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無事に小山田はこちらの下についた、次は武田本家と敵対している穴山・栗原・油川かな

 さて、山内上杉と戦っている最中の甲斐武田氏からの横槍を防ぐためにもまずは甲斐の相模川流域の都留郡の中核地域を領している小山田氏を引き込むことにして、使者としては風魔小太郎に頼んだ。


 俺は北条を名乗ったものの、まだまだよそ者という認識が強いだろうが、風魔はこの地に長くいるからな。


 また商業や通運についても風魔は関わりが深い。


 まあ単純な理由としては他に任せられる人物がいないというのもあるのだけれども。


 織田信長が美濃を攻略する際にも加治田衆の調略が重要であったが加治田城城主の佐藤忠能・忠康父子と加治田軍を寝返らせたのは、美濃攻略の礎となり、斎藤氏の弱体化に繋がった。


 現状の甲斐でも小山田氏を味方につければ、まず武田の軍が甲斐盆地から東に進んで来て関東に出る前に小山田氏がそれを阻むはずだ。


 小山田氏の動き次第ではあるが、甲斐の国人衆としてもう一つ大きな勢力である穴山氏の調略もすすめるべきだろう。


 穴山氏は南北朝時代の甲斐守護である武田信武の子である武田義武を初代とする、武田の分家で巨摩郡逸見郡穴山を本貫としたため、穴山姓を称したという。


 しかし穴山義武には実子がなく、守護の武田信春の子である信元が穴山義武の養子となり穴山氏を継承したという。


 明徳4年(1392年)には南北朝合一が行われ、河内地方を領していた南朝方の南部氏が陸奥国に移住したため、河内領は穴山氏に与えられたらしい。


 その後、武田の一時的滅亡などがあったが、甲斐武田氏の第14代当主の武田信重を宝徳3年(1450年)小山城主の穴山伊豆守が襲撃して戦死させたという。


 穴山伊豆守は穴山信元の次男で、当時勘気を受けて追放されていたため、武田信介が養子として穴山家を継ぐに至ったが、これを恨んだ穴山伊豆守が武田信重を殺害したのだという。


 分家であるとはいえ穴山氏が武田氏宗家から養子を迎えさせられて、家督を継承させられていることに穴山氏内部や家臣には快く思わない人物が多数存在し養子の穴山信介と穴山伊豆守の間で抗争を引き起こしていた。


 その穴山信介は穴山伊豆守を討ったが、穴山信介も死んで、穴山信懸(あなやまのぶとお)がその跡を継いだが、彼は武田信縄と敵対しており、史実で武田信縄と信昌の父子が不和になったときは、これに信昌派として戦っている。


 同様に栗原氏も武田氏の支族だが、武田氏と守護代・跡部氏の抗争では跡部氏に通じており、武田信縄とこれまた武田の分家である油川氏の油川信恵も対立していたりする。


 穴山氏が治める河内地方は富士川に沿った甲斐南部の土地で、駿河から甲斐への交通路でもあるからなんとしても調略は成功させたいところだが……。


 しばらくして風魔小太郎が戻ってきた。


「あちら(小山田)は甲斐の東部における塩の販売の権利を認めるならば、こちらに従うとのことです」


 風魔小太郎


「ああ、わかった。

 よくやってくれた」


 まあこちらの提案を断れば塩を止められて、こちらの提案にうなずけば塩の販売の権利を手に入れられるならこちらにつくのが普通だろうけれどな。


「では引き続きですまないが今度は河内地方の穴山に同様の提案での調略をしてきてほしい。

 武田本家と敵対している栗原氏や油川氏とも話をつけてきてくれると助かる」


 風魔小太郎はうなずいた。


「かしこまりました」


 史実では武田信昌・油川信恵方は栗原氏・穴山氏・小山田氏などの甲斐国人に加え、駿河国の今川に伊豆国の北条早雲の後援を得ていたが、武田信縄方には関東管領の山内上杉家が加勢し加担し、両者の間で抗争が繰り広げられた。


 最終的には武田信縄の跡を継いだ武田信虎が勝利して甲斐は統一されたのだが。


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― 新着の感想 ―
[一言] 信虎による甲斐統一や、信玄による大暴れ等既に知ってるから、甲斐が弱い今のうちに将来の芽を詰んじゃう手もあるかな。 甲斐を不安定で弱い地域にし続ければ、周辺国の歴史は大きくかわりそうだし。
[一言] 甲斐が纏まらなかったのは地理的な条件だけではなく、武田が統治の為とは言え血の近い縁者を各地に送った所為も有るのでは。国人達が自分達も本家になるだけの血統、正統性が有ると思えば纏まる物も纏まれ…
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