れても不安じゃないと言った。それはきっと、沙希を信じてくれている以前に 自分自身の気持ちに確信を持っていたから言えたに違いない。しかし今はどうだろう。実際離れてから5か月が経とうとしている。その間 全く別々の生活があり、新しい人間関係も生まれた。それでも大地は、二人の関係を『不安じゃない』と言い切れるのか。沙希の胸には 雨雲がじわりじわりと立ち込めつつあった。そんな自分の邪念を振り払う様に 一口お酒を飲んだ。追加で注文したお酒もすっかり飲み干されると、二人は席を立った。


ビルの4階にある この居酒屋の自動ドアを出て、エレベーターの[↓]のボタンを押す。

「無理に誘ってごめんね。でも良かった。沙希ちゃんと色んな話出来たから」

そう言いながら下りてきたエレベーターに二人で乗り込み、『1階』のボタンを押す。じきにドアが閉じ、エレベーターが下に降り始めた途端の事だった。突然ガタンという大きな衝撃の後、エレベーター内の電気は落ち、二人を乗せた鉄の箱は宙ぶらりんで止まってしまった。あまりにも突然のアクシデントに 沙希はすっかり身を縮めてしまい、エレベーターの隅へとしゃがみ込んでしまった。真っ暗闇の中で、青葉の声だけが響く。

「沙希ちゃん、大丈夫だからね」

返事の無い沙希を探している様子で、青葉の手がしゃがみ込んだ沙希の頭にかする。暫くして 暗闇にも目が慣れてきた頃、青葉が非常用のボタンを探す。足元で縮こまる沙希に言葉を掛けながら、何とかボタンを探し当て押してみる。

「大丈夫。今連絡取って、きっとすぐ来てもらえるから」

二度ほどボタンを押した後、ようやく管理センターと繋がる。青葉が手際よく状況を説明し 助けを求める。

「これから向かいます」

という声に、二人 少しホッとする。

「ごめんね、こんな事になっちゃって。やっぱりあの時、お酒の追加やめて帰ってれば良かったのかな・・・」

「そんな・・・。別に青葉君のせいじゃないよ」

真っ暗な中で、青葉は壁に寄り掛かりながら 首をうなだれた。冷たく狭い箱の中で、長い沈黙が訪れる。すると沙希が、恐る恐る声を出す。

「青葉君も座ったら?立ってたら・・・疲れちゃう」

言われるままに腰を下ろす青葉のゴソゴソとした物音だけが 小さな箱に響き渡る。沙希は 息をするのさえも気を遣うほど、色も音もない世界に押し潰されそうになっていた。

「何か話して。じゃないと・・・何だか・・・怖くなっちゃう」

「あっ、そうだね。ごめん」

そして一呼吸おいてから、

「非常用のライトが点くらしいんだけど・・・つかないね。どっかにスイッチがあるのかな」

そう言いながら青葉が立ち上がって スイッチを探しに行こうと一歩踏み出した時、足元にしゃがんでいる沙希の足につまずき 大きくよろけた。真っ暗な中で慌てて青葉が手をつこうとすると、運悪く 沙希の右肩にぶつかる。あまりにもとっさの出来事に 悲鳴を上げる間もなく、次の瞬間には倒れた沙希の上に青葉が覆いかぶさっていた。

「ごめん」

必死に起き上がろうと 青葉が右手を床に着こうとすると、またもそこには沙希の左腕があり、もがけばもがく程足がもつれ 絡まって 言う事をきかないのであった。やっと体勢を立て直した青葉が ハッと気が付く。さっき足につまずいてから今まで『きゃーっ』とも何とも、悲鳴はもちろん 声すら聞こえない。

「沙希ちゃん、大丈夫?痛かった?・・・ごめんね」

恐る恐る下の方に声を掛ける。

「うん・・・平気・・・」

消え入りそうなか細い声が返ってくる。

「暗くて足元がよく見えなくて・・・つまずいちゃって・・・」

言いながら青葉は、自分の言い訳じみた台詞が かえって勘違いされるのではないかと焦って 口を閉ざす。しかし再び沈黙が流れると、何故かまた後悔しそうな言葉ばかりが青葉の口から溢れ出す。

「本当、わざとじゃないんだ。誤解しないで。俺 沙希ちゃんの事好きだし、今までも結構強引にしてきたけど・・・今のは本当 たまたまで・・・。無理矢理・・・沙希ちゃん傷付ける様な真似はしないから」

「分かってる・・・」

力の無い沙希の返事に 多少不安を残しながらも、青葉はそれで口をつぐんだ。青葉はポケットからライターを取り出し、階数ボタンの辺りを炎で照らした。それまで暗闇だった中に ポッと一点灯った灯りに お互い顔を見合わせる。気まずさが漂う。青葉はすぐさま向き直り、非常用のライトのスイッチを探し始める。が、諦めてライターを消し 又座り込んだ。今度はさっきよりも沙希との距離を空けて。

「どれ位で来るかなぁ」

まるで独り言の様に言いながら もう一度ライターを点けて腕時計を見る。店を出てからまだ約15分しか経っていないのに、もう一時間位閉じ込められている様な気分だった。そして空気を変えようと、青葉が思いつきで話題を作る。

「沙希ちゃんって、子供の頃どんな子だった?」

あまりに根拠のないテーマに 沙希が対応できずにいると、青葉が口を開いた。

「俺、サッカーばっかりやってる子供だったんだ。俺一人っ子でさ、小さい頃体が弱かったらしいんだ。だから親が、運動でもやらせて強くしようって 少年サッカーチームに入れたんだ。それが俺には何よりも楽しくって、毎朝学校行く前に 庭でボール蹴って遊んで、学校から帰っても 友達と毎日サッカーして、日曜はサッカーチームの練習で一日終わって・・・。親父がある時 庭に小さいサッカーゴール作ってくれて・・・嬉しかったなぁ。小学校の頃の思い出って、学校の事よりサッカーしてた事の方が 今の俺には印象に残ってるんだよね。中学に行ったらサッカー部があるって聞いて、それからは早く卒業したくて 待ち切れなくて、放課後中学の校庭に練習見に行った位なんだ。その頃の俺の夢は、もちろんサッカー選手になる事。どんな子供だったか、想像つくでしょ?」

「でも青葉君、前 高校ではアイスホッケーやってたって・・・」

十年以上昔の懐かしく可愛い話に、沙希もすっかり居酒屋での自分に戻っていた。

「高校は俺、私立の付属だったから 中学からの友達もいなかったし、そこはサッカーが弱くて 毎回予選落ちの常連校だったんだ。『勝たなきゃ意味がない』ってあの頃の俺は いつの間にか一番になる事とか人に勝つ事ばかりにがむしゃらになってて、2番3番ならビリと同じだと思ってたんだ。そんな弱いチームに入ったって面白くないって あっさり諦めたんだ。小さい頃はただボール蹴飛ばしてるだけでも楽しくて、あっという間に日が暮れちゃったもんなのに・・・。そんな時に クラスで仲良くなった友達に『アイスホッケーやらないか?』って誘われたんだ。そいつは そこの付属の中学から上がって来てて、中学一年からアイスホッケーやってて 凄く面白いからって。俺がサッカーやってたって言ったら、その経験が活かせるから すぐ上手くなるって言われて。結局その言葉に乗せられたんだけどね」

「じゃ、やっぱり すぐに上達したの?」

「まさか。アイスホッケーは氷の上だからね。まずはそこからだったよ。暫くは ホッケー部に入ったってより、それ以前のスケートの基礎からしごかれたから やっぱりすぐ辞めようと思ったね。だけど すごく良い仲間とか先輩とかコーチのお陰で、少しずつ自分自身が変わっていったんだ。勝つ事だけに意味があると思ってた高飛車な自分の 何の役にも立たないプライドが捨てられたのも、そのお陰かなと思ってる」

何故かその時、青葉がとても大きく大人に 沙希の目に映った。

「ごめんね、俺ばっか ベラベラ喋っちゃって。沙希ちゃんは何か部活とかやってたの?」

「私なんて全然大した事ないの。中学の時に、少しテニスやってたくらい」

知らず知らずのうちに沙希の顔はほころんで、停電の中でも 声に笑顔が乗っかって 鉄の箱に響いた。

「テニスかぁ。イメージだなぁ。俺も遊び程度なら出来るから、今度テニスやりに行こうよ。・・・って、あ・・・スケートも半分断られてるのに・・・行く訳ないね」

青葉が後に言葉を付け加えていなければ 思わず『うん』と言ってしまっていたかもしれない自分に、内心戸惑いながら 沙希は無意識にネックレスに手をやった。しかし、タートルネックの上にしていた筈のネックレスが無い。途端に慌ててガサガサと手探りで探し始めると、沙希の異変に青葉が気付く。

「どうしたの?」

「ないの、ネックレスが・・・。確か 仕事から帰る時はしてたと思うんだけど・・・」

「さっき俺が倒れてぶつかった時かな・・・ごめん」

すかさずポケットからライターを出し、火を灯す。

「そんなに遠くには飛んでないと思うんだ。大丈夫。きっとこの中にあるよ」

青葉は炎のか弱い灯りを頼りに、床をなめる様に探し始めた。そして沙希も 自分の服の隙間を丹念に確認する。少しずつ少しずつずれながら 青葉が床を這っていると、青葉の手が沙希の手にぶつかる。

「あっ・・・ごめん」

反射的にそう言った後、青葉が言った。

「手・・・冷たいね。・・・寒いんでしょう?」

「ううん。大丈夫」

沙希もまた反射的にそう言ってみせたものの、実際は身体の芯まで冷え切っていて、歯がガチガチと震えるのを さっきからずっと堪えていたのだった。すると一旦灯りが消え、再び二人は闇にのまれた。青葉のガサガサとする物音だけが存在を主張していた。暫くして、また一点のほのかな光に青葉の姿が浮かび上がる。

「これにくるまってなよ。風邪ひいちゃ大変だから」

「でも・・・青葉君こそ風ひいちゃう」

「俺は男だし、体力あるから」

そしてもじもじする沙希を、今脱いだ自分のコートにくるんだ。青葉のよこしたコートには まだ青葉の体温が残っていて、ほのかに温かさを感じながら 沙希は、ドキドキと胸が高鳴る自分を必死で戒めていた。足元で沙希のネックレスを黙々と探し続ける青葉が声を上げる。

「あっ・・・」

「あった?」

沙希も現実に戻り、期待の声を出す。

「じゃなくて・・・ストッキング・・・」

慌てて 青葉の遠慮がちに指さす自分の膝を覗き込む。ゆらゆらと揺れる炎の灯りで かろうじて見えたのは、ストッキングに開いた大きな穴と そしてそこから伝線している無様な姿だった。

「やだ・・・」

照れながらバツが悪い思いで、膝を手で覆う。

「ごめん。さっきの・・・俺のせいだね・・・。どうしよう・・・」

頭を抱えた青葉が、また叫んだ。

「あった!」

さっきのストッキングの時とは打って変わって、力強く指さす先を見ると こちらの照らす僅かな光を 一粒の真珠が跳ね返していた。安心した様子で 青葉がそれを拾い、沙希に手渡そうとした一歩手前で もう一度自分の目の前へ引っ込める。

「切れてる・・・」

すっかりストッキングの事も忘れ、沙希も覗き込む。

「チェーンが・・・ごめん。きちんと直して返すから」

「大丈夫。見付けてくれただけで もう充分。ありがとう。あとは自分でやるから」

「だって・・・大事な物なんでしょ?彼氏からのプレゼント?」

「そんなんじゃ・・・ないの」

「俺の責任で直させてよ。ちょっとした伝手で、今晩にでも修理出せるからさ」

「・・・あ、前バイトしてたってお店?」

「ま・・・ね」

何故か言葉を濁し気味に、スーツの内ポケットにネックレスをしまった。すると再び 静寂と闇と寒さが三拍子揃って 一気に狭い箱の中に充満した。光の無い世界が こんなにも人を孤独な気持ちにさせるのかと噛みしめながら、先の見えないトンネルの中で ただ待つ事しかできない歯痒さも同時に感じていた。

「遅いね・・・。もう一度呼んでみよう」

沙希と同じ様に感じていたのか、しびれを切らし 再び管理センターを呼び出す。しかし返ってきたのは『今向かっていると思いますので、もう暫く頑張って下さい』という、何の励ましにもならない言葉だけだった。

「ごめんね。もうけっこう限界でしょ?」

きっと思いは同じ筈なのに、こんな時でも気に掛けて 優しく声を掛けてくれる青葉の本質を、今まで自分は全く見ようともしなければ 気が付きもしなかった事を沙希は反省していた。

「元はと言えば、私の電車のアクシデントに付き合ってくれたんだもん。私の方こそ謝らなくちゃいけないね」

青葉が少し鼻をすすりながら言った。

「もっと俺がこんな時、気の利いた話でも出来たらいいんだけど・・・。沙希ちゃんから見たら・・・頼りない男でしょ?」

いつになく弱気な発言をする青葉に顔を向けるが、闇のヴェールに包まれていて その様子を窺い知る事はできなかった。

「青葉君らしくないね。そんな事言うなんて」

どんよりとした空気を変えようと、そして少し弱気な青葉を励まそうと 沙希は軽く笑いながら そう言ってみせた。すると、その甲斐あってか 青葉の声にいつもの張りが戻る。

「いっつも強引で、自信たっぷりで・・・って 俺の事そう思ってるんでしょ?」

「自信たっぷりとは思ってないけど・・・」

「じゃ・・・沙希ちゃんの気持ちに鈍感な男だと思ってるんでしょ?『どうして私が嫌がってるの分からないの?』って。・・・気が付いてるよ。俺だって馬鹿じゃないから、好きな子の気持ちくらい」

沙希は正直胸が痛んだ。そんな自分にすっかり動揺して言葉を失っていると、青葉が後を繋いだ。

「ただ・・・自分の気持ちに正直に生きてるだけ。俺・・・後悔したくないから。・・・ごめんね」

最後に、照れ隠しか 笑ってみせる青葉の声が虚しく そして悲しく鉄の箱にこだました。先程の青葉の笑いながら言った『ごめんね』が 沙希の耳にこびり付いて離れなかった。


 久し振りの休日で 目覚ましに叩き起こされない幸せを満喫して、昼過ぎになって やっと起き出す沙希。パジャマのままリビングに下りていくと、今日から仕事が休みになった母親は 家中の大掃除をしながら おせち料理の準備をしていた。

「良く眠れた?久し振りのお休みだものね。今日はどこか出掛けるの?」

「ううん。着替えてきて 今手伝うから」

伸びをしながら部屋に戻ろうとした時、電話が鳴る。母に手で合図をして、近くにいた沙希が受話器を上げる。

「青葉と申しますが・・・」

何故かドキドキしながら、いそいそと部屋に逃げ込む。

「昨日はごめんなさい。どうもありがとう」

「こっちこそ」

お互いにどこかそわそわしていて、会話が止まってしまう。

「もう起きてた?・・・よね」

「うん」

沙希がそう答えて、また止まる。

「・・・って言っても、今さっき起きたばっかりなんだ。久し振りのお休みだったから・・・」

何故か今までよりお喋りになっている沙希が そこにはいた。

「ネックレスの事だけど・・・」

「ごめんね。すっかり甘えてお願いしちゃって・・・」

「明日出来上がるって。良かったよ。今年中に間に合って」

「そんなに急いでもらわなくても大丈夫だったのに・・・かえって悪かったみたい・・・」

恐縮する沙希を和ます様に 青葉はそれを軽く笑い飛ばしながら、それを否定してみせた。

「明日俺が受け取ってきてから届けてもいいんだけど、沙希ちゃん家・・・俺知らないし・・・」

そこまで聞いて、慌てて青葉を制する。

「まさか!私、自分で取りに行くよ。そこまで青葉君に迷惑かけられない」

「店・・・田町なんだ。駅からも・・・説明しづらいし。待ち合わせしようよ」

「結局付き合わせちゃうんだね。ま、でもお礼もしたいしね」

何の戸惑いもなく すらすらと口から滑り出した言葉に、沙希自身一つも違和感を感じてはいなかった。


 久し振りに家でゆっくり くつろぎながら夜の時間を過ごしていると、メキシコにいる大地から 意気揚々とした声で電話がかかってくる。何か良い事があったんだなと、すぐに気が付く。沙希の胸も高鳴った。

「俺今働いている所で ずっと清掃とウェイターとして雇ってもらってただろ?そしたら昨日突然さ、オーナーから『お前ギターもベースも出来るんだって?』って聞かれたんだ。それで、もし良かったらうちの生バンドでギターやってみないか?って言われて、早速昨日の夜の営業からバンドに加えさせてもらったんだ。そしたら、お客さんの反応も良かったんで、帰りにオーナーが『これから毎日これでやってみないか』って。俺もうすっごく嬉しくって、興奮しちゃって」

大地の興奮は、電話からも充分に伝わってきていた。そして喜んでいる様子が、沙希には手に取る様に想像が出来た。

「おめでとう!良かったね。今まで頑張ってきた甲斐があったね」

思わず涙ぐみそうになる。

「俺の事覚えててくれた常連さんも居たりしてさ。曲の合間にビール持って来てくれて『様になってるよ。良い音出してる。頑張って』なんて言ってくれたりしたんだ。嬉しかったなぁ」

「真面目に頑張ってると、ちゃんと見ててくれる人がいるんだね。本当、私まで すっごく嬉しい・・・」

とうとう涙声になる。

「真っ先に沙希に言いたくて。でも仕事でまだ帰ってないと思って、朝まで我慢したんだ。だけど、ソワソワして結局あんまり眠れなかった」

笑っている大地から、まだ興奮状態が抜けきらないのを感じさせる。

「今日から仕事休みだったの・・・。言っておけば良かったね」

「な~んだぁ。でも言えて良かった」

安心した様子の大地の声を聞いて、沙希もしみじみと口を開く。

「一番に私にって思ってくれて、ありがとう」

「当ったり前だろう。俺の原動力は沙希なんだから。沙希が俺の一番の理解者だと思ってる」

思わず胸がいっぱいになる。込み上げる涙を堪えるのに精一杯で、何も喋れずにいるのを察し 大地が話題を切り替える。

「今日からお休みかぁ。一年間仕事ご苦労様。どう?何も変わった事ないか?」

加賀美チーフの代わりに入ってきた 沙希の後輩に当たる人の事を話そうかどうしようか迷っていると、大地がそれを打ち切った。

「この間電話で話したばっかりだもんな。・・・何もないか」

大地の問いかけの後に流れた沈黙に 沙希の迷いが込められていた事に気が付かない大地は、気を利かせたつもりでそう言ったが かえって残酷な結果となった。

「そうだね。こっちは大丈夫」

それでも言おうと思えば言えた筈なのに、言わない事を選んだのは これも沙希の選択だった。うじうじとした自分の話をしたら、せっかく灯った大地の明るい希望の光をも一瞬にして消してしまいそうで、怖かったのだ。

「でも、何かあったら いつでも電話して来いよ。俺の寝てる時間でも気にしないでかけて来い。その位わがままになったって、沙希はいいんだから」

再びチャンスが訪れた。しかし、やはり沙希は“言わない”道を選んだ。

挿絵(By みてみん)


 師走の一番最後の日は、やはり街中がせわしなく動いている様に見えて 落ち着きがない。沙希はネックレスを受け取りに行く為 電車に乗った。車内には 今年最後の買い出しに出た者、冬休みを満喫する学生達。お爺ちゃんやお婆ちゃんに手を取られ、お出掛けの帰り 疲れて眠ってしまう子や 興奮冷めやらぬままお菓子を頬張る子供達等、本当に様々な人間模様が交錯していた。午後の陽が傾き始めた車内で、吊り革につかまりながら 沙希は一年前のこの日を思い返していた。由美姉に誘われるままに参加した飲み会で、ばったりと大地と再会した時の光景が甦る。大地がメキシコに発ってから 仕事が忙しくなったせいもあるが、すっかり由美姉とも疎遠になってしまっていた。千葉の実家に帰る事もないだろう由美姉に、お正月にでも電話してみようかと思った。大地との事を『どう?』と聞かれたら、私は何と答えるのだろう。『すごく上手くいってるよ』そう言うのか。それとも『大地はむこうでいきいき頑張ってるから、私もこっちで頑張ってるんだ』なのか。電話が繋がったら、一つだけ気になっていた事を聞いてみたい。『由美姉は遠距離経験者なの?』大地が日本を発つ前に由美姉が言った『二人には時差と距離に負けて欲しくない』という言葉には、一体どんな思いがあったのか。ずっと気になっていた事だった。

「沙希?!」

ふと我に返り 声のする方へ振り向くと、中学時代テニス部で共に汗を流した中条ゆかりが 隣にいる彼氏と軽く手を繋いだまま声を掛けてきていた。お互いに驚きと同時に懐かしさが込み上げる。

「久し振りーっ!」

思わず声が揃う。

「今どうしてるの?」

「働いてるよ。エステの仕事してるんだ。ゆかりは?」

「OLやってる。お互い社会人なんて、大人になったねぇ。一体何年ぶり?」

束の間の時間、まるで中学校の裏庭にあるテニスコートまでタイムスリップした。そして放課後、練習の合間のお喋りに花を咲かせた様な錯覚を起こしてしまう位 昔話が膨らむ。それをずっと にこやかに聞いていた彼の方へ 突然ゆかりが顔を向け、遅ればせながら沙希に紹介する。

「原君」

「どうも、初めまして」

少し改まって 沙希が頭を下げると、ゆかりが笑った。

「やだ、覚えてないの?原君だよ、原周一郎君。沙希、3年の時 同じクラスだったでしょ?」

度肝を抜かれた思いで、沙希はもう一度まじまじと隣の彼を食い入る様に見る。すると段々と 彼の顔に中学生の頃のあどけない表情が重なって見える。

「全然分かんなかった。雰囲気すっかり変わっちゃってて・・・」

「俺、眼鏡かけてたからね」

「そうだよね。そうそう、眼鏡かけてた。あれ?コンタクトにしたの?」

「うん。コンタクトにしろ、しろってうるさくってさ」

そう言って原は、ゆかりの方を親指で指してみせる。

「・・・二人って・・・いつから?中学の時は・・・違った・・・よね?」

一瞬二人は目を合わせ、ゆかりが話し始める。

「私達高校が一緒だったんだ。・・・って言っても、高3で初めて同じクラスになったんだけどね。でも、その時はお互い何でもなかったんだけど、卒業した後 クラス会で再会してって感じ」

「へぇ。そういう事って本当にあるんだぁ。やっぱり縁があったんだね」

照れた様に二人は目を合わせて笑い、お互いに首を傾げたりしている。そんな光景を 沙希は温かい気持ちで眺めていたが、やはりどこか羨ましくさえあった。世界中で一番愛しい人が目の前にいる幸せ。見つめれば見つめ返してくれる安心感。そして、手を伸ばせば届く温もりがある充実感。気を緩めたら、西の空の夕焼けも手伝って 淋しさでいっぱいになってしまいそうな自分の胸にストップをかける。

挿絵(By みてみん)

「原君は、今何してるの?」

「塾の講師」

「へぇ、すごい。先生なんだ」

その時、車内アナウンスの鼻にかかった声が もうすぐ品川駅に到着する事を告げる。それを受けて、車内では 子供に靴を履かせたり、網棚から荷物を下ろしたりと 下車準備に人が動き出す。

「沙希、どこまで行くの?」

「田町。ゆかり達は?」

「これからディズニーランド行くんだ」

嬉しそうに話すゆかりと それを優しく見守る原の様子から、ゆかりが今日のディズニーランド行きをねだった事を思わせた。ディズニーランドでの大晦日のカウントダウンは毎年恒例で、寒くて混んでいるのを承知で 多くの人が園内を賑わせる。夜のエレクトリカルパレードや 花火を一目見ようと、全国から老若男女 本当に沢山の人達が集まってくる。そこでゆかり達は 今年一年の締めくくりと 新たなる年の幕開けを 夢の国で迎えようというのだった。『人は人だから』と繰り返し自分に言い聞かせている自分が一番そうは思っていない事を、沙希は必死で否定した。


なんとか笑顔で二人を見送る様に別れ、山手線に乗り換えながら 気を紛らわす様に 走り書きしたメモを取り出して見る。ネックレスを修理に出している“ジュエリーショップJ”までの行き方が記されている。本当ならば、田町の駅で青葉と待ち合わせて一緒に行く筈だったのが、今日突然電話で 来られないと言う。風邪をひいて38℃以上の熱があり、やむなく断念した様子だった。その時の電話で、店までの道順を聞き取った内容を 沙希が走り書きしたものだった。青葉が風邪をひいて高熱を出したのも、あの日エレベーターの中で 自分にコートを貸してくれたせいだと、沙希は大変責任を感じていた。

「ごめんなさい。私のせいだ。私がコート借りたりしたから・・・」

電話でそう言ってみたものの、

「違うよ。休みに入って、気が緩んだだけだよ。本当大した事ないし、ただの風邪だから あんまり気にしないで」

と、あっけらかんと跳ね返す。風邪声が なんだかとても沙希には苦しかった。

 青葉の丁寧な説明のお陰で、一度も道を間違う事なく“ジュエリーショップJ”とロゴの入った店の前に辿り着いた。そこは、沙希のイメージしていた よくある貴金属店の佇まいとは逸していて、北欧のログハウスとモダンなガラスが組み合わされた自動ドアをくぐると、中は ショーケースや壁紙 そしてコーナーに飾られた花や花瓶は 全てアンティーク調で統一されていて、まるで輸入雑貨のお店と間違ってしまいそうな程だった。

「すみません。ネックレスのチェーンの修理をお願いしていました河野ですけれども・・・」

キョロキョロと店内に入るなり『いらっしゃいませ』とにこやかに声を掛けてきた若い女性店員に 沙希がそう言うと、再び笑顔で軽く会釈をして 奥へと入って行った。そのまま店長らしき年格好の女性に話が通じたらしく、今度はその女性が 沙希のネックレスを手に戻ってくる。

「河野沙希さんですね」

年齢は40代後半といったところだが、笑顔に品があり ショートカットの襟元に結んだスカーフがとても印象的だった。

「享がいつもお世話になってます」

丁寧に頭を下げる女性店員の言葉に 頭の回転が追い付かずキョトンとしていると、頭を上げたその店員が、今度は少し砕けた笑顔になって言った。

「享の母です」

その言葉を聞くと同時に 胸に付けられたバッチに目をやると、“店長 青葉”の文字に慌てて頭を深々と下げる。

「こちらこそお世話になっております」

(青葉君も意地が悪いなぁ。一言教えておいてくれたらいいのに)と心の中で 無意味に叫びながら 頭を上げると、青葉の母が優しい顔つきで話し掛ける。

「ごめんなさいね。享がこれ、壊しちゃったみたいで・・・」

すっかり綺麗なチェーンに取り換えられたネックレスを差し出される。

「いえ、私の不注意ですから。かえってご迷惑お掛けしました」

再び沙希は頭を下げた。

「こちらのネックレスで間違いありませんか?チェーンは切れてしまっていたので、新しい物とお取り換えさせて頂きました。どうぞご確認下さい」

手渡されたネックレスを確認などする余裕もなく、また沙希はお辞儀をする。

「お手数お掛けしました。おいくらになりますか?」

すると 驚いた顔をした後、またすぐに笑顔になって青葉の母は言った。

「ご心配なく。これはくれぐれも享に言われてますから」

「いえ、それじゃ困ります」

そんな押し問答が何度か繰り返され、結局沙希が折れる事となり 方が付く。ネックレスを箱に入れ、手提げ袋にしまいながら 母が少し先程よりも慎重な口調で問いかける。

「違ったらごめんなさい。もしかして・・・アクアマリンのピンキーリングって・・・河野さん?」

一瞬手元に視線を感じて、とっさに沙希が手を下に下ろす。

「あ・・・はい・・・」

この目の前の青葉の母親は 一体どこまで知っているのか 沙希は知る由もなく、返事も曖昧でいると、母はまた質問をした。

「サイズ・・・大丈夫でした?」

「はい。ぴったりでした」

内心ドキドキしながら、当たり障りのない答えを返す。

「良かったぁ。あれね、うちの商品なんだけど、サイズが分からないって言うでしょ。でも、あれでも享 だいぶ悩んでたみたいよ」

さすがにそこまで聞いて、目を合わせる事は出来なくなって 下をうつむいた。

「でも良かったわ。私もね、サイズの事気になってたの。享に聞いても何も言わないしね。男の子なんて つまらないわね。河野さんのお母様が羨ましいわ」

何とか笑顔を絞り出す。しかし罪悪感ばかりが 沙希の中でのさばり始めていて、『ごめんなさい』が喉元まで出かかっていた。しかしそれを言わずに済んだのは、その後母がもう一言付け足して 沙希の喋る隙がなかったお陰だった。

「今度うちにも遊びにいらっしゃい」

大変気さくにそう誘ってくれた笑顔は、もうジュエリーショップJの店長ではなく、正に母親の顔だった。

「あの・・・青葉君に、お大事にとお伝え下さい」

帰り際に何とかそれを伝え、何度も何度もお辞儀をしながら 店を後にした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。