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スライムスレイヤー ~イシノチカラ~  作者: 亜形
第二章 アーマグラス編

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第48話 大橋の戦い(2)

◇◆


 大橋の入口まで戻ったトウマ、イズハ以外のメンバーは管理者に街灯の点灯状況を尋ねた。


1日前 点灯 破壊あり 停電復旧。夜に橋を破壊しているモンスターが判明。

2日前 消灯 破壊なし 船が沈んだ日。深夜に雨が降り停電。

3日前 点灯 破壊あり スレーム・ガングはオフ。ユニオン・ギルズは船の調達。

4日前 消灯 破壊なし 狼討伐を終え工事延長を知った日。

5日前 点灯 破壊あり 狼討伐に出た日。この日の夜に初めて橋が破壊された。

6日前 消灯 破壊なし 工事が始まった日。


 大橋の破壊が始まってからの街灯の点灯と破壊が見事に一致。


 まだ一日置きという線も残っている。大橋に残った二人の働きを無駄にしてはならない。そこで今夜も点灯して貰えるように頼むと管理者は険しい顔になった。バンが橋が更に破壊される可能性があるという事まで伝えてしまったからだ。最終的に原因の究明と必ずモンスターは討伐するという約束を交わしてようやく今夜も点灯して貰える手筈になった。街灯に関しては壊れたものがあっても橋の中に埋めてある電気配線の本線が切れていなければ点灯させるのは問題ないとのことだ。


 よくよく話を聞くと、今回の工事で油を使った古い街灯を電灯の製品に順次交換していたようだ。今後の夜間通行を考えると電灯のほうが管理しやすいという理由。今までの油を使った古い街灯では明るいとは言えず、点けるのも管理するのも手間がかかるからだろう。街灯はモンスターに破壊された付近まで電灯への交換作業が終わっていて点灯試験を開始したばかりだったとか。


「これ間違いないんじゃない?」

「でも、街灯をすべて壊しているわけではないようです。

 う~ん、壊した数も多くはないようですし何故なのでしょう?」


「それは単純に端にある街灯を壊すとき一緒に落ちちゃってるんじゃない?」

「いや、いや、いや。んなバカな」


 実際、ロッカの予想通りなのだがそれはここにいる誰にも分からない事だった。


「ま、今夜壊されれば街灯狙いは確定でしょ?

 トウマたちが見て来るわけだし明日ハッキリするわよ」


「あの二人、寝過ごしたりしないでしょうね?」


 カリーナの言葉でしばし皆が沈黙した。


◆◇


 トウマとイズハは大橋が破壊されている場所に留まっていた。

 穏やかな波の音が聞こえる。


「暇っすね~」


「そうだね~」


 手持ちの携行食と水は分けて貰ったが食べるのはまだ早い時間帯。二人は暇を持て余していた。何もする事がないと流れる時間はもの凄く遅く感じるものである。


 すると、トウマは何かを思いついたように動き出した。


「イカはあそこから登ってくるんだよね?

 街灯を狙うとして最初に狙うのはあの街灯かな?」

「なるほど!」


 イズハも理解したようで一緒になってイカとの戦いを想定してみる。橋の上での戦い。動ける距離、吹きつける潮風、夜なので視野も狭いなど。実際に動いてみてどれ位なのかを確かめ始めた。こうなったら時間が経つのは早い。


◇◇


 トウマは橋の上から下の海面を眺めた。


 海面から橋の上までは30m以上の高さがある。満潮時でも船が橋の下を通れて海のモンスターにも襲いかかられないよう高い位置で架けてあるのだ。無論、モンスターが巨大過ぎたり支柱を登ってくる事は想定外である。


「イズハ、これ海に落ちたら死ぬかな?」


「この高さから海に落ちた事ないっすからね。自分にも分からないっす。

 死ななかったとしても多分装備着けてる時点で溺れて死ぬっすよ。

 助かるにはすぐに装備を外して支柱まで泳いで陸に上がるとかっすかね?」


「そっかー、泳ぎに自信ないし剣持ってたら捨てる事になっちゃうかもな。

 それはダメだ。絶対落ちないように気をつけよう」


 そうこうしているうちに時間が経ち、沈みゆく夕日と共に辺りが暗くなってきた。

 二人は携行食を食べつつもうしばらく待つと辺りが真っ暗になった。月の明かりで何とか見える。


「この明るさじゃ戦いづらいぞ。ロッカの言ってた通りだな」

「そうっすね。ホントに街灯点くっすかね?」


 それから10分ほど待っていると街灯が点いた。


「「おお~」」


「この明るさなら見えるんじゃないっすか?」

「暗い所もあるけどこれくらいの明るさがあれば大丈夫だよね?

 あの中央の点いてる街灯目指して来るとして、もう少し離れて隠れる?」

「そうっすね」


 イカと戦うわけではないので離れる分には問題ない。二人は身体を伏せてイカがやって来るのを待った。最初はドキドキしていたトウマだったがイカがなかなか来ないので待ちくたびれてそのまま寝てしまった。

 イズハは寝ない。ジッと待つということは元観測者として当然のように鍛えられているからだ。イカが来る気配がないうちは適度に気を抜いている。


◇◇


 トウマはイズハにゆすり起こされた。


「トウマさん、起きて下さい」

「う・・・、ん? 寝てたか・・・ゴメン」


 トウマはまだ状況を掴めていない。


「しーー、イカ登って来てるっすよ」


 暗がりの中、巨大な2本の触手を先頭に体全体を引きずるように支柱を登ってくる巨大なイカのモンスターを目の当たりにしたトウマは思わず声に出しそうになった。が何とか堪えた。


 巨大なイカはそのままズルズルと支柱を登りきると体を橋の上に乗せ終えた。


 トウマとイズハはお互い顔を見合わせて頷いた。


「でかいな」

「想像以上っすね。タコよりでかそうっす」


 その後、上体を起こしたイカは眼を赤くして嵐のように暴れまくった。目についた街灯を目標とばかりに左右に揺れながらズルズルと街灯に近づいていく。すでにボコボコになっている道もなんのそのだ。

 破壊している範囲は10mほどなのでそこまで動いていないとも言えるが、1つ2つと街灯が壊され、触手の叩きつけで舗装されている道はボコボコになっていった。


 二人は中腰になり、イカに見つからないよう少しずつ後ずさりして行った。


「ヤバいな。こっちに気づかれる前にそろそろ逃げる?」

「あのイカが街灯を狙っているのは確認できたっすから十分っすね」


 すると、イカは端に立っている街灯に体ごと突っ込んだ。そして、その勢いのまま街灯と共に海に落ちていった。


”ドボーン!”


「・・・あいつ、落ちたよ」

「・・・落ちたっすね。ぷっ」


 イカが海に落ちて気が抜けたのか大爆笑する二人だった。


「ふ~、では帰るっすか?」

「うん、帰ろう」


◇◇


 トウマとイズハが博士の邸宅に戻ったのは深夜0時を過ぎていた。心配していたロッカ、バン、セキトモの三人はまだ起きていたようで二人を出迎えた。随分くたびれた様子の二人だが負傷もなく無事なようなので三人は安堵した。


「帰りの事考えてませんでした~。

 真っ暗な中、2時間くらい歩きましたよ~」

「松明持ってなかったのは痛かったっす」


 セキトモは二人をねぎらった。


「二人ともお疲れさま」


 ロッカは興味津々のようだ。


「で、どうだった?」


「バンさんの推測通りでした。イカの狙いは街灯っす」


 バンは二人にコップに入った水を渡した。


「やはり、そうでしたか。

 あれからこちらもある程度裏付けが取れましたよ。

 二人とも今夜はゆっくり休んで下さい」


◇◇


 しばらくしてバンは何故かお茶を用意していた。ロッカが話を聞かないと気になって眠れないと言い出したからだ。深夜だがラウンジで二人が見て来た状況と集めた情報を皆で共有することになった。


 イカが橋から落ちた笑い話が出るとロッカはドヤ顔だ。


「ほら、私の言った通りだったじゃない? やっぱり落ちてたのよ。あはは」

「?」


 経緯を知らないトウマとイズハはロッカがドヤ顔の理由が分からなかった。バンとセキトモは苦笑いだ。


 話しは1時間ほど続いたがトウマが眠そうにしていたのでお開きとなる。イカ対策は明日ユニオン・ギルズと合流してから立てることになった。


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