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スライムスレイヤー ~イシノチカラ~  作者: 亜形
第七章 進化と万能編

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第161話 諦めます・・・

 スレーム・ガングとロガンズはサソリ討伐の打ち上げでギルド近くの酒場に集まったところだ。一旦、それぞれの荷物を置きに拠点に戻ったので皆軽装。酒場への移動は都市の乗合馬車を利用。一足先に来ていたロガンズが個室を確保してくれていたようで注文は済ませてあった。テーブルには料理が並んでいる。


 乾杯の音頭はロガンズのリーダー、モスバルが取るようだ。


「本当に私が音頭を取っていいものなのか? サソリ討伐はスレーム・ガングが成し遂げたものだぞ?」

「いいから、この中ではあんたが最年長なんだからやっちゃってよ」

「う、うむ、仕方ないな。オホン、今回サソリ討伐を成し遂げたスレーム・ガングとその支援をしたロガンズ。我々の仕事は都市の危機を未然に防ぐ価値のあるものだったと思う。・・・そうだな、支援しただけの我々にも高額の報酬を分けて貰った事だし、ここの代金はロガンズで持たせてもらうとしよう。お前ら、残った額を分配でいいよな? ローザ様もそれで構いませんか?」

「依存ありませんわ。ロガンズのリーダーはモスバルです」

「問題なーし」

「いよっ、太っ腹!」

「太っ腹なのは報酬分けてくれたスレーム・ガングのほうだろ?」

「あ、そうか、わはは!」

「本当にいいの? 私たちめちゃくちゃ食うわよ」

「臨時収入と思えばそのくらい全然問題ないさー」

「おうともよ!」


「では、我々の成功を祝って、乾杯!」

『乾杯~!!』


 余程腹が減っていたのか皆が一斉に料理に食いついた。


「これうんめぇ~」

「あ、ザイル、それ俺が狙ってたやつ」

「なはは、パーソン、こういう時は早い者勝ちなんだぜ」

「なら追加で注文だ」


 ゴルは黙々と目の前にある料理を平らげている。負けてないのはバンだ。


「ローザ、この店にはよく来てるの?」

「私は来た事がありませんでしたがモスバルたちはよく利用しているようですわ。正直に言いますとクエスト後に打ち上げをするというは初めての事です」

「そうなの? 私たちはよくやってるわよ。他のパーティーと共闘したり大きな成果を上げたときとかね」

「そういうものなのですね。私はすぐにでも疲れを癒してもらう事を優先させていたのですが皆がこんなに賑やかなのは初めて見ましたわ」

「休むのも大事だけど、その前に一区切りしたいって感じかな? 互いをねぎらってから休みに入るのよ」

「これはこれで良いかもしれませんわね」


 ローザ以外のロガンズの4人はお酒を嗜む。スレーム・ガングで唯一お酒を飲むセキトモもそれに加わって楽しんでいるようだ。


「スレーム・ガングのリーダーがトウマ君? てっきりしっかりしてそうなセキトモ君か、バン様だと思っていたぞ」

「スレーム・ガングという名では結成時のメンバーになりますけど僕はロッカ、バン、トウマの3人がパーティーを組んだ後に加わっていますからね。僕の次に加わったのがイズハです。トウマがリーダーというか・・・確かあの二人がリーダーをやりたがらなかっただけの消去法的なやつだったと」

「わはは、それでトウマ君か!」


「モスバルさん、セキトモさん、二人して俺の話してます?」

「トウマがうちのリーダーだって話」

「あー、そういえばそうでしたね。忘れてました」

「本人もこんな感じです」

「わはは!」

「?」

「いや~、すまん。セキトモ君からトウマ君がリーダーになった経緯を聞いてな」

「いや、別に俺リーダーじゃなくていいんですけど・・・なんなら」

「トウマ、今更何言っても変わらないぞ。僕もイヤだし」

「え~~~、俺まだ何も言ってないですよ」

「「わはは!」」


 イズハも話に加わった。


「自分はトウマさん凄いと思ってるっすよ。ここぞというときには必ずと言っていいほどやってくれるっす」

「イズハ、それ俺にリーダー続けさせようとかの魂胆だろ?」

「いや、イズハの言う通りだよ。トウマは追い詰められた時とか瞬間的な判断力が優れているような気がする。直感力といったほうがいいかな?」

「それって本当に褒めてくれてます? 他はバカっぽいとかあと付けはなしですよ」

「わはは、褒めてる褒めてる」

「そうっすよ。できれば自分もトウマさんに負けないくらい威力のある技が欲しいところっすね」

「イズハの糸だって十分凄いですよね?」

「そうだな、あれはマネできないよ」

「なんだなんだ? 褒め合いか? それなら私からも君らがどれだけ凄かったか話をさせてもらおうか?」

「「それ、俺たちも聞きたい!」」


 一方、ローザは思い出したかのように毒を治癒したバンに質問攻めを開始したようだ。流石に上書きのことまでは明かせないのでバンはどう話を逸らそうかと考えたが何も思い浮かんでこなかった。それに真面目なローザを欺くようなことは言いたくない。バンは沈黙するしかなかった。


「ローザ、バンは私でも出せないブースト5倍まで出せるのよ」

「5倍?! バン様はそんなに出せるのですか?」

「ロッカ、それは・・・」

「もういいじゃない、困ったバンの顔は見たくないのよ。ローザもブースト使えるんだし分かるはずよ。ちなみに私は4倍まで出せるわ」

「4倍?! バン様が5倍でロッカが4倍、バン様が5倍でロッカが4倍・・・」


 ローザは短期間でブースト2倍まで出せるようになったがブースト3倍までには相当高い壁があると認識していた。4倍、5倍となると想像もつかない事であろう。


「ローザ、私が言いたい事分かった?」

「・・・ブーストにはまだ先があるという事でしょうか? そして、私にはそれを知る資格がないと」

「そこまで察しがいいと怖いけど、そういう認識で構わないわ。ローザが知りたい事は知ってもできない事だし、お金に換えられる情報でもない。私たちにも言えないことはあるのよ」

「・・・分かりました。私が返せるものもありませんし、そう言う事なら致し方ありませんわ。諦めます・・・(今回は)」

「ローザ、最後の小声、聞こえたわよ。全然諦めてないじゃない」

「あら? そんな事言いましたかしら?」

「言ったわ、ちゃんと聞こえたんだから!」

「諦めますと言いましたわ。今回は」

「あ、今回はって今はっきり言ったわね!」

「今回は今回ですわ。抗魔玉の力の深淵、私はその一旦に足を踏み入れられている。こんな興味深い事、知りたいに決まっておりますわ」

「何開き直ってんのよ」

「ですから今回は諦めますと」

「うふっ、あはは! あー可笑しい」

「何笑ってるのよ、バン」

「そうですわ、バン様」


 スレーム・ガングは3日間のオフ。護衛依頼で来たとはいえせっかく来たのだからしばらくこっちでクエストをこなしてからメルクベルに戻ろうという話になり、ラギアサタには二週間ほど滞在していく予定となった。ロガンズは取るに足らないモンスターしか倒していないので1日だけオフを取って活動を再開するそうだ。今回、難易度Bのサソリ討伐が支援のみで終わった事を気にしているのだろう。今後は倒せそうな難易度Cのみに絞って早めにローゼルとの取決めの条件を満たせるようにしたいとの事だ。


◇◇


 翌日、ロッカとバンの二人はラギアサタのスイーツ店巡りに出かけた。今回はローザも一緒に行くことになったらしいが二人のペースについていけずに途中で食べられなくなるのは間違いないだろう。


「セキトモさん、俺たちはどうします?」

「そうだな~、大きな店舗は北側に集まっているらしいから今日はそこでも回ってみようか?」

「とりあえず、何があるのか物色っすね。こっちでしか手に入らない物が見つかるといいっすけど」

「二人とも明日、明後日は自由行動で構わないよね? 何をやってもいい自分だけの時間ってのも必要だろ?」

「俺も何となくですけど一人で行動する時間の大切さが理解できてきた感じがします。人に頼らず自分で判断して決める決断力を培えって事ですね!」


「そんな深い意味はないんだけど・・・」


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