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誓約の騎士と霧の女王  作者: OWL
第一部 第三章 誓約を守る者
145/320

帝国軍務省報告書:新帝国歴1412年に発生した主要な戦闘

■1412年2月 ペリグーの戦い


◇参加兵力

蛮族軍:氷の巨人、人狼族、人虎族、人狼族、牛人族、熊人族他数十万。

帝国軍:北方方面軍総司令ヴァルス、北方諸国軍。合計24個軍団28万8千(損失12個軍団)

◇勝敗

蛮族軍の勝利

◇概要

人類圏の最北端であるゴーラ地方の主要都市ペリグーを巡る戦い。

その年は非常に寒く、海は凍り付き蛮族は北方圏西部のパッカ地方にまで氷上から侵入していた。北方方面軍司令ヴァルスは帝国総司令部に増援を要求し、副指令に4個軍団を与えてヘリヤヴィーズに残し自身が率いる軍団はゴーラ地方からパッカ地方に広く展開した。

ヴァルスは後方を脅かすパッカ地方の蛮族を掃討していたが、サーム族と守備に置いた軍団からペリグーに敵の大軍接近との報を受け手元の全軍を率いて救援に駆け付ける際、間道で奇襲に遭い軍団は半壊した。損害の大半は強行軍と奇襲で指揮官、軍団旗を見失い散り散りになった為の凍死だった。


■1412年3月 ユッカ会戦


◇参加兵力

スパーニア軍:ボルティカーレ公、グランマース伯、銃兵400名

総兵力9000、死傷4500

ウルゴンヌ軍:ウルゴンヌ公、アルトゥール・ザルツァ他魔導騎士20名

総兵力12000、死傷1500

◇勝敗

スパーニア軍の勝利

◇概要

ユッカ村近くで起きた遭遇戦。

挑発に乗ってスパーニア領内に深入りした突進公カールは敵の待ち伏せに気づいて撤退を決意したがグランドリー隊が前進してなし崩しに戦闘が始まってしまった。カールは突出したグランドリー隊と本隊の間に割り込んだ敵軍を巧みに殲滅すると、意外な敵の脆さに予定を変えて全面攻撃に踏み切った。

退く敵を追い、十分な打撃を与えてから撤収する腹積もりと予想されたが、彼らの前に馬防柵が引き起こされて前進を阻まれた。そして連弩と最新鋭の銃兵によって被害は拡大した。負傷したカールはさらなる伏兵を警戒し撤収を決意。しかしウルゴンヌ側の観測と違ってスパーニア側にはそこまでの余裕はなく初期の損害は予想以上に大きかったとされる。カールがここまでの大軍を連れてくるとは彼らの想定に無く、魔導騎士の犠牲によって撤退は成功し兵力はほぼ温存された。

この戦いでは銃兵の活躍が特に大きく記録されている。

魔導銃はガドエレ家、火薬式銃は西方商工会の設計。


■1412年5月 マッサリアの戦い


◇参加兵力

蛮族軍:人狼族、人虎族、人牛族他数十万。

帝国軍:北方方面軍総司令ヴァルス。20個軍団、北方諸国軍合計16万 損失:全滅

◇勝敗

蛮族軍の勝利

◇概要

ヴァルスは北方軍の生き残りを再編し、増援を得て反撃に打って出た。勇猛な蛮族の戦士や巨大な魔獣は帝国一般兵の手に負えなかった為、帝国騎士もこの戦いに派遣された。

ヴァルスは汚名を晴らすべく果敢に撃って出たが、今度は蛮族が引いてほとんど戦闘にならなかった。一時はペリグーを奪還するもそれは蛮族の罠だった。蛮族は前回の戦いでは大軍を集結させていたが、今回は野山に潜伏し 帝国軍を深くに引き込んだ後にパッカ地方とサウカンペリオン地方の間にあるマッサリア地方を攻撃した。

マッサリア地方は同盟市民連合の都市国家が多く、彼らは早々に無防備宣言を行い蛮族に事実上降伏した。慌ててとって返してきた帝国軍は密集している事が災いし、険阻の土地で挟み撃ちに遭い、火計によって壊滅した。生き延びた兵士達も一人一人野山で蛮族に狩られて故国に戻る事は出来なかった。


■1412年5月 第一次リッセント城攻囲戦


◇参加兵力

スパーニア軍:グランマース伯、アロッカ伯

総兵力7000 死傷4000

ウルゴンヌ軍:シュテファン王子、エムゼン男爵

総兵力2000 死傷20

◇勝敗

ウルゴンヌ軍勝利

◇概要

ユッカ会戦で想定外の被害を負っていたグランマース伯はアロッカ伯の支援を得てグランドリー男爵領を奪還し、領土を確定する為リッセント城を襲った。

ウルゴンヌを失って半世紀、この土地を知る将軍はおらずエムゼン男爵の手腕により攻城戦の最中にスパーニア軍は逆に水攻めに遭い壊滅的被害を負って撤退した。


■1412年6月 第二次リッセント城攻囲戦


◇参加兵力

スパーニア軍:ボルティカーレ公、アロッカ伯、オルトー伯、ペルリフェール伯

イルラータ魔獣兵団

総兵力30000、死傷1500、損失攻城砲3門

ウルゴンヌ軍:シュテファン王子、エムゼン男爵

総兵力2500 死傷1200

◇勝敗

スパーニア軍勝利

◇概要

州伯らの度重なる失態にイルラータ公の叱責を受けたボルティカーレ公自身が出撃。攻城砲を貸与されて輸送したが、途中破壊工作を受けて使用は出来なかった。

イルラータ公は次の策として魔獣兵団をボルティカーレ公に貸し与えた。

王家から派遣された軍目付が再度の敗北はスパーニアの面目に関わると強攻を主張し、損害は出たものの圧倒的な兵力差により陥落。城兵の半ばは艦隊に救助されてエムゼン男爵と共に脱出した。


■1412年6月 コルネフカの戦い


◇参加兵力

蛮族軍:人馬族、人羊賊、蝙蝠人族、人狐族、蝙蝠人族、鳥人族他数十万

帝国軍:東方方面軍副指令ワリハーノフ、リーアン連合王国、アル・アシオン辺境伯

12個軍団16万8千

◇勝敗

引き分け

◇概要

元東方の王族で帝国の国籍を取得し軍人となったワリハーノフは北方圏の危機を伝えられて牽制の為にナルガ河防衛軍団はそのままにリーアン北東部から蛮族領域に逆侵攻を行った。

大規模だが、牽制作戦の為深入りはせず特に大きな損害や成果は無かった。


■1412年7月 エトン城攻囲戦


◇参加兵力

スパーニア軍:イーネフィール公軍、ストラマーナ公軍

総兵力25000、死傷300

ウルゴンヌ軍:エトン男爵、河川艦隊7隻

総兵力1500、死傷100、拿捕4隻

◇勝敗

スパーニア軍勝利

◇概要

ティラーノの妻マルガレーテが所有していた城を巡る攻防戦。

イーネフィール公領とは山を挟んだ地域に当たる。

ストラマーナ公に派遣された軍目付は王家が所有すべき城だが、イーネフィール公に与えるといって攻勢をかけさせた。イーネフィール公は旗下部隊を山越えはさせずにグラマティー河まで迂回させてイルラータ公と共に進軍させた。

城主のエトン男爵はスパーニアの開城要求に屈しなかったが、イーネフィールの魔術師団によって艦隊が拿捕されると諦めて城兵の身の安全を保障させて開城し部下は脱出。男爵は自死を選んだ。


■1412年9月 ユッカ村の戦い、グランドリーの戦い


◇参加兵力

?:亡者の群れ

スパーニア軍:ボルティカーレ公軍、イーネフィール公軍、イルラータ公ズュンデン、モーゼリンクス、魔獣兵団

旅人:シャールミン、マイヤー、アルトゥール・ザルツァ、アル・アシッド

◇勝敗

引き分け

◇概要

国境線付近で発生した遭遇戦

帝国軍にも報告された亡者は発見されず旅人が恐怖から見間違えたものとされた


■1412年9月 第一次シエム城攻囲戦


◇参加兵力

スパーニア軍:イーネフィール公軍、イルラータ公軍、ストラマーナ公軍、ボルティカーレ公

総兵力35000、死傷4500

ウルゴンヌ軍:フィリップ王子、エムゼン男爵、河川艦隊12隻

総兵力5500、死傷700

◇勝敗

ウルゴンヌ軍勝利

◇概要

リッセントとエトンを落としたスパーニア軍はいったん再編し、

軍勢を割いてボルティカーレ公が攻めていたシエムに援軍を派遣した。

大公達から派遣された武将の連携は悪く、フィリップの巧みな戦術もあり後方を脅かされた彼らは一時撤退、その際追撃により大打撃を受けた。


■1412年10月 アシュヴィン街道虐殺事件


◇参加兵力

帝国軍:第17軍団第4大隊、死傷4名

難民:1万2千人、死傷35名

◇勝敗

帝国軍の勝利

◇概要

ウルゴンヌ公国の避難民がヴェッカーハーフェンへ移動中に白の街道に侵入して発生した偶発的事件。

第17軍は平和的に退去を促したが、難民が第4大隊に投石を開始。不幸にも当たり所の悪かった兵士が死亡した為大隊長の命令で排除が開始された。

東方軍総司令部より憲兵が派遣され調査し、法務省の監査も行われたが帝国軍の違法行為は無かった。第17軍は野戦病院を設置して難民を受け入れて兵糧を分け与え彼らも帝国の威に服した。

大規模な混乱にも関わらず死傷者が少なかった事は幸いであった。


■1412年10月 エンシエーレ城攻囲戦


◇参加兵力

リーアン連合軍:フィアナ神聖王国、ベルタ王国

総兵力12500 リーアン有翼騎兵団6000

ウルゴンヌ王国:城兵1500 損失:全滅

◇勝敗

リーアン連合軍勝利

◇概要

ベルタ王国とフィアナ神聖王国が突然ウルゴンヌに侵攻を開始した。

グロリアを人質に取られた城主は開城要求に屈したが、城兵共々血祭に挙げられた。


■1412年11月 オルヴァン攻囲戦


◇参加兵力

スパーニア軍:イルラータ公ズュンデン、ストラマーナ公軍

総兵力45000、死傷100

ウルゴンヌ軍:プール伯ジャン

総兵力4500、死傷2350

◇勝敗

スパーニア軍勝利


収穫期以前から近隣の焼き討ちに遭っていたオルヴァンは食料が不足し、政争から守備の要だったシャルタハル男爵を追い出してしまっていたオルヴァンは多くの犠牲者を出して降伏する事になった。その際ウルゴンヌの宰相プール伯ジャンはズュンデンに女子供だけでも脱出させてくれるよう頼み、ズュンデンは持ち出して良いのは手荷物だけとしてそれを許した。

調印式の後、オルヴァンの女性達は夫を担いでオルヴァンを後にした。

ストラマーナ公の軍目付はズュンデンに止めるよう指示したが、調印した後だからとズュンデンは苦笑してそれを許した。


■1412年11月 第二次シエム城攻囲戦


◇参加兵力

スパーニア軍:総司令官ガスコン将軍

イーネフィール公軍、イルラータ公軍、ストラマーナ公軍、ボルティカーレ公

総兵力55000、死傷2500

ウルゴンヌ軍:フィリップ王子、エムゼン男爵

総兵力5000、死傷4500

◇勝敗

スパーニア軍勝利

◇概要

ストラマーナ公家の軍人ガスコン将軍が指揮を取り、改めてシエム城攻略が再開された。魔術師の損害も顧みずに往来する河川艦隊の進路上に小舟で待ち構えさせとうとう艦隊を殲滅。拿捕していた艦隊と新たに運び込んだ攻城砲も投入してシエム城に総攻撃を開始した。

損害は大きかったが、陸海からの攻撃を受けるとシエム城は持ちこたえる事が出来ずフィリップは敵軍に突撃して玉砕した。エムゼン男爵ら一部の魔導騎士は突破して脱出に成功した。


■1412年12月 サンクト・アナン城攻囲戦


◇参加兵力

リーアン連合軍:フィアナ神聖王国軍、ベルタ王国王子ネドラフ

総兵力12500、リーアン有翼騎兵団6000、死傷3500

ウルゴンヌ軍:マリア姫、ケンプテン伯、シャルタハル男爵、シャールミン、ベルタ王オスラフ

総兵力4500、死傷500

◇勝敗

ウルゴンヌ軍勝利

◇概要

シャルタハル男爵の来援や河川艦隊からの補給、各地から集まった敗残兵を得て何ヶ月もの包囲を経てもサンクト・アナンの守兵の士気は未だ衰えていなかった。

リーアン連合の政変により攻囲部隊に混乱が発生し痛打を与える事に成功。その包囲は解かれる事になった。


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2022/2/1
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